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東京バトルロイヤル  作者: 宮鵇薫
17/19

地獄の修行中編の2?

どうぞお楽しみ下さい!

「ふぁーあ、、、」


テントの入口の隙間から入り込んでくる低い朝日のお零れが朝が来たことを知らせてくる。


テントを出て辺りを見回すが誰もまだ起きていないようで静けさが体をまとわりつく。


山奥という事もあり冷たい空気がそれを際立たせて、修学旅行の朝のよく分からない不思議な気持ちになった。


「いい加減にしてよ!」


張り詰めた空気を真っ二つにするように怒号が聞こえて少し体がピクリとする。


その声は紛れもなく朱里のものだった。


聞こえてきたのは朱里のテント。


何事かと、俺は朱里のテントに急いだ。


そして、俺はテントの中を見て驚いた。


そこには服がはだけた朱里とその朱里に馬乗りになっている圭一がいた。


「おい!やめろ!!」


俺は状況を理解する前に圭一を朱里から引き剥がした。


「なにしてるんだ!」


涙を流す朱里から状況は容易に想像することが出来た。


俺は圭一を全力でぶった。


そして怒号をぶつける。


「お前がやっている事はクズだ!絶対に許されない!朱里が今どんな気持ちか考えてみろよ!」


「、、、」


圭一は遠くどこかを見たまま動かない。


「聞いてるのか!」


俺は強く圭一の肩を揺さぶった。


すると何かに気がついたかのように体をピクリと震わせ、口を開いた。


「何の、話ですか?」


圭一の言葉を聞いた途端、目頭が熱くなるのを感じる。


「なにとぼけてんだよ!!いい加減にしろやぁ!」


そして俺は再び圭一の頬をぶった。


乾いた音がテントの中に響く。


「何事ですか!」


テントの入口には青ざめた表情の佳奈がいた。


「圭一がやったんですね」


「なのにこいつ、とぼけやがるんだよ!」


「いずれ話さなければいけない日が来ますよね、やっぱり、、、」


「どういう事だ」


「圭一は解離性同一性障害、つまりは多重人格を持っているんです。」


「!?、、、」


「圭一は幼い時に両親が離婚しているんです。しかも、その父親の方のDVがすごくて。離婚したあの日。父親は圭一を酒瓶で殴って圭一は意識不明になり、病院に運ばれました。一命を取り留めたものの、その時の父親の記憶が1人の人格として圭一の中に残ってしまいました。」


振り返ると涙を流しながら崩れ落ちる圭一の姿があった。


「圭一、悪かった。事情も知らないのに殴ってしまって、、、ごめん」


俺は圭一の背中を擦りながら謝った。


「違うんです、、別人格とはいえ、僕は僕です。朱里さんを傷つけてしまった事には変わりなぃですら、本当にごめんなさい、、、」


「いや、いいのよ。事情が事情だし。」


そういう朱里の表情はすごく暗かった。


「とりあえず、朝ごはんを食べよう。俺が作ってくるから圭一は落ち着くまで自分のテントで休め。佳奈、一緒にいてあげて」


「わかったわ」


まだ涙が止まっていない圭一を佳奈が連れていく。


「大丈夫か?朱里」


「えぇ、少し驚いたけど。それより、朝食の準備手伝うわ」


「いいんだ、朱里も落ち着くまでテントで休め。」


「でも、」


「いいから。」


正直に言うと俺も少し一人の時間が欲しかった。


良く考えれば4人も人間が集まれば関係のいざこざが出てきて当たり前だ。


逆に今まで男女4人が集まって何も起きなかったことがすごいくらいだ。


しかし、実際このような事が起きてしまった。


原因は精神的なもの。


チームをまとめるリーダーとして、正直言って抱えきれない事が起きてしまった。


これからは、圭一の「解離性同一性障害」の事も考えた、チーム運営をしていかなければならない。


しかし、治療を続けていても今回のような事が起きるのだから、またチームの誰かが同じ目にあってしまうかもしれない。


かと言って、圭一と他のメンバーを全く別の場所でトレーニングさせる訳にはいかない。


バトルロイヤルはチーム内のコミュニケーションが命だからだ。


どうすればいいのか分からない。


何も分からない。


震える手から皿が落ち、破片が波紋状に広がる。


その音で我に返った。


「チームの事を、1人で抱え込むことないじゃない。」


声の主は朱里だった。


「チームの事はチームで考えましょ。この後、ミーティングをするわ。圭一には辛いかもしれないけど参加してもらう。」


「わかった」


朝食はミーティングを兼ねたものにする事となった。


次話もお楽しみに!!

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