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「う、うぅ……ありゃ?」


 俺は薄い光を目に感じ、目覚めた。


 知らない天井でびっくりしたが、俺は訳の分からない宿で寝ていたんだと思い出す。


「異世界転生したんだっけ……今何時だ?」


 部屋を見渡すが、時計がない。

 普通あるもんじゃないのか。この世界では貴重品なのかな。


「そういや朝食があるんだっけ……ぐぐぐぐぐぐぐ」


 俺は背伸びをしながら靴を履き、部屋を出た。



 一階に降りると、いくつかのテーブルに何人か座っているのが見えた。

 あれ、この宿ってこんな造りだったっけ。

 夜と朝とで見え方が違うもんなのか。昨日は暗かったし。



「あ、おはようございます。朝食のご用意の方できておりますよ」


 俺に気づいた中学生の女の子が、挨拶してくる。


「おはよう。今って何時か分かる?」


「只今7時半すぎになります」


 うーん、まぁ意外と寝てたのかな。疲れてたもんな。


「朝食って8時までだっけ?」


「そうですね、でも言っていただければちょっとくらい過ぎても大丈夫ですよ」


「そうなんだ。じゃあ早速朝食をいただこうかな」


「かしこまりました。料理をお持ちしますので、席についてお待ち下さい」



 ということで起きて一発目朝食を取ることにした。

 ねぼけまなこで席に付く。

 思えばこれが異世界で初めての食事か。


「今日はとりあえずギルドに行って……そこでリーリルになんとか牛のアレを頼まないとな。そして依頼の報告って感じか」


 お金に関しては牛の肉を売ることで結構確保できたからな。

 単純に今泊まってる宿に10日以上は泊まれるだろ? それにまだまだ牛はいるから、それを売ればもっと確保できる。


「それもこれもアイテムボックスのおかげだな、マジで便利だわ」


 そうこうしてる内に朝食が運ばれてきた。

 パンにサラダ、スープとよく分からない果物。


 食べてみると意外とおいしい。スープに硬いパンをつければ更においしかった。給食の時によくやった食べ方だ。異世界でも健在だった。


「柔らかいパンも好きだけど硬いパンも好きだからな。いやー、いい組み合わせだった」


 まぁ70点は付けてあげていいだろう。


「ごちそうさまでした」


 満足した俺は、とりあえずトイレに行って、受付にやってきた。


「すみません」


「はい、いかがいたしましたか?」


 出てきたのは中学生ではなくおばちゃんだった。いや、女将さんと言ってあげたほうがいいのかな。


「明日の分の宿代も払っときたいんですが」


「かしこまりました。お部屋の方は現在のお部屋を確保しておきますね」


 銀貨四枚を払った。

 これで明日の朝までひとまず安心だ。





 ギルドに向かうべく、疾風亭を後にした。


「今が多分8時すぎだから、着く頃には8時半くらいか? 約束が9時とかだったからまぁ丁度いいくらいだろ」


 時間にも余裕があったので、朝の異世界の街をのほほんと歩きながらギルドに行く。

 うーん、空気がいいなぁ。地球とは違う空気な気がする。ようなしないような。



 バタン。


 ギルドに着き、扉を開ける。

 ギルド内は冒険者でごった返していた。

 密度で言えば昨日の夜と同じくらいだ。


「そりゃそうだよな。朝から向かった方が効率がいいもんな。絶好の狩り日和だし、一狩り行こうぜって感じだよな」


 約束の時間は9時なので、それまでとりあえず酒場の席にでも座っていようかと思っていると、席に見知った顔を見つけた。


「あれ、ユイセ?」


 昨日見た金髪の女の子を見つける。

 酒場の席で、何人かの女の子と仲良く喋っているように見えた。


 うーん、話しかけづらいなぁ。ていうかまぁ話しかける必要もないのか。昨日お世話にはなったが基本関係のない人だし。


 俺がそう思っていると、俺の視線に気づいたのか、ユイセと目が合った。

 ユイセは周りの子達に断りを入れると、なんだか怖い顔で俺のもとまで歩いてくる。


「……どこ行ってたの?」


「え、ええ?」


「ええじゃないから! 昨日からちょっとだけ探してたんだけど!」


 なんだか少し不機嫌なように見えた。

 いや俺の気の所為でなければだいぶ怒ってる。

 え? 俺が悪いの?


「どこ行ったかと思って戻ってみたらいないし……」


 昨日って冒険者登録してたらいつの間にかユイセがいなくなってたんだよな。

 あれはガチで俺悪くなくないか?

 バシッと言い返す権利あるだろ。


「いや、それはこっちのセリフだろ! 俺が冒険者登録してたらいなくなってただろ。なんでいなくなってたんだよ、色々聞きたいことあったのに」


「そ、それは……まぁ、ちょっと席を外してたというか」


 目を逸らし微妙な顔になっていた。

 そうだろう、俺のほうが正しいんだ。調子に乗ると人間すぐにこうだ。


「普通に謝ってくれよな。あれから宿に泊まるのにこぎつけるのにどれだけ苦労したことか」


「あ、謝れって……そこまでしてあげる義理は」


「あのーユイセ先輩」


 俺達が話していると横から声がかかった。

 さっきユイセと話していた女の子たちが寄ってきていた。


「この男誰ですか?」


 女の子の一人が食って掛かっている。結構おしゃれな可愛い感じの子だった。高校入りたてって感じ? 鎧を着てるからこの子も冒険者なのか。


「え、誰って」


「仲いい感じで喋ってますけど、知り合いとかですか?」


 女の子たちが、ユイセと俺に交互に視線を配ってきている。

 え……どういう状況ですか?


「いやいや、仲いいわけじゃないわよ? なんというか、お金を貸し借りした関係というか」


「お金の貸し借り……?」


「ユイセ先輩結構お財布のヒモには厳しいイメージがあったんですけど……まさかとは思いますけど、その男にお金貸してるってこと?」


「どうなんですか?」


「い、いやー」


 やばい、なんかユイセが詰められてる。

 なんだこれ……

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