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とある少女への追憶④

 



 七海の意中の相手。

 情報を集める過程で分かった事だが、かなりの好色家のようだった。

 まぁ……、言葉を選ばないなら酷めのヤリチン。

 そりゃ、サッカー部という華のある部活に身を置いておいて、尚且つ強豪ときたもんだ。

 慕ってくる女なんて腐るほどいただろう。


 そんな男と七海をくっつかせたら、どんな結果になるかは想像に難くない。

 散々遊ばれて捨てられた女生徒の存在が何よりの証拠だ。


 だから、俺は()()()()することに決めた。

 七海と先輩との関係も。

 先輩とそれを取り巻く女どもも。

 何よりその先輩とやらの輝かしい経歴も何もかも。



 別に難しいことは何もしていない。





『先輩』の汚い噂をチェーンメールで流し、学校全体でアンチ先輩、アンチサッカー部の雰囲気を作る。


 先輩の幼なじみとやらは所詮頭の軽い馬鹿女。雅に弱みを掴ませ、先輩との間柄を引っ掻き回してもらった。


 精神的、物理的に孤立したところで阿久津が突っかかる。


 もう既に余裕の無くなっている「先輩」は恐らくノってくる。


 そこを、正当防衛という免罪符で阿久津がケガを負わせる。




 これでリセット完了。


 先輩は、サッカー部の尊厳も、幼なじみも、人気も、慕う女達も何もかも失った。



 雅は先輩の本性を知った途端、「何すればいい!?」と食いついてきた。

 清々しいまでの手のひら返しに苦笑いだったが、奴には最大限の働きをしてもらった。









 後日談。



 ***




「……ありがとね」



 その言葉は、きっと本心ではない。



「佐々木君は、本当に凄いね」


 何も凄くなんかない。

 俺は別に何もしていない。

 俺は君の気持ちを踏みにじった。

 要らない正義感で余計なことをした。


「……みんなと過ごした1年間、本当に楽しかった」



「……そっか」



 七海は中三に進級すると同時に転校が決まっていた。

 上級生からのイジメは結局彼女の親を動かしたようだった。

 隣町だか、どこかは忘れたけどここから離れたとこに引っ越すらしい。

 桜もまだ咲かない中二の修了式の日、正門前にて俺達は最後の言葉を交わしていた。


「でも良かったよ。あんな人と付き合ってたらきっと不幸になってた」


「…………」



「……君は、凄いよ」



「……」



「私も、もっと強くなる。誰かに頼ることなんてないように」



「……そっか」



「私、頑張るから。…………また会おうね」








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― 新着の感想 ―
[一言] 先輩に関しては自業自得でしかないと思うけど主人公や七海は何が気に入らなかったんだろ? そこまでやる必要はなかった?人生が狂うほどの報いは求めてなかった?でもそのままだといじめは続くし最悪本人…
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