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晒されたLINE part1

 




「嫌われ者の生活はどうですか?」


「……死にたい」


 昼休み、太一と中庭の隅に集まっていた。

 飯の菓子パンをほおばりながら、お互いに状況を報告している。


「お前のクラスおっかないよ。変な奴しかいないじゃん」


「やっぱり? 俺も今日学校に来て改めて思った。あいつらは人間のカスだ」


「今日いろいろな奴に話を聞いてみたんだけど、A組の連中。他校とつるんでいるやつとか、なんか援交している噂があるやつとか、………まぁ、関わりたくない奴らだね」


「…………」


 牛乳を一気飲みし、紙パックを力任せに握りつぶした。


「しかしさぁ、佐々木、お前あのLINE……」


「っ!! 見たのか!? お前っ!!!!」


「見たも何も……、色々な所で拡散されているぞ?」


 ほい、と太一が見せてくれたのはインスタのストーリー。

 多分太一がフォローしている人のものだとは思うが、投稿しているのは間違いなく俺のトーク履歴のスクショだった。

『www』と草まで生やされていた。





「………太一」


「はい」



「……人って醜いね」


「……さすがに同情するわ」


 しばし、葬式のような空気が流れた。


「なぁ、佐々木」


「……どした?」


「お前のLINE、音読してもいい?」


「逆にいいと俺が言うと思ったのか? と言うか、何で……?」


 これ以上俺のハートをトンカチで叩かないでほしい。

 もうHPは限りなく0に等しい。


「もう見たくもないんだよ……。正直、自分が何てLINEをしてたかも覚えていないし」


「読んであげようか??」


「いや、だからいいっつーの」


 俺は太一のスマホを奪い取り、当面の問題である陽菜とのトーク履歴を見てみた。


 ***

 10月30日

『今日一緒に帰らない??』

「ごめん、今日は委員会があって」

 10月31日

『今日は一緒に帰らない?』

「ごめん、今日は予定があって」

 11月3日

『今日こそは一緒に帰らない?』

「今日も無理なの」

 11月4日

『今日は、大丈夫?』

「しつこい、ストーカーみたい」

『ごめん、そんなつもりは』

「本当に怖いんだけど」


 ***


 多分、晒されたトーク履歴の中の一部分だとは思うけど……。

 あれ……、これって俺が悪い?

 悪いか……?

 まぁ、悪いのか……。


「ひどいもんだね、彼女なのに一緒に帰ることも許されなかったなんて」


「……っ! やっぱりそうだよな!? あぶねぇ、自分の価値観が揺らいでたわ」


「佐々木は全然普通のことをしているよ。それを必要以上に拒絶していたのは塚原陽菜の方だね」


「でも、世間では俺が悪いことになっているぜ……?」


「いつだって矢面に立たされるのは男の方さ」


「そんなもんか…………」


 さて。

 この問題の根っこはどこにあるのか。

 本当に俺が気持ち悪かったのか。

 それとも…………。


「……遊ばれてたのかなぁ、俺」


「十中八九そうだろうね」


 ……やっぱりなぁ。

 おかしいと思ったんだよな。

 ――――塚原陽菜から告白されるなんて。









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