第92話~時間という輝石を君に~「百万本のバラ」
2016年八月十七日水曜日先負。
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あたしは『紅弦』
石は「ルビー」意志は「大胆と情熱」
お姉ちゃんは『幾夜』
石は「スギライト」意志は「無条件の愛」
お兄ちゃんは『詩詠』
石は「カイヤナイト」意志は「難題の解決」
お母さんは『心殿』
石は「ゴールデンダンビュライト」意志は「優れた浄化」
お父さんは『倖姫』
石は「ギベオン」意志は「強い意志」
それぞれが、
夏休みの帰省で、
浄化法とパワーチャージの仕方をそえて、
あたしの大切な家族に手渡した、
贈り物のブレスレット達。
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お母さんへ、
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お父さんは今日も家作りに勤しんでいる。
そのお供に、切なげな歌曲を口ずさみながら……。
「お父さん、その歌曲がお気に入り?」
お父さんはあたしに柔らかく振り返って、
「わかるかい?」
「……曲名は、わからないけれど。
お父さんの気持ちはなんとなく伝わるよ?」
「いつか捧華も、気付いたら口ずさんでいる歌曲かも知れないよ?」
お父さんは微笑んで、
それから、
あたし達の暗黙の了解を明らかにしました。
「そう、曲名も大事だけれど、
僕の一番は、その旋律で魂が震えるかどうかだけさ」
「うん。そうだね。
……今はどんな物語を作っているの?」
「捧華?
僕には百万本のバラを倖子君へ贈れる程の持ち物はない……、
それでもね……?」
お父さんは大人しい声音で、
あたしに告げました。
「君に、百万字の時を捧げたいんです」
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合唱、
家族みんなで、有難う。
お父さん、お兄ちゃん。
お姉ちゃん、あたしで……、
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お誕生日おめでとう♪
ひゃくまんぼんのバラ
しきつめたぶたいにきみとたてたらな
あいしています
歌 加藤登紀子 作詞 Andrei Voznesensky
日本語詞 加藤登紀子
作曲 Raimonds Pauls




