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元カノに呼び出されました。

 



「まじでキモいんだけど……」


「何で学校来てんだよ」


「大人しく休んどけよ」



 おーい、聞こえてるぞー。

 まぁ、あいつらも俺に聞こえるように言ってんのか。

 ご苦労なことで。


 昼休み。

 LINEが晒されて一週間が経った。

 相変わらず俺の周りでは寒々しい空気が流れている。

 教室ではアンチ佐々木の雰囲気。聞こえるは塚原陽菜擁護の声。

 よくもまぁ、そんなに人のことを悪く言えるなと半ば感心してしまう。

 しかもクラスの数人とかのレベルじゃなく、クラス全体がそんな感じ。

 もう小学生かよ、と言いたくなるが。

 事実、こいつらの精神レベルは小学生どまりなんだろうな、と思うことで溜飲を下げている。




 ………いつか見返してやっからな。

 マジで。




 眼前には楽しそうにクラスの女子と談笑する塚原陽菜の姿が。

 じーっと見ていたら、俺の視線に気づいた取り巻きが、いぶかしげな表情で何やらまた俺の悪口を言い始めたようだった。

 なんてことない。

 先週から全く同じ光景だ。



 ――――しかし。




 今日だけは()()が違った。



「…………」



 ツカツカと歩いてきて。

 俺の席の前で止まる。



 え……、何?



「佐々木君、ちょっといい?」



 俺は予想だにせぬことに生唾を飲み込んだ。




 **********





「もういい加減、私に付きまとわないでくれるかしら」


 昼休みも終わりに差し掛かった体育館裏。

 陽菜は開口一番にそんなことを口にした。


「…………え?」


「視線が気持ち悪いのよ。佐々木君。あとクラスでの雰囲気、分かっているわよね? みんなあなたに学校に来てほしくないのよ」


 彼女らしくない。

 矢継ぎ早に飛んでくる言葉のナイフに、俺はただたじろぐことしかできなかった。


「何か……ごめんなさい」


「謝罪なんていらないのよ、私は。ただ誠意のある行動が見たいだけ」


 イラついているのか言葉に怒気をはらんでいる。

 そこにはもう学園のマドンナの面影はない。


「……誠意ある行動?」


「単刀直入に言うわ。………もう()()()()()()()()()()()()()


「学校に……」


 授業料払ってるんで無理です……。とか、そんな屁理屈は通用しなそうな雰囲気。

 学校に来ないでほしいって…………。

 ……ひょっとして俺、退学を勧められている?


「えっと……そりゃまた何で?」


「キモいから」


「えぇ…………」


 すごい暴論だな……。

 付き合っているときから陽菜の無茶苦茶な感じはうっすらと知っていたが。


「分かった? とにかく明日から来ないで」


 そう言い放ち、陽菜はツカツカと校舎の方へ歩いて行った。




 後にはただポツンと俺だけが残される。




「…………訳が分からん」




















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