塚原陽菜の憤慨
「何で……! 何でなのよっ……!!」
全部うまくいかない。
クラスを先導し、陽キャグループも焚きつけた。
真壁たちへ、アンチ佐々木の空気を出すように仕向けた。
あのクソキモいLINEもクラスのグルやTwitter、インスタ、SNS各方面へ晒した。
なのに……。
「何で平気なのっ!?」
七海から、佐々木は得体のしれない奴であることは分かった。
だからまずは、学校からの排除を図りたかった。
私へ物理的に危害を加えてくるかもしれない。
報復となる行動を起こすかもしれない。
何をするか読めない以上、その現場でなるであろう学校という場所に置いておきたくない。
今日は実力行使で、本人に伝えた。
『視線が気持ち悪いのよ。佐々木君。あとクラスでの雰囲気、分かっているわよね? みんなあなたに学校に来てほしくないのよ』
『謝罪なんていらないのよ、私は。ただ誠意のある行動が見たいだけ』
『単刀直入に言うわ。………もう学校に来ないでくれるかしら』
蒼汰達も呼ぼうかと思ったけど、誰が見ているか分からない状況。やっぱり呼べない。
蒼汰と私の関係が周囲にバレるのもまずい………。
とにかく下手に動けないのが現状だった。
「あぁ、もう!! 普段通りに美人局の方が楽!!!」
もうみんなに頼んでボコボコにしてもらった方が早い気がしてきた。
まぁ、でも。
――――――美味しくなるのはこれから。
最終目標は、学校からの退学。
目標を立てた以上、頑張らないと。
とりあえず、クラスの陽キャに佐々木への嫌がらせLINEをするように言わないと……。
***
~12月1日放課後~
『ごめん、しばらく学校に行けねぇわ』
「…………は?」
LINEの相手は、クラスの陽キャグループの男子だった。
佐々木への嫌がらせを頼んでいて、これからさらにエスカレートさせようとしていた。
でも何?
何で?
『どうしたの?何かあった?』
…………。
返信が来ない。
「何で返信ないんだよ………!!!」
あぁ、もうクソ。
本当にイライラする。
自然とスマホを握る手に力が入る。
すると。
不意にポキポキという通知音。
画面を見る。
『あんま詳しくは言えないけど』
『佐々木には、もう関わんない方がいいよ』
…………はぁ?
なんだよ、それ。
佐々木か……?
もしかして佐々木の仕業???
嘘だろ。
この短期間でどうやって………。
得体のしれない奴だとは思っていた。
『そっか…………、佐々木君に……手を出したんだ』
七海の言葉がよみがえる。
『ふふふ……かわいそうだね、あなたたち』
「っ!!! うるせぇよ、クソがっ!!!!」
急に叫び出した私をどっかのババアがいぶかしげに見ている。
こっちみんなよ、ゴミ…………!
「佐々木ィ…………!!」




