表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/52

急転

 




「……はぇ~~。そこまでいくんか」


 話を聞き終わった阿久津は、深く深く頷いていた。

 アホ面がさらに磨きがかかっていて面白い。

 でも阿久津のリアクションも正直分かる。

 突拍子のなさで言えば、これまで行ってきたこと全てを遥かに凌駕する。


「これが俺の考えている計画。どう思う?」


「どう思うって言われてもな……。お前がやるって言うんなら、そりゃやるんだろうけど……」


「…………」


「……まぁ、なんだかんだ大丈夫か」


「…………よし」


 阿久津の賛同は得られたな。


「ふぃ~………」


 ぶっ通しで喋ったせいで喉が軽く痺れている。

 ……まぁ、コーラでも飲んでちょい休憩。


「おっ、あれ舘坂じゃね?」


「まじで? ナイスタイミング」


 最後の同志の登場。

 ファミレスの入り口から小走りで中に入ってくるギャル。

 でもなんか、そわそわしてるっていうか……。

 焦ってる?

 俺らを探しているのか、雅は何度も周りをキョロキョロとみている。


 あっ。

 目が合った。



 すぐに、こちらのテーブルに駆けよってくる。

 なんか……、様子が…………?



「よぉ、キモまつ毛。どうしたんだ? そんな焦って」


「そんな話してる場合じゃないんだけど。――――――ねぇ、みんな聞いて」


「「「???」」」





「七海ちゃんがいなくなったらしいの」





 ***




 七海――――――。

 俺らの中でその名前は特別なものだった。

 背筋が少しだけピリつく感覚。

 あの頃の感情やら何やらが戻ってくるような。


「舘坂、どういうこと?」


「たいちっち………、みんなも急にごめんね。ウチ無視できなくて」


「…………いや、無視できるわけない。雅、聞かせて」


 えっとね……と、言葉を探しながら、必死に言葉を紡ぎ出す雅。

 久々にテンパってんな……。

 しかしそれは俺らも同じ。


「七海ちゃんの両親が警察に捜索願を出したみたい。さっきマル坊からLINE来たの」


「マル坊から……? まつ毛女、お前何でマル坊のLINEなんて持ってんだよ」


「七海ちゃん関係の連絡で、交換したことがあったの。何ならウチ、七海ちゃん本人のLINEも持ってるし」


 何!!!?

 それは聞いていない……。

 というか、雅。

 俺らの誓いを忘れたのか……?


「言わなかったのは本当にごめん。でも、七海ちゃん1ヶ月近く家に帰っていないんだって……。ねぇ佐々木どうしよう…………」



 …………。



「1ヶ月………。なぁ、舘坂。七海にLINEはしてみたのか?」


「さっきした。でも既読もつかない」


 …………。


「ねぇ、佐々木。どうしよう。私、どうすればいい……?」


「おい、雅。落ち着けって、佐々木も色々今考えてんだよ」


「そうだよ、舘坂。今焦っても何にも始まらない」


 ……………。




 さて。

 どうすっかな……。



 突然のことで頭が働かない、というのが本音。


 1ヶ月の失踪だったら、何か犯罪に巻き込まれている可能性も捨てきれない。

 事故だったら限りなく生存確率は低い………。

 遭難……?

 いやまさか………。


 自分から?も無いとは言えない。




 何であれ。




「何で……七海ばっかり………」




 俺は。



 ()()()()()()()()()()()女の子の名前を呟いた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 七海は廃人となって生きるか自殺するしかない。しかし、廃人の長い人生やクズ共の裁判のあれこれを描く力量は作者にはないし、その気もないだろう。とすると、七海は自殺し、工業の男達はボコられてお終…
[一言] 高校生が拉致監禁って相当難易度高そうだけど薬まで扱ってるしヤクザとの繋がりもあるのでしょうね。 たまり場の小屋って不法占拠してるのか誰かが部屋借りてるのを小屋と言っているのかどっちでしょう?…
[一言] 最悪のスイッチがついに押される。 もう地獄予想しかないね! 生半可な制裁では済まされないでしょうね、何処まで壊されるか震えながら待ちます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ