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 ユイセが女の子たちに詰められていた。

 なんだこれ? ユイセ軍団みたいな感じ? 先輩って言ってるけど、慕われてるのか? ユイセよりも年下には見えるけど。


 どうしたらいいんだろ、助けてあげたらいいのか?

 いやでも俺関係ないし、無視してよっと。


「ねぇあなた!」


 と思ったところで、女の子の一人が俺に詰めてくる。

 そうなりますよねー!


「な、なんでしょう……」


「ユイセ先輩とどういう関係なんですか? 変なこと考えて近づいてますか? はっきり言って邪魔なんですよね。確かにユイセ先輩は強くて凛々しくて可愛い最強の存在かもしれませんが、ユイセ先輩も忙しいんで、あなたみたいなモブ男に付き合ってる暇ないんですよ」


「そうよ、金輪際近づかないでくださーい」


「せめてユイセ先輩と同じくらいの強さとかなら分からなくもないですが、あなた見た目弱そうだものね。あなたも冒険者なんですか?」


「あ、はい」


「ランクは」


「Fランクでございます……」


「はっ、聞いた? Fランクですって。誰でもなれるFランク冒険者。ぷぷ、それって冒険者って言わないから。ただの見習いだから」


 なんだかけちょんけちょんに言われていた。

 なんだよムカつくなー、俺のことあんまり舐めんなよ。バシッと言ってやろうか……でもなんか怖いから強く言い返せないな……どうしたらいいんだろう……


「ちょっとあなた達」


 俺が泣きそうになっていると、ユイセの喝が入った。

 ゆ、ユイセ先輩……


「確かに私がお金をこの人に貸してるのは事実。それは普段から言ってる私の言動に矛盾してる、それについて突いてくるのは真っ当だと思うから別にいいわ。でもね、弱い人のことをイジメるような発信をしてるつもりもない。私弱いものいじめが一番嫌いなの。よってたかって人を貶めるなんて、心の弱い人がする行動だわ」


「ゆ、ユイセ先輩、そんなつもりでは……」


「ランクなんてのもあくまでギルドが決めた枠組みにすぎない。そこに固執しすぎてると足元掬われるっていつも言ってるでしょ? あとこの人とは本当に昨日会っただけで、ほとんど他人みたいな感じだから。外で助けを求められたから街まで案内してあげただけ。わかったかしら?」


 ユイセ先輩のお言葉に、女の子たちはシュンとなっていた。

 あのー、お取り込み中のところ悪いですが、俺って弱いものいじめされてたんですか……? まぁ客観的にはそう見えちゃうか。全然負けてなかったと思うけどな。


「すみません、ユイセ先輩、そんな事情があったなんて、知らなくて私達……」


「困ってた貧民を助けてあげただけなんですね。なんてお優しい」


「これからも私達、ユイセ先輩に付いていきます」


「ユイセせんぱーい!」


 女の子たちはユイセに群がっていた。

 ユイセもユイセで、よしよしとかしている。

 マジでなんだよこれ、やっすいドラマみたいな展開見せつけやがって。



「じゃあ私、この人に一瞬用があるから、今日は解散ね」


「分かりました!」


「何かあったらすぐ私達に言ってください!」



 そう言い残し、ユイセ軍団の団員たちは去っていった。


「えっと、ごめんなさい。悪い子たちじゃないんだけどね……」


「あんたこのギルドで何をしようとしてんだよ……」


 結局なんの集団だったんだあれ。

 マジで怖いんだが。


「ま、それはそうと貸してた分のお金は用意できた?」」


 切り替えたようにそんなことを尋ねられた。

 ああ、そのことね。


「ああ、お金だったらある程度確保できたから返すよ」


 と思った俺だったが、ワンチャン踏み倒せるかもしれない可能性がよぎってしまう。それにお金を借りるということは縁を作っていると聞いたことがある。一応美少女だし、わざわざ自分から切りに行く必要もないのか?


「そう、じゃあ返して貰える?」


「いや、やっぱりやめておこう」


「どういうこと!? 今返すって言わなかった!?  記憶喪失!?」


「もう少し纏まったお金が入ってからにするよ。いくらだったか忘れたけど、俺にとってはあのくらいの額も結構な大金なんだ」


「2500ドリアね……はぁ、まあ無理にとは言わないけど、じゃあいつ返してくれるの?」


「気が向いたらだな。ああ、そういや俺この後約束があるから、ちょっとこの辺で失礼するわ」


「え? 約束ってなに?」


「君には関係のない話だ」


「何なのよそれ!」




 俺は怒るユイセをおいて、一旦ギルドの外に出た。


「そろそろいい感じの時間だよな」


 裏手に回り、解体場へと向かう。


「うぅ、それにしても凄い匂い……えーっと、あ、いた」


 少しキョロキョロすると、紫色の髪の女の子が律儀に立って待っていた。

 朝だからなのか解体してる人はほとんどいなかったが、一応場所を確保してくれていたのだろうか。


「おーい!」


「あ、ピースさん!」


 リーリルのそばにやってくる。

 ホントに小さいな。何歳なんだろう。


「すまんな待たせたか」


「いえ、全然ですよ」


「じゃあ早速解体を頼む、ここでいいか?」


「はい、どこでも」



 ドシ。



 昨日の反省を活かし、目立たないように牛を取り出す。

 まぁ人もそんなにいないからバレる心配も薄かったとは思うが。


「これを頼むよ」


「かしこまりました!」


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