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「おい分からないってなんだよ。ふざけてるのか?」


「いや、そんな意味のないことしませんよ、あなたじゃないんですし。これを見てください!」


 受付の子に紙を見せつけられた。

 そこには文字が書かれているようだったが、よく読み取れなかった。翻訳が機能してない?


「なにこれ……文字化けしてるわね」


「今までこんなことなかったんですが……」


「あなたがふざけたからじゃない?」


「いや、最後はちゃんとやっただろ! こうやって!」


「ちょっと詳しい人に聞いてきます」


 そう言って受付の子は後ろに下がっていった。




 ちょっと経ってテコテコと帰ってきた。


「えーっと、ギルマスがいたんで聞いてみたら、もう一度測ってみろってことでした」


「そりゃそうだ」


 というわけでもう一度水晶に手をかざしてみる。

 結果はやはり同じだった。


「ちょっともう一回聞いてきます」


「はぁ、なんだよどんだけ待たせんだよ、クレーマーの気分マジで分かるわ」


 受付の子が走り去っていき、今度戻ってきたときには別の男と一緒だった。


「この人です」


 受付の子はまるで警察に突き出すかのように俺を指差す。


「うーん、君か。ちょっと待ってくれ」


 その人物はいかつい感じのおっさんだった。

 片目に眼帯をしていて、雰囲気が出ている。異世界版ヤクザかな?


「うーん、うーん」


 その人物はどこからかカードを取り出し、水晶にかざしていた。

 なんだか水晶が波打ってる気がする。


「おいヴィヴィ、この人だれだ?」


 こそっと受付の子に顔を近づけ話しかける。

 すると受付の子も声を潜めて返してくる。


「この人はギルマスですよ。このナナカラ支部のギルドマスターです。あと気安く名前で呼ばないでください」


「何をしてるんだこれ」


「知りませんよ。私だってまだ入って五ヶ月なんで。初めて見ましたよこんなの」


「うーん、登録はされてるっぽいな」


 ギルドマスターらしい男が、調べていた水晶から手を放す。


「ギルマス、どういうことなんです?」


「うむ、よく分からんな。ひとまず水晶に情報自体は記憶されているようだ。出力ができないというだけで、それ以外の機能は至って正常に使えると思う。私自身の適正値もなんなく読み取れたから、水晶自体の異常というわけでもなさそうだ」


 ヴィヴィとギルマスが会話している。


「じゃあどうなるんです?」


「うーん、そうだなー。まぁ何かの特定の条件で現れるバグとかだとは思う。この辺りは一度こちらで持ち帰って詳しい者たちで検討してみよう」


「それもそうですが、この方の処遇についてですよ。冒険者登録したいらしいんで」


「うーん、それはまぁいいんじゃないか? 君、名前は?」


 ぼうっと聞いていたが、急に振られたのでビクッとなる。


「え、ピースです」


「ピースくん。本来であれば、水晶により対象者の能力の適性を調べ、その結果によってその者が登録するに相応しい者かどうかを判断する。しかし今回はどういうわけか能力の解析結果のデータが上手く得られなかったようだ。よって、それによる登録可否の判断ができなくなってしまっているわけだが……まぁ悪いやつでもなさそうだし、実技試験で適性を見たりするのも面倒だから、もう合格でいいだろう。ピースくん、運が良かったね。合格だ、おめでとう。あとはこちらの者に適当に説明を聞くとよい。冒険者は夢があるが厳しい職業だ。慎重に励めよ」


 そう言い残し、ギルドマスターは去っていった。



 ということで俺は冒険者登録することができ、晴れて冒険者になれた。

 やったぜ!














 なんだか知らないが、冒険者になれた。


「と、いうことで良かったですね! 冒険者になれましたよ! 今後ともよろしくお願いしますね!」


「いや、それはいいけどあんなのがここのトップで大丈夫なのか? だいぶ適当な感じだったぞ」


「まぁ大丈夫ですよ。元々こういった事務的なことには興味ないんです。いるということに意味があるんですよ」


 なんにも理解できなかったが、それでいいということにしておこう。面倒くさいから。


「じゃあ早速冒険者のルールを説明させていただきますね。まず冒険者というのは非常に危険な職業で――」


 そしてお決まりの説明ターンが始まった。

 ヴィヴィも慣れたものなのか、スラスラと完璧な暗唱をしていた。

 まぁ取り立てて言うこともない内容だったが、簡単に言えば




・冒険者業は過酷で、特に初心者のうちは凄く危険です。半年以内に約半分が死にます。


・死んでも責任は取れません。


・冒険者ギルドは世界各地で繋がってる独立機関です。国家からの干渉等を受けません。


・冒険者と魔物は強さによりランク分けされていて、FからSランクまで存在します。


・Sランクは世界でも四人しかいません。伝説級の人たちです。


・ランクを上げることで、ギルドで受けられる特典が増えます。依頼もいいやつを受けれます。


・ランクを上げるには試験を受け合格する必要があります。特にCランク以降に上がるためには指定されたギルドにおいて正式な試験を受けなければなりません。俗にCランク以上をプロ冒険者と呼びます。


・依頼には種類があります。基本的には魔物討伐です。ランクが高くなれば貴族から指名依頼も来たりします。



 などなど……



 まぁ他には依頼の受け方だとか納品の仕方だとか簡単なレクチャーを受けた感じだ。


「説明は以上ですが、分からなかったところやご質問はありますか?」


「ない」


「それでは基本情報を登録いただいておしまいでーす」



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