東京シェア・ハウス 番外編
ソウタ「売れてるのか、この本?」
アカネ「売れてへんかったら、増刷されへんのと違う?」
マリ「そうね。でも、モデルにするなら知らせて欲しかったわよね」
ヨシオ「名前は違うけど、話の内容はそのままだもんな」
ソウタ「葉山と茶屋町は、実際より良く書き過ぎてる気がするけどな。特に実際の茶屋町は、この十倍はドジだ」
アカネ「何言うてんのよ。そのまんまやないの。そういう蕨くんのほうこそ、えぇように書かれてるやないの」
マリ「本当。意地の悪さが十分の一ね」
ヨシオ「それにしても、ベランダから落っこちて入院することになったり、替え玉とチェンジしたり、色々あったよな」
ソウタ「腰は抜かさなかったが、骨は折れたよな。二つの意味で」
アカネ「坊っちゃんやもんね」
*
マリ「この写真は、たしか葵くんが一時退院したときに、セルフタイマーで撮影したのよね?」
ヨシオ「そうそう。五人揃った、唯一の写真だ」
アカネ「誰かさんが写真嫌いやからねぇ」
ソウタ「悪かったな。極力、仕事以外では撮られたくないんだよ」
マリ「含み綿とファンデーションで写り映えを良くなるようにしたんだけど」
ヨシオ「どこか影があるよな」
ソウタ「アプリで加工しろよ」
アカネ「そんなことしたらアカン」
*
ヨシオ「このあとも、いろいろあったよな」
ソウタ「二つ目貧乏に陥った誰かが、家賃滞納で住所不定になったり」
アカネ「人気俳優やった誰かさんが、共演者との根も葉もないスキャンダルに巻き込まれたり」
マリ「アタシが茎子に相談して、債務整理と事実関係の確認を進めなかったら、もっと大変なことになってたわよね」
ヨシオ「あれは、危ないところだった。土壇場、瀬戸際、危機一髪」
ソウタ「手際が良く片付いたから、助かった。藤沢弁護士様々だ」
アカネ「ホンマ、敏腕弁護士やわ。――あっ、もう、外が真っ暗」
マリ「あらら。七時を過ぎちゃったわね」
ヨシオ「それを聞いたら、お腹が空いてきた」
ソウタ「そうでなくても、年中、空腹だろうに」
アカネ「一旦、整理の手ぇ止めて、晩御飯にしよか」
マリ「そうね。どのみち、一日じゃ片付きそうに無いわ。何にしようかしら?」
ヨシオ「冷蔵庫には鶏肉と白菜があるから、寄せ鍋は?」
ソウタ「何で冷蔵庫の中身を把握してるんだ、芋洗坂?」
アカネ「勝手知ったる、我が家、やもんね」




