表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
XO!i  作者: 恋刀 皆
97/164

第94話「东方的威风~東方的威風~」

「一人称は申します。

到着致しました、と」




………………

…………

……




 解輪そこは、




弥那町の本通りと裏通りの丁度、

境目さかいめに御座居ました。

一階はお車が三台程駐車できる様になっており、

お店自体は、比較的急な階段を上った、

二階に御座居ます。



 あたし少し緊張してるな……は……ぁはは……。



 店内へのドアを開くと、

そこにはあたしの知らない世界が広がっていました。


 入場を迎えてくれるのは、

幾つもの、

雰囲気のある間接照明。

その為か木製の床も壁面も、

テーブルやイスまで、

何処かしら金色こんじきに輝いて見えます。

お手入れが行き届いているのでしょう。

北側にある入口の左右には、

左にレジ、右に……PA機器が設置されています♪

つまり南側が演奏の舞台ステージとなり、

大きく分けると西側には壁面に絵画が数点。

東側は厨房となっていて……、ぅわお酒がたくさん置いてある……。


 そう言えばお父さんはお酒を全く飲まない人でした。

……お母さんは嗜む程度に。

……た、多分あたしは座頭として、

今はこう思うべきなんだ……。




お酒は二十歳はたちになってから!




………………

…………

……




 洋菓子店Merci bienでの手配の為か、

到着は、あたし達が一番最後でした。



 しかし、



あたし達を入れても、

お座席にはまだまだ余裕があります。



 長髪を白地のバンダナキャップで抑えた感じの、

綺麗な女性店員さんが、

すぐに応対に来てくれました。



「よっ! 歌坂達で全員集合よ。

ケーキの手配ありがとさん♪」


 ……え、と。

なんだか馴々しい女性店員さんだな……。

ひょっとして恵喜烏帽子氏の時の様に、

杏莉子のお知り合いなのかしら……?


 そう思う内に、


誠悟氏が近付いて来るのが見えます。

なんとなくいつもの誠悟氏とは空気が異なる……。


「一人称は、

失礼ながら疑問を口に致します。

……もしや、二人称は固有名「一途尾 ぬこ」さんでしょうか?」


「当たり♪

さすがに歌坂は眼が良いわね。

最も、みども――」

「ぬこ? 店長が呼んでいる」


 誠悟氏がかなり強引に、

二人の会話を終わらせようとしている様に見えました。


二人は数瞬視線をぶつけ合って、


「……諭? 気持ちは嬉しいから今は下がるわ。

それでも、みんなには徐々に漏れていくのよ?」


「だから吾は、

皆様へ「徐々」にのご理解を切望しているんです」


「了解したわ、諭」




 そう言って一途尾氏……は、

厨房の中へと入って行きました。




 それから、




誠悟氏は、

あたし達に頭を下げ、

言葉を切り出します。




「……すみません。

それでは、

早速ですが歌坂さん、

ケーキが届くまでの間、

読書会の方、

宜しくお願い致します」




………………

…………

……




 皆様とのご挨拶もそこそこに、

杏莉子の「読書会」、第一声。




「皆さん、

本日はお集まり頂き、

有難う御座居ます。

僭越ながら、一人称は申し上げます。

これより始めます、

一人称が主催の読書会の名を、

計画プロジェクトありす》』と、

呼称させて頂きます」



 その言葉を受けて早速、





と、



挙手がひとつ。



清夜花さんです。



「それではなにやら貴女が、

この場で最も秀でた方という印象を受け、

あたくしは狭量から、

ややいとわしいものを感じずにはいられませんわ?」


「ですから「僭越」と、

一人称は申し上げました。

「読書会」は、

一人称が「責任者」であるという意味以上のものは、

全く御座居ません。

その方針に疑問が生じた際には、

一人称を問いただして頂いて結構です。

一人称も皆さんの知識や知恵を、

必要としている身ですから」



 今度は、

杏莉子と清夜花さんが、

視線をぶつけ合う事に…………、



……その力は拮抗して見えましたが、



「……今回は退きましょう。

今後の貴女の手腕に期待しています」


と、


 清夜花さんから退いて下さいました。

この様な熱が、

清夜花さんにはお有りなのですね……。


 ……あたしまだ、


清夜花さんにまともなお言葉をいただいていないわ……、

……少しへこんでしまいます。



 杏莉子が清夜花さんに一礼して、



場は改まり、




計画Aは始まりを迎えたので御座居ます。




………………

…………

……




計画Aの出だしは、

各々の立場を、

できる限り共有してゆきましょうという事でした。




そこで先ず、

あたし達の住む和歌市についてのお話になりました。



 和歌市には、

七つの町があるそうです。

あたしは用意してきたノートに、

メモを取る事にします。



 先ずは学園が在り、

生活の基本となる【弥那町みなまち】。

冠の【本郷町もとさとまち】。

婚の【高和泉町たかいずみまち】。

葬の【清宮町せいみやまち】。

祭の【市斎町いちいつきまち】。

海に育まれる【姫月町きづきまち】。

山間にある【遊野沢町ゆのさわまち】。



 そう杏莉子から聴いていく内に、

お母さんやお父さんを安心させる為に、

あるひとつの疑問が浮かんで来ました。



………………

…………

……



「杏莉子?

夢降る森はどの町に在るの?」



 あたしの問い掛けに、

杏莉子はそっと目を瞑ります。


「一人称は申します。

現状は答えられません、と」




 すると、




夢降る森を知る方達、

流天氏、天休氏、神咲氏さえなおざりにして、

皆様の視線は自然に、

ある方に集まり始めました。



「……うむ。

われの説明が、

今のおまえ達の中には、

受け入れられぬ者がおるかも知れぬ。

……それでもいと言うのなら、

われは話しても良いぞ」




神守森 逢真氏です。




 あたしでさえ伝わるのですから……、

神守森氏から放たれる「圧倒」を。

それは……、

感じは違えど皇様も御座居ますが、

皇様は、

いつも全てを閉じておいでですから……。



 あたしも含めて全員の視線が、

しばらく交錯し、

結局、

計画プロジェクト責任者リーダーへと、

総意は委ねられたのです。



杏莉子、ごめん……。



「固有名「神守森」さん。

宜しければ、ご説明の程、お願い致します」



杏莉子は自身の責任を果たしてくれました。



「……そうか、

ならば、

われの森に対する暫定的な見解を語ろう」




 皆様が集中し、

耳を澄まされてゆくのを感じます。




………………

…………

……




「先ず結論から、

森は「現世うつしよ」と「隠世かくりよ」の、

中間に位置する門と門の境界と覚えている」




 ひとつひとつにご説明は求めず、

皆様それぞれ、傾聴で足りる方々、

メモを取る方々がいらっしゃいます。


「故に、人が互いに共有できていると思っている、

事象そのものの違いがより顕著になると言ってよい」


 神守森氏は動かず、

おそらくメモを取るあたし達を待って下さっている。


「森の表層……深く入り込まねば、特に問題はない。

例えるなら、

「世界」と「World」が同義的である事を、

ほどく程度の混乱で済む。

……われが伝えておきたい事は、

試され、喚ばれるまでの間に、

「自由」になっておけという事だ。

なにもかもが「なにか」で説明し得るとすれば、

全てが「虚構フィクション」に過ぎぬという事をな。

さらに告げるが、

この和歌市も「市」や「町」の、

悪く言えば、体裁ていさいを整えておるだけだと覚えておけ。

かみわれらへの、誠の贈物あい故のな」




 ……耳を覆いたいお言葉も御座居……ます……、




……ですが、


今は、あたしも思います。

貸コンテナの夜……、

あたしは分解ころされて再構成いかされたのだと……、

まぶたをひとつ閉じ、

まなこをふたたび見開いたのだと……、

捧華あたしは流転する万物のひとつに過ぎません。


 一瞬一瞬が川となり様々に分岐し、

大海へと流れ着く様に……、


………………

…………

……


 ……ですからこそ、


人生とは、




全てつける価値の在る、




ノン物語フィクションなのだと、








今のあたしはまわせるのでしょう。



 ことばのもつちからをしんじているか?

そうであり

そうでない

歌 JACKIE CHAN 作詞 JAMES WONG 作曲 LAI TIN YING MICHAEL

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ