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第三話:友情に感謝します・後篇


――ルクイアーダ王国中央通り



「よかったの? カヴァン、心配していたけど」


「口うるさいだけです、本当にお父様が2人いるみたい」


「とはいえ男からプレゼントされたか、流石我が妹分よ、まあルミは可愛いからね、当たり前よね、でもその、プレゼントしてきた男って」


「大丈夫です、兄さまじゃないですが、いろんな女に手を出してるのは事実。女を馬鹿にする男は大っ嫌いなんですよ、ボロ雑巾みたいに振ってやりました」


「よしよし、カヴァンじゃないけど妹分が変な男に引っかからないように思うのは私も一緒だよ」


 と頭を撫でてくすぐったそうにしている。


「そういえば、ユツキ姉さまも確か」


「……ええ、ま、まあね、祖国に妹がいたよ」


「仲良かったんですよね? ユツキ姉さま優しいし」


「私が優しいのはルミは可愛くて素直だから、私の妹は生意気で反抗的で喧嘩ばっかりよ」


「……え?」


「でもね、可愛いの、生意気で反抗的なんだけど、頼りにされて甘えられると、こう、可愛くなっちゃうんだよね、だからカヴァンの事、お互いに大事にね」


 という私の言葉にじっと見ている。


「本当に、ユツキ様は他の聖女様とは違うんですね」


「…………」


「私は正直、ユツキ様以外の聖女達は嫌いです、だって」


「ルミ、聖女制度は国の根幹たる施策の一つ。そして貴方は国の騎士団のナンバー4の実妹、アナタは立場がある身、誰が聞いているか分からないよ」


「……はい、ユツキ姉さま」


 と王国領土の中央にそびえ立つ、聖樹ルクイアーダを見る。


 今の聖樹の下に城を構えて、国全体を見守るようにそびえ立っている。


「…………」


「ユツキ姉さま?」


「っとと、ごめんね」


「やっぱり色々とお辛いですよね?」


「いいのいいの! 辛気臭い話は、無し無し! お買い物を楽しみましょう!」


 といって街を繰り出すのであった。





 帰宅後、部屋を用意してもらった。客人としては本当に勿体ないぐらい良くしてくれた。


 食事をするとかろうじて復活したカヴァンが切り出してきた。


「ユツキ様、あれから色々と考えていたのですが、海外の人材の伝手なら1人心当たりがあります」


「そうなの?」


「私の士官学校時代の話なんですが」


 そう切り出したカヴァン。


 彼が王国騎士団のナンバー4とは触れた通りだが、王国騎士団の士官学校時代に海外留学を希望し、デンド民主主義国の士官学校に海外留学をした経験があったそうだ。


 その際に気が合ったのが。


「バハムという男で今でもよくつるんで遊んでいるです。家柄もデンド民主主義国の上流階級の次男で信用できる男です。彼ならユツキ様の活動の手助けになるかもしれません」


「はい、よろしければ、是非紹介をお願いします」


「では早速文をしたためます、ご安心ください、顔つなぎの為、私もデンド国まで同行します」


「え? でも騎士の仕事が」


「海外旅行ついでにという体で行きますよ、たまには休みを取ります」


「わーい、お兄ちゃん大好き~」←ルミ


「なんでお前を連れて行くんだよ、そういう時だけ都合よくお兄ちゃんと呼ぶんじゃない」


「え? ユツキ姉さまと2人で行く予定だったの? 泊まり旅行で? それって?」


「べべべべつに、そんなよこそしまままなことはねーーし!!」


「どうだが、信用できないなぁ」


「ユツキ様相手だぞ! 別に何もしない!」


「あのチャラ男も同じことを言っていた」


「ち ちが!」


 と言い合いが始まった。


(仲いいなぁ)


 と微笑ましく見ていると。


「旦那様」


 と使用人が入ってきた。


「どうした?」


「来客です」


「? こんな夜に? しばらくは私の許可のある時以外は繋ぐなと、、、」


 ここで言葉を切る、誰も通すなと指示をしており、それを使用人が守っているのなら。


「誰が来た?」


 使用人はカヴァンの問いかけに対して来客が誰であるか告げる。


 その来客を聞いてカヴァンが問いかける。


「……それは「私に用件があってきたのではない」な?」


 その問いかけに対して使用人は今度は首を縦に振り「用件は、会って話す」と言っていたとも返答する。


「ぐっ!」


 何処となく感じる傲慢な態度にカヴァンは臍を噛むが。


「ユツキ様、よからぬ予感がします、ここは私が貴方をお守ります」


「それだけはしては駄目。ありがとうカヴァン、私は会うよ」


「…………」


 言い返せない、そう、相手が悪い。


「申し訳ありません、私は口ばっかりだ」


「いいえ、気持ちは嬉しいですし、なら同席をしてくださいませ、心強いですから」


「は、はい! もちろん!」


 意気込んでくれる、カヴァン、裏表無く信用できる人物、策謀渦巻く王城で私は得難い友人を得た。


「ルミちゃんは、温かいお茶と美味しいお菓子をお願いね」


「はい、ユツキ姉さま!」


 とカヴァンと私は立ちあがる。


 そう、その面会に来た人物とは、、。



――応接室



 応接室に通された先、そこには、男達3人が静かに立っていた。


 その中央に位置する男、その左胸に上下に輝く二つの紋章があった。


 上の紋章は、国紋章であり、目の前の人物が何処の国であるかを示し。


 その下の紋章は世界各国共通紋章、その人物の「職掌」を示す。


 この中央の人物は。



「初めまして吹上ユツキ様、私はバレシア公国外務省所属、大使館大使ガグと申します。まずは突然の訪問の非礼をお詫びします」





 そう、外交官であることの証だ。



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