異世界に転生? 私は侯爵令嬢で王宮魔術師のようです。
大城沙耶 25歳
中小企業で一般事務で働く特別目立つ容姿でないふつーのOL。
強いて言うなら、黒髪で艶やかなロングストレートヘアが自慢です。
今日も残業で疲れた体を引きずり、家への帰途に向かいバスに乗ったが不運の始まりでした。
居眠り運転の大型トラックが、自分が乗ったバスに激突。
寄りにもよってトラックは私の座席側に突っ込んできた、「あっ」と思う瞬間に光の中に包まれた。
白い光が薄まり、目を開いているはずだが、見えない訳では無いが、ぼんやりしている。
「おかしい、身体が動かない。」何度も起き上がろうとしたが無理でした。
「痛い所が無いのに起き上がれなわ。」 私は自分の身体を確認した。
ぼんやり写り目に入ったのが私の小さな手だった。
私は、小さな赤子に転生したようだった。
「おおっ、目を覚ましたか?私の可愛いルゥナ」
「ルゥナ?」
ルゥナと呼んだ男性が私に触れ、高貴な陶磁器でも扱うようにそっと抱いた。
「あなた、ルゥナは産まれて間がないのです、何度も抱き上げられては、ルゥナが疲れてしまいます。」
そう優しく窘められ「そうだな、ルゥナごめんよ」と私をベットに戻した。
このように話している男女が、私の父と母だろう。
「お父様には困ったものね、ルゥナが可愛いからと言って何度も抱き上げて、仕方ないわね。」と私の頬を触った。
「 …でも、大変な事になったわね…。ルゥナの胸の痣…」
「ああっ、そうだな。王宮魔術師神官達は既に気付いているだろう。」
「ええっ、ルゥナと過ごせる時間はもう少ないでしょうね。」
王宮魔術師神官聖水晶宮
三日月のおぼろ月夜に聖水晶が輝いた。
アーデイル侯爵家の一室が浮かび上がり、その中の一人、産まれてまもない赤子が映り出された。
その子は深紅の瞳に、プラチナブロンドの髪色で陶磁器のように白く輝く肌をして、唇はぷっくりとして頬と同じローズピンクでとても愛らしい女の子でした。
その赤子は希に産まれてくる、月詠みだった。
月詠み(月の魔術師)は胸に三日月の痣を持ち、自分に見合う魔法の宝石を持って産まれるそうだ。
私の場合は、聖なる光・癒し・聖乙女、真珠ように柔らかでオパールのような輝きの宝石を手にしていた。
「ソレイユ(太陽の魔術師)、ソール(地の魔術師)見たか?三日月の痣の子が産まれたよ。」
「ああっ、ヴァン(風の魔術師)分かっている。私達の仲間の誕生だ。」とソレイユが答えた。
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