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「そうなんだ、でも何のために働いてるの? まだ子供なんだし、勉強とかした方が」


 思わず気になり尋ねてしまった。

 見た目的には小学生とかに見えるぞ。

 俺がその年齢の頃とかなんにもしてなかったなぁ。宿題はちゃんとやってたけど。



「それは……」


 リーリルはなんだか微妙な顔になった。

 やばい、聞かないほうが良かったやつか。


「ごめん、別にそこまで知りたいわけじゃなかったから」


「いえ、そんな気を使っていただかなくとも大した話ではありませんので…………実は、家族で働ける人が私しかいなくて……」


 ……え?


「物心つく頃から母の手一つで育てられました。父の顔はなんとなくしか覚えてません。私が幼い頃に冒険中の事故で亡くなっちゃったらしく……。それで無理が祟ってしまったのか分かりませんが、数年前から母の様態が思わしくないんです。最近はもうずっと寝たきり状態で……二歳下の妹もいるんですがこちらも体が弱くあまり外に出られない状況でして。だから私が家計を支えていかないといけないんです。母の看病は妹に任せられるので、私は外で働いて稼いでくる。それでなんとかやっていくしかなくて。まぁでも幸運なことに私にはちょっとだけナイフさばきの才能があったっぽくて今の師匠に拾ってもらえました。それだけでなく仕事まで恵んでくださって。だから今の環境に感謝しながら働かないといけないんですよ。それこそピースさんのような方に依頼をいただけてるこの状況が凄くありがたいです。本当にありがとうございます」


 そう言ってリーリルは深く頭を下げてくる。

 ……お、おう。聞かなきゃ、よかったなー……


「そ、そうか。凄く立派な志だな! まぁ頑張ってればきっと良いことがあると思うぞ。神様が微笑んでくれたりするものだ」


「ふふ、ありがとうございます。でも私無神論者なので、自分で地道に努力していきます」


「そ、そうか。でも案外神様もいるかもしれないぞ。俺は見たことある気もするし」


「いないですよ。いたとしたらこんなに世の中不平等なわけないじゃないですか」


 何だよこのガキ! いちいち重いんだよ話がよ!



「まぁでも話せて少しスッキリしました。こんなに話したのは師匠以来ですよ。今日会ったばかりなのに、なんでなんだろう?」


 リーリルは可愛く小首をかしげていた。

 そっちはスッキリしたのかもしれんが俺はダメージを負ったわ。



「待たせたねー! ちょっと話があるんだが」


 そうこうしている内におばさんに呼ばれた。

 良かった、りだつりだつぅ!




「まるまる一頭分の素材を譲ってくれるなんてありがたいよ。鮮度も抜群だ。文句なしの10点で買い取らせて貰うよ」


「10点?」


「肉の状態のことですよ。1点から10点があって、10点が最高なんです」


 へー、そうなのかー。


「それで買取額の方なんだがね。こういった感じになってるんだが」


 用紙を一枚見せられた。

 そこにはいろんな部位ごとの金額が書かれているようだった。


「うーん分からん。リーリル見てもらえるか?」


「え? 分かりました。でもララおばさんの仕事は完璧なので、疑ったりする必要はないと思いますよ」


「ふふふ、どうかねぇ。もしかしたら知らない内に悪魔に命を売ってるかもしれないよー、きえええええ!!」


「ひやあああああ!!」


 よくわかんないやり取りをしているのを尻目に、金額に目を通す。

 合計額が……6万4200ドリア? 高いのか安いのか分かんねぇ……


「それでどうだい?」


「良いと思いますけど、どう? ピースさん」


「リーリルが良いってのならいいよ」


「まいどあり! それじゃあこれが買取額の6万4200ドリアだ」


 そう言って貨幣を渡されたので受け取る。

 金貨が六枚に、銀貨が四枚。銅貨が二枚……なるほど、十倍刻みの単位なのかな。


「ありがとうございます。因みにこれと同じのがあと五回分あるんですけど大丈夫ですか?」


「ええ? それはどういう……」




 事情を説明すると、いくらでもオッケーだと了承してもらえた。

 よしよし、これで約束は取り付けれたな。肉が売れるって最高だな。まぁこれも俺の魔法あってのことだけど。でもこの値段が一体どのくらいの価値なのかまだ分かんないんだよなぁ。


「流石に凄い額になりましたね。牛乳牛のお肉は柔らかくて美味しいですからね」


 へー、そうなんだ。まぁ地球でも牛肉はそこそこするもんなぁ。


「それに鮮度もいいとなればあの値段にもなりますよ」


「ふーん、そんなにいいんならもう一生牛乳牛だけ狩って暮らしていこうかなー」


「絶対その方がいいですよ。私だったらそうしちゃいます」


 ……あ、そうなんだ。


「そう言えば依頼料を渡してなかったな」


 確か一割くらいが相場だったよな。


「はい」


 俺は金貨一枚を渡した。


「えぇ!? いいですよそこまでは。流石に貰いすぎですから」


「え、そうなの?」


「一割って言いましたけど、金額が低いお肉がそれくらいになるだけで、ここまで纏まった金額となると流石に貰いすぎですので……」


「そうなのか」


「1500ドリアから2500ドリアが相場だと思います」


 ふーん……金貨一枚だと1万ドリアってことだもんな。確かにリーリルの言う相場から考えると高いのかな。


「いや、でも今回は別にいいよ。これからも色々頼むと思うし、それこそ残りの牛乳牛も捌いて貰わないといけないから、よろしくってことで」


「えぇ……」


「それにお肉屋も紹介してもらったし、これくらいは妥当だと思うよ」


 まぁそんなちょこっとくらいでケチる俺じゃないしな。なんだったら半分くらいあげてもいいくらいだし。


「そうですか……まぁピースさんがそこまで仰るのでしたら、ありがたく頂いておきます……」


 恐る恐るといった感じで、リーリルは金貨を受け取った。


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