一仕事終えた時のコーラって美味しいよね。
「あの電話、俺だわ」
ズビシっ!
手刀が飛んできて俺の脳天にクリーンヒット。
ってぇな………。
「おめぇかよ!! おかしいなと思ったんだよ、今更俺と喧嘩しようという輩がいるなんてな」
うわ、キモ。
「お前が単細胞って知っていたから、利用させてもらいました」
「にしても、直接俺に言って来いよ!」
「だからお前さ、単細胞なんだから計画とか話しても無駄だろ? アホだし」
クソがっ!と阿久津は悪態をついているが、俺の内心はそこそこ晴れやかだった。
ここは地元のファミレス。
阿久津の殴り込みから1日が経った放課後。
コイツと連絡を取り、事の発端から何からまで全部話していた。
「俺がボコった奴ら、今日学校来た?」
「いや、来なかった。というか、昨日の今日で無理だろ。顔とかボコボコに腫れていたしね。口封じは?」
「ションベン漏らしてたから、写真撮って脅した。お前にも手は出さないって言ってたぜ」
「…………さすがだな」
恐ろしいまでに用意周到。
こういう狡猾さは一体どこで学んだのか……。
…………まぁ、利用したとは言え、俺もこいつには感謝をしなきゃならないな。
アホだけど。
「あの電話も、わざと電話番号でかけてきたんだな。LINE電話じゃなくてさ」
「太一がたまたまお前の電話番号もってたんだよ。使わせてもらった」
「そっか」
計画とも呼べないお粗末なものだったが、なかなか阿久津も予想通り動いてくれた。
しかし。
阿久津を召喚したことは、あくまでも外野を排除したかっただけにすぎない。
目的はあくまでも塚原陽菜。
多分だとは思うが、かなりやり手の女ではあると思う。
狡猾さで言えば、この阿久津を遥かに凌ぐんじゃないだろうか?
SNSといった情報。周りの人間関係。クラスの雰囲気。
使えるものは多分、あの女はなんだって使うし、必要だと思ったらなんでもやる。
――――だったら、俺も手段を選んではいられない。
「阿久津」
「あぁ?」
「雅を呼ぶ」
「…………お前も自分で動けよな? 雅ってことは女を潰しにかかるのか」
頷く。
とはいっても、ターゲットは陽菜ではない。
次は――――――――。




