第9話「森神様捕まる!?」
「ねえねえ小雪!魔法使ってよ!」
「じゃあちょっとだけ」
「メイクアクア!」
「おおー! 手から水が出てきた!」
「飲めるの?」
「飲めるよ!」
「おおー! 小雪凄ーい!」
「でも小雪が魔法使えるってことは、進路バラバラになっちゃうのかー」
「うん.......そうなっちゃうね」
「ざみじぃよおおおお!」
「彩絵ちゃん抱きしめないでよ! 苦しいよぉ!」
「なぁ白銀! この動画お前だろ!」
「.......そうだけど」
「やっぱ本物じゃんこれ!」
「おいおい、祐貴なんで隠してたんだよー!」
「まじやばじゃね!!」
クラスメートにまであの動画広まってたんだ.......ってことは全国にあれ広まっちゃったのかな?
「ってことがあったんだけど森神様」
「いいじゃない! 有名人なんてやるわね小雪」
「そうですかねぇ、なんか皆ががんがん私に質問してくるんですよ」
「それが休み時間終わってもずっとですよ、疲れましたよ.......」
「まあまあそんな一日もいいじゃない!」
「しっかし動画を許可なく上げるなんて何年たっても人間って変わらないわねぇ.......」
ピンポーンピンポーン
「あっお客さんですよ森神様」
「小雪悪いけど出てくれないかしら、私今手がなせないの」
「.......また音ゲーやってますね、私のスマホで」
「弟子のスマホは師匠のスマホよ」
「はいはい、出てきますよー すいません今行きます!」
「お待たせしました」
「すまない、こちら白銀小雪の家で間違いないか」
「はい、私が白銀小雪ですが.......なにか」
「この前の魔女の事件で聴きたいことがある、森神とやらをこちらによこしてもらおうか」
「へっあの貴方たちなんですか.......?」
「自己紹介が遅れたな」
「俺達は騎士団第10番隊だ」
「そして俺は団長の橘龍之介」
「ちょっとー小雪、どうしたのー?」
「あっ、森神様!」
「貴様が森神か.......」
「へっ? なに?」
「貴様を禁止魔法使用罪で騎士団本部に連行する!」
「.......はい?」
「ちょっと待ってください! 森神様が何したっていうんですか!!」
「この前の魔女結界の動画を見た」
「何が問題だっていうのよ」
「人の魔力を強制的に解放する魔法を使っていたことだ!」
「.......あん時の」
「あれは、人体を傷つける恐れがあるから法律で禁止している魔法だ、許可なく使っていい魔法じゃない」
「でも! あれは非常事態で!」
「1人の命を救ったんですよ!」
「そういや、あんたもあの場にいたらしいな」
「なんで、こいつが魔法を使うのを止めなかった!」
「同罪で刑務所送りにされたいか?」
「.......あんた国の犬の癖に私の弟子を脅してんじゃないわよ!」
「元はと言うとお前が原因なんだぞ!」
「小雪、私の事は心配いらないわ」
「でっでも!」
「大丈夫よ小雪、私は戻ってくるから」
「もしやばくなったら、八黄原の家に助けを頼んで頂戴」
「それじゃ小雪しばらくバイバイ」
.......どうしようかしら
小雪にかっこつけて心配はいらないなんて言っちゃったけど
全然なんも思いつかないわ!!
やばい、封印解かれてから逮捕ってちょー最悪なんですけど!!
というか、あれは仕方ないでしょ! なんで魔法を使うのに許可がいるのよ!
「.......なぁ森神」
「なによ」
「そんなワンピース1枚で寒くないのか」
「あんた、そんなこと捕まえたやつに聴くわけ?」
「別に人のかってだろ」
「あっそ、.......そうね封印されてからずっとこのままだから服は変えたいわね」
「封印? お前それホントか!?」
「そーよほんとよ、それにしてもあんた魔力を全然感じないわね」
「よくそんなんで騎士団に入れたわね」
「団長ーこいつ俺らのこと知らないみたいっすよ!」
「私達のことを知らないなんて、この人相当遅れてますねー!」
「ちょっと! 前のふたり! ちゃんと前見て運転しなさいよ!」
「俺達第10番隊は魔法が使えないんだ」
「どーしよ! ゆうちゃん! 森神様捕まっちゃつた!」
「落ち着け! 小雪! 深呼吸だスーハー」
「スーハー.......うんおっけい」
「それで? 森神様はどうなった」
「えっとね、騎士団第10番隊の人達が本部に連れてくって」
「第10番隊だって!?」
「知ってるのゆうちゃん?」
「あぁ、最近話題の魔法が使えない騎士団なんだ」
「とても強くて1番隊と並ぶくらい強いって言われてるんだ」
「通称黒竜の鉤爪って言われるほど恐ろしいって噂だ」
「そんな人達に森神様が! 早く助けなくちゃ!」
「そうだ! おじいちゃんいる!? 八黄原さんの家を知りたいの!」
「だって陽一」
「八黄原だぁ!? なんであいつなんだよ!」
「家しらないのか?」
「知ってるがあんま行きたくないんだよなぁ.......」
「ゆうちゃん、おじいちゃんなんて言ってるの?」
「うーんなんか乗る気じゃない」
「いーよ! じゃあ自分で探すから! ゆうちゃんありがとうね!」
「いっちゃった.......よーいち?」
「すまん.......でも俺にも事情があるんだよ」
「へぇーあんた達頑張ったのね」
「まぁな、お前も大変だったんだな」
「そうよ、かつての仲間に封印されたなんてひどい話でしょ」
「そうっすね、めっちゃ泣けるっす.......」
「ちょっと何泣いてんのよ!」
「団長、森神さん本部に内緒で10番隊に匿いましょうよ」
「おい、それは.......」
「そうよ、貴方達に迷惑をかけてしまうわ」
「でも私を助ける気があるんだったら八黄原っていうやつを訪ねてほしいんだけど.......」
「八黄原っていったら! あのお偉いさんじゃないすか!」
「あいつの家なら気を利かせてくれると思うわ」
「団長! いいっすよね?」
「.......好きにしろ、責任は俺がとる」
「ありがとう、団長」
「団員以外からそう呼ばれるのはむずがゆいな」
「下の名前か苗字呼びでいい」
「あんた、最初の印象最悪だけど本当は良い奴なのね」
「.......その微笑みこういう状況じゃなきゃ素直に素敵って言えるんだけどな」
「んん? なんて言ったの」
「何でもない、そしてお前さらりと失礼なこと言いやがったな」
「ホントの事言ったまでよ」
「八黄原、八黄原はっと.......これか!」
「アイドルの八黄原菜乃花この人なら美琴ちゃんの家知ってるかも」
「事務所に連絡してみよう!」
「もしもし、すいません八黄原菜乃花さん居ますか」
「着いたぞ」
「でっかいお城ね、こんなのに金かけるんなら街の整備費に使いなさいよ」
「それは、魔天皇にいってくれ」
「はぁ、あんた達も大変ねぇ」
「いいか森神、絶対に騒ぎを起こすな、俺達が何とかしてやるから」
「.......わかったわ」
どうしよ、小雪が何かを起こそうとしてたら、絶対騒ぎが起きてしまうわ.......。
だってこうなるなんて普通は思わないもの!
騎士団にボコボコにされると思ったら車の中で意気投合して仲良くなっちゃったんだもの!
どうしよ! 小雪! ごめん! 何もしないでいて頂戴!!
「森神様待っててくださいね、必ず助けに行きますから!」