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カジノの誘惑

 キング・オブ・ゼロ4話「カジノの誘惑」



 案内人の口車に乗せられ、カジノに到着したローキットとロック


「ローキット、ここはヤバいところだから帰ろう!」


「そうなのか? まあ、何とかなるだろう」

 気にする様子もなくズンズンと進んで行く。

「くそう、これが神の呑気さか!」


 そうして案内されるまま、ルーレット台に立つ。

 弾を発射して数字の書かれたポケットに入った数字をで賭けるタイプのものだ。


「俺が見本でやる(いきなりローキットにやらせるのは不安だ)」


「分かった任せる」



「さあ、お客様どうお賭けになります? 確率は高いが配当率の低いアウトサイドか、確率は低いが配当率の高いインサイドか、掛け金は100ロスからです」


「(アウトサイドは数字のグループで賭ける、それに比べインサイドはピンポイントの数字で賭けるもの、当然インサイドなんて当たるもんじゃない。今ある金は100ロス、俺は無難にアウトサイドだ!)アウトサイドのオッド(奇数番)に100ロス!」


「分かりました」


 玉が発射され、回転するルーレットの上を転がる。


「(頼む!)」


 しかし、そう上手くはいかないもので、玉は22の穴に入る。


「残念!」

「あ、ああ(ヤバい無一文になってしまった)」


「さあ、お客さん続きをしますか?」

「いや、もうお金が……」


「大丈夫です。ここでは100000ロスまで借りることが出来ますよ」


「そ、そんなことするわけっ!」

「じゃあ我がする」

 ローキットがやると言い出す。


「!?」

「おお! 素晴らしい! よい勇気ですぞ」


「掛け金はいかがなさいます?」

「5000ロス」


「ローキット、た、高いよ!」


「それで? お嬢さん、どうお賭けします」

「インサイドの5」


「おお!」


「ローキット! よりにもよってインサイドなんて!」

 俺はローキットを止めようとする。

 すると、ローキットは俺に聞こえるくらいの声で呟く。


「大丈夫だ、あれの仕組みは把握した」

「え?」


「それではルーレットスタート!」


 ルーレットが回り、玉は転がる。

 そして、玉の動きは遅くなり、もうすぐ穴に入る。


 玉は5の穴の付近だ。

 そして、見事に5に入る。


「当たった!」


「お、おめでとうございます!」

 案内人は祝福しているが、当たったことに驚いている。

 おそらく、紛れ当たりだと思っているのだろう。


「ど、どうして分かったんだい?」

「台の微細な消耗具合、空気の流れ、玉を発射させるときの癖を見て最も確率の高いものを判断しただけだ」


「凄い(流石は神と言うべきか)」



「お客様、今ので掛け金を36倍して180000ロスの獲得となります。続けますか? いいえ続けますよね?」


 向こうは取られた分を回収する気満々だ。


「い、いえもう結構で……」

「続行する」


「ちょっ⁉ ローキット⁉」

「人間の遊戯、もう少し知りたい」


 無表情だが少し身体が震えている。

 もしかして、楽しんでらっしゃる?


「良かった、今度はもっと楽しんで頂けると思います」


 そうして、より大きなルーレットへ連れて行かれる。


「これはもっと数字の多いルーレットになります。無論確率は低いですが当たればさっき以上の倍率でございます。掛け金は10000ロスからにございます」


 ローキットはしばらく無言でルーレット台を見つめる。


「あの、お客様?」

「全額だ」


「は、はい!」


「(ローキット、出来るだな? 俺は信じるぞ!)」


 ルーレットの準備が整う。


「お客様、どのようにお賭けになりま……」

「43だ」


「一点狙いで?」

「そうだと言っている」


「わ、分かりました」



 そしてルーレットが始まる。

 以下省略。


「お、お、おめでとうございます」


 あれから何度かルーレットが行われたが、ローキットのピンポイント狙いが全て的中。


 カジノ中が騒騒としている。


「ふむ、こんなものか」

「す、凄いよ、ローキット!」

「我であれば容易いこと」


 だが、ここまで勝たせて帰らせることはない。それを予感させるか如くに奥から紳士的な男が出てくる。

「はっはっは、これはこれは、これ程腕があるお客様は初めてだ」



「オ、オーナー!」

 カジノのキャストたちが狼狽えている。

 この紳士は相当の人物のようだ。


「どうですか? 私と一つブラックジャックで勝負と行きませんか?」


「……ロック、ブラックジャックとは何だ?」

「ローキット、ブラックジャックとはカードという紙に書かれた数字を足して21に近づけるゲームだ」


「ほう」

「ただし、J,Q,Kと書かれたものは全て10と数え、Aは1か11のどちらでも数えてもいいんだ」


「理解」


「では、始めるとしましょう。お嬢さん」

 紳士はニヤリと笑う。


「ちょっと待て、掛け金は?」

 俺は何か悪寒がして問う。


「おっと、一番大事なものを忘れてしまっていました。そうですねぇ、今までの少額なんてチンケな勝負では心が踊らないと思いません?」


「……ならば何だ?」


「お嬢さんが勝てばこのカジノ全ての権利を譲渡いたします。ただし、私が勝てばお嬢さん、あなたの全てを私が貰いましょう」


「!?」


「おお」っとカジノ中が沸き立つ。



「もちろん、おやりになりますね?」

 不気味な笑みを浮かべる紳士に俺は嫌な予感がする。


「……やめよう、ローキット。あの男、ろくでもない、悪党だ。きっとまともな勝負をしない」


「何故分かる?」


「……なんとなくだ」


「いや、悪党の生態も見てみたい。やる」

「ダメだ。ローキット!」


 俺はローキットを止めるが、乗り気のようだ。俺では止められない。


「おお、素晴らしい! そう、このどう転ぶか分からないスリルが堪らないのですよ」

「そうなのか」


「ええ、あなたも分かっているはずです」

「はあ」


「(なんてな、この私と勝負することがそもそも負けなんだよ。あっちの男は賭け事はからっきしだが、いい目をしている。それに比べてお嬢さんの方はまだまだ幼い。よって嵌めることは容易い。ふふふ、お嬢さん、あんたを娼婦に落として儲けるか、私の奴隷にするか、どちらにせよ、今から楽しみだ)」


 紳士は目を細めてニヤリと笑う。

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