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XO!i  作者: 恋刀 皆
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第85話「Blue Train」

「皆様、こんにちは♪」


 ニコぱっ☆


それでは、



三時間目の始まりで御座居ます。



………

……


 のどかに春色をおびる学びの園。

あたしたちは今、

お部屋を出て、

学園の運動場の片隅へと来ていました。

運動場、そして周りには、人々が散見する。

具体的に、何をしていらっしゃるのかはあたしにはわかりません。

しかし、確固たるご意志のもと、

全ての方々が、そつなく動いていらっしゃる。

その様な想いを、あたしは抱いております。


 最中に、


雁野先生のお言葉も想い出されます、



「外の空気吸えば、好い気分転換になるんじゃねーの」



 そう、


要約させて頂きますと、


野球のボジション適正を、

見る運びとなったので御座居ます。


 先ずは野球、


やはりの三尾氏で御座居ます。


 雁野先生と三尾氏が話し合われて、

おそらく体育倉庫と呼ばれる場所から、

野球のグローブをみっつとボールをふたつ持ってきて下さり、


「怪我したくねーなら、ウォームアップとストレッチは重要だぞ」


皆様で軽いランニングと短距離走を十五分程、

ストレッチに十分程を費やしました。


 その間に……、


……ぁら?

どうして野球のグローブとボールは

みっつとふたつが要るのかしら?

疑問は解けずに。


 その後に三尾氏、


「それではみなさんお一人ずつ、順番は、……eからあいうえお順で、わいさと、キャッチボールから遠投、ピッチングをお願いいたします。肩を痛めない様に、軽めで。無理はしないで下さいね」


 引き継いで杏莉子、


「それ以外の方々は、八百万倶楽部全体のスケジュール調整の話しを詰めていく為に、一人称のもとへ集まって下さい」


 つまり、一途尾氏からの始まりで、


あたしはeクラスの最後となり、


流天氏まで終えると、


………………

…………

……


 雁野先生、



「もーそろそろ飯の時間だ。教室戻るぞ」



 あたしは選手になれるかしら?

と、

そう想いを抱き、


三時間目から放課、四時間目を丸々使って、


野球の守備のポジション決めを、



三尾氏へと委ねたので御座居ます。



………………

…………

……



 御食事を終えて、感謝。



五時間目、


ふたたび、一、二時間目のお部屋へと、


皆様で参りました。



「まだまだ力不足のわいさですがみなさんの暫定的なポジションを、これより発表させて頂きます。申し訳御座居ませんが、敬称は省かせて頂きます。ご不満のある方は発表後に、挙手をお願いいたします」



 三尾氏は、大きく一度深呼吸をされてから、



「それでは、投手ピッチャーから、天休、恵喜烏帽子、早水。捕手キャッチャー、神咲、三尾。

一塁手ファースト、星野。二塁手セカンド、皇。三塁手サード、誠悟。遊撃手ショート、歌坂。左翼手レフト、流天。中堅手センター、神守森。右翼手ライト、一途尾。控えは、七ト聖、常世。以上です」



……え? ……ちょっと、待って下さい……。

これは……挙手しておかないと……まずいですよね……。


こわごわとお部屋の天井に向かって、

あたしが手を伸ばしきる――前に、


七ト聖氏が先に、到達していらっしゃいました。


「はい、七ト聖さん。どうぞ」


三尾氏が指名され、七ト聖氏のご発言、


「それぞれの後学にもなる為、

何故その守備体形シフトになったのか教えてください」


「そうじゃち。何故わちが控えとなったのかは、やはり聴かせてほしいち」


 三尾氏は、七ト聖氏と祷の言葉を受けてから、

お部屋にいらっしゃる皆様を見渡され、

場の沈黙を、同意と促しと、捉えられたのでしょう。


「わかりました。それでは常世さんから順番にご説明させて頂きます。はじめにお伝えしたとおり、暫定である事はお忘れにならないで下さい」


「よろしく頼むち★」


 祷の少々トゲを含んだ声音に押された形で、

三尾氏はご発言。


「常世さんは、一塁手の星野さんと迷いました。ですが、打撃面も想像して考えると、身長差で、初回は星野さんに決めました。しかし、常世さんは捕球能力が高い為、可能な限り、内野手の役立ユーティリティー選手プレイヤーとして頑張って頂きたいと思っています」


「役立つ……選手……ちちち★」


 なにやら祷からたちのぼる黒い霧が晴れていく様に見えます。


「常世さんに、内野手のユーティリティープレイヤーをお願いさせて頂くなら、七ト聖さんには外野手のユーティリティープレイヤーをお願いさせて頂きたいのです」


「わかりました」


 七ト聖氏の声音からは、

「全て」という意味すら込められているかの様に、

感じてしまいます。


 それから三尾氏は、


「外野手は投手の恵喜烏帽子以外で肩が強いと判断させて頂いた三名を選出いたしました」


と付け加えてから、


ここからは、どんどんとご説明は流れていきました。


「一途尾さんは右翼手です。三塁手の誠悟さんとも信頼関係が確かにみえるのが、主な理由です。神守森さんには、特に外野手の統率をお願いさせて下さい。そして左翼手の流天さん。こちらの外野手三名には、打撃力も期待しています。遊撃手の歌坂さんは、動きがキレていますし、頭も良い方だと判断させて頂いたからです。三塁手の誠悟さんとはまだ出会ってから十日も経っていませんが、度胸のある方だと想っています。ライナー性の強い当たりには、十分に気をつけて下さい。二塁手の皇さんは、男性陣の中では比較的小柄であり、動きのキレと捕球能力が確かで、外野手より内野手向きと考えたからです」


 そこで一旦、


「皇、眼ぇ開けれんだな? オイラ勘違いしてたよ」


雁野先生が間に入り込まれて、三尾氏は退かれます。


「両眼を開けた方が、運動に関しては良いです」


今はその両眼を閉じて、皇様は厳かにそう仰る。


「そーかー。プラネタリウムの時も手加減されてたのかー」


「もう一度お伝えします。小生には勝敗も必然です」


「皇は良い奴だなー。すまん。三尾? 続けてくれ」


皇様が、眼を開けられる事がわかり、

あたしの心は安堵いたしました。


「はい。それでは一塁手です。もう一度、現状のわいさの判断を、みなさんに刻んで頂く為に。天休さん、歌坂さん、早水は、今は動かせません。七ト聖さんの有用性は、外野手としても通用すると思う程の為、やはり動かせません。守備負担が軽く、身長差から打撃力を想像させて頂いた上で、常世さんではなく星野さんに決めました」


 一拍の間で、

次へと向かう三尾氏で御座居ます。


「捕手、神咲さんも、たった十日足らずではありますが、天休さんと神咲さんとは切っても切れないご関係とひしひし感じておりますので、夫婦バッテリーをよろしくお願いいたします。もうひとりの捕手はわいさです。野球で最も好きなポジションが捕手だからです。みなさんの潜在能力を思うと、将来的にはわかりませんが奪われない様に精一杯頑張ります」


 ぼやきの様な声音の祷、


「わち捧華と組みたいち」


 祷……どんなに嬉しいんだろう。有難う。

でもね?

柔道着の件は忘れてないからね?

どんなに辛かったんだろう……祷ふふふ。


「常世さん、捕手のポジションの危険性を十分ご理解頂いて練習を重ねてからにして下さいね? そういう意味では、やはりわいさが一番捕手には向いていると思っています」


 いよいよ最後、

と前に置き、

三尾氏の御発言。


「投手へ行きます。天休さんは神咲さんと同じ理由です。恵喜烏帽子は、制球、球威、球速に加えて。彼は、唯一実戦段階だと判断できる変化球を投げてくれたからです」



 ……来た、



……来ました、


ようやくやって参りました。



あたしが投手をやらせて頂けるという僥倖ぎょうこう



その理由が明らかにされる時が……、




「早水を投手に選んだのには、決定的な理由があります。それは早水が――、」




………………

…………

……




 五時間目はこれにて御仕舞い。




六時間目は明日の授業の備えにあてられ、




 皆様、


「起立!」


「礼!」



「有難う御座居ました!」



 ニコぱっ☆


で、








さようなら♪



 ピッチャー? それともバッター?

とってあそぼう

たまはあついうちにうてってね

Music John Coltrane

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