第69話 「社会的抹殺」
今回はアニス視点です
これは、やさしいユイ君にはとてもではないが見せられない出来事。
私アニスと、セウルお嬢様にライムという女性で、ユイ君に5人のクズどもを会わせる前にある決め事をしており、それを5人に教えてやった。
その決め事は、
『ユイ君が制裁を与えることを拒んだ場合、私たち3人が5人に制裁を与える』
というものだ。
ユイ君をいじめたことにいら立ち、制裁を与えることを決めた私たちではあるが、これはユイ君自身の問題だ。
だから、ユイ君が満足のいく制裁を行えたのなら、私としては不完全燃焼ながらも、納得はできる。
けど、セウルお嬢様もライムさんも考えてはいなかったけれども、私はユイ君が何もしないだろうと予測していた。
先ほど完全に確信したことではあるが、あのやり取りの前から感じていたことがある。
ユイ君は、優しすぎると。
人を傷つけるということがそもそも選択肢になりづらい子だ。
自身を傷つけた相手であろうと、積極的に制裁を加える姿なんて、私には想像がつかなかった。
だから決め事を作った。
先ほどはユイ君の問題であり、ユイ君が満足すれば納得できると思った。
だが、何の制裁もないなど、私はもちろん、2人も絶対に納得ができない。
無実のユイ君を傷つけたこのクズどもには、相応の制裁が必要。
そのための取り決め。
「覚悟はできていますね?」
「ひぃっ……!」
怯えた声を上げ震えるクズども。
何をするかわからない私たちより、非力で臆病なユイ君の矮小な制裁で済ましたかったクズどもの姿は、滑稽の極みだった。
これから、何をされるのかを想像しているのだろう。
もしかしたら殺されるかもしれないと思っていることだろう。
「さあ、はじめましょうか」
「いやっ……いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
クズどもの叫びが合図となり、制裁の時間が始まる。
*
「こんなところですかね」
顔についた血を拭い、地面に転がるクズどもを見下ろす。
「痛い……痛いよぉ……」
5人がボロ雑巾のように姿になり、かろうじて意識を保っている様子だ。
肉体へのお仕置きとしては、こんなところが妥当だ。
もしもこいつらが死んだことがユイ君にしれたら、きっとあの子は罪悪感を抱く。
そんな必要など全くないのだが、優しすぎるあの子ならありえない話じゃない。
だからちゃんと生かしているし、このまま放置しても日常生活には支障がないほどのケガだ。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
いつからか謝罪の言葉を繰り返し続けていた5人だが、私たちに謝っても仕方ないことだ。
決して許さないのだから。
「セウルお嬢様、彼女たちの傷を治してあげてくれますか?」
「はあ!? いやよ、なんでこんなクズを! ほっといても死にはしないわよ!」
「別に生かすために治すのではありませんよ。肉体へのお仕置きの次は、精神的なものが必要。そしてより精神にダメージを与えるには、体は元気で、意識がはっきりしている状態が好都合ですから」
「……あっそ。んじゃ、業腹だけどこのクズは治すわ」
お嬢様は渋々、終始不満げな表情で5人の治療を始める。
血反吐を吐くほどのダメージを負った5人の傷は見る見るうちに治っていき、ボロボロになった衣服を除けば、ここに来た時と同じ状態へと戻っていた。
「はい、終わったわよ。で、次は何をするの?」
治療を終えたセウルお嬢様が振り返って尋ねる。
傷の治った5人は私を悪魔でも見るかのような目で見ており、正座しながら震えている。
「も、もう……許してください」
「安心しなさい。次で最後です」
その言葉で、5人の表情が少し明るくなった。
「ほ、本当ですか?」
「ええ、もちろん嘘なんてつきません。次で正真正銘、最後です」
5人は最後という言葉、そして傷を治してもらったという事実から、もうほとんど終わったものと安心しきっている。
そんなクズ5人の心を、ユイ君の心が壊れたように、完膚なきまでに壊す。
「そ、それで、次は何を……」
「学園国家で一番人通りのあるとこに、全裸で磔にします」
「……へ?」
5人は一斉に間抜けな声を上げ、固まった。
傍らのセウルお嬢様は「えげつな」と笑い、ライムさんも笑いながら5人を見下ろしている。
「さ、始めましょうか」
いまだ呆けている5人の服に手をかける。
すると、我に返った5人は本気で抵抗してくる。
「い、いやっ! そんなの絶対に嫌! お願い許して!」
しかしそんな抵抗など私にとっては子供の反抗のようなものだ。
すぐさま無力化して、身に着けている衣服の一切を剥ぎ取る。
「いやあああああああああああああああああ!」
その日、学園国家エクセルにて晒し者となったジーナたちは、二度とユイ君の前に現れることはなくなりましたとさ。
めでたしですね。




