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慟哭

 




「アタシが何も考えてないわけねぇだろ、バーーーーーカ!!!!!」


 これまで溜め込んでいたものを吐き出すかのように。

 俺に対する軽蔑を隠しきれないというように。

 ーーーーーーー陽菜は吠えた。



「原田達のこと、忘れるわけねぇじゃん! SNS使って情報を拡散? いかにもクソ陰キャがやりそうなゴミみたいな方法だよ!!」


「どうせ今回も動画とか隠し撮りして正当防衛とか色々考えてたんだろ? 蒼汰の存在は掴んでいただろうから、荒事になるのは想像できる。でも………これで、終わりっ!!!」


 陽菜は思いっきり振りかぶり、俺のスマホを地面へと叩きつけた。

 衝撃で画面がクモの巣状に割れた。


「アンタがアタシ達に直接やり返しに来るのは予想出来た。だから……アタシはお前の知り合いって言う七海(コイツ)を使うことを考えた!!」


 スマホを拾って地面に投げ、また拾っては投げる。

 鬱憤を全てぶつけているかの如く、陽菜は力任せにスマホを叩きつけていた。

 スマホが割れ始め、中の部品が見えている。

 バックアップを取っていないデータは、間違いなく修復は不可能だろう。


「友達だったんだろぉ!? よく知らねぇけどよぉ!!!! 助けてくれた、だか何だかほざいてたからクスリの量増やして黙らせてやったよぉ!!!!」


「…………」


「佐々木ィ、七海ちゃんはもうお前の知り合いじゃないんだよ!! クスリって凄いねぇ、効果絶大。ホントに私のおもちゃになっちゃった。従順も従順! もう元には戻らない。イクとこまでいっちゃったからねぇ!!!!!」


「原田達の一件の後にすぐ仕込んどいたんだよ。『佐々木からとにかくスマホとか電子機器奪えって』何度も何度も刷り込んで刷り込んで刷り込んだ」


「油断したっしょ!? 油断したよなぁ!!!? 七海を助けなきゃ、とか多分色々考えたよなぁ!!!!」


 心の底から楽しそうに。

 この状況が愉快でたまらないというように、陽菜は1つ1つ嘲笑の言葉を発する。


「いつも自分の思い通りになると思うなよ、クソ陰キャ! 蒼汰黙らしたからって、お前が有利になったわけじゃねぇよ」


 今度は陽菜自身のスマホをヒラヒラと振り、LINE……だろうか、LINEトーク履歴らしきものを見せる。


「お前が蒼汰とやり合っている時に、応援を呼んだ!! 蒼汰は下に何人も舎弟抱えてる。ソイツらがココにくるんだよ!! 」


 …………なるほど。

 先程まで大人しかったのは、水面下で動いていたからか。

 が俺に分けるわけが無いと言う前提ではあったけど、既に予防線を張っていた、という訳か。

 ……そう言えば、小屋の外が少し騒がしいような気がする。

 陽菜の今の言葉が本当なら、既に集まって来ているのだろうか。


「まずお前は無事では帰れない。七海のことを知ったからって言って、それを外部に漏らす手段は今封じた。そして、アタシの仲間がお前を徹底的にボコる。………ボコボコにして庭にでも埋めれば、パパの力でいくらでも隠蔽はできる」




()()1()()にできることはもうないんだよ!」



 陽菜は。


 最後にトドメと言わんばかりに、そう吐き捨てた。






「…………」




 ()()1()()、か。

 確かに俺1人にできることなんて、たかが知れている。

 むしろ俺が1人で何か成し遂げたことの方が少ないだろう。

 今回の復讐紛いのことだって、俺1人では何もできなかった。

 助けてくれるアホ(褒め言葉)共がいたから。


 俺はある意味ここまで来れた。


 だから。



 ()()は、君に負けない。












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― 新着の感想 ―
[気になる点] 颯汰って誰よ? 蒼汰じゃないの?
[一言] このクソ女は、法で裁くのでは足りない。息の根を止めておいた方が良い。
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