第81話~かくれんぼを終えて~「希望への旅」
中華そば屋「陽龍」にて。
………………
…………
……
予定通り、
空蝉氏と御食事。
麻の運命でも、
味わいまでのさだめは未だ降りてまいりません。
「七ト聖のそのチャイナドレスはなにか? もう登校する前から授業内容が、わかってたみてーに感じるな」
予定通りに驚く。
「っ!? ……まっ、まさか博学多才な事で知られる雁野先生が、「Áo dài」と「旗袍」の見分けがつかないだなんてっ!? はっ!? そ、そうよ……悠久の清朝にまで、想いを馳せていらっしゃるに違いないわ!?」
「おまえはオイラをいくつの頃から知っているんだ……。それがアオザイなんだな。すげー綺麗な服だよ。あいつ……着てくんねーかな。それにしても、皇に七ト聖と、すげーなーおまえ達。教師の矜持も折れそうになるわwww」
「確かに皇様の潜在能力は、麻の運命すら改変し得るかもしれません」
空蝉氏から、「上も無限……」
そう……、
麻が、「下も無限です♪」
そして、
ここは、
普通学園と呼ばれております。
………………
…………
……
空蝉氏と別れて、
逢魔が時の、
春の町並みを行く。
予定通りに、
いらっしゃる。
「逢真さまー♪」
「運命よ、疲れたかい?」
その声音に、胸が泣く。
「麻は、麻ですよ?」
「…………、すまん」
お姉ちゃん? 麻、お姉ちゃんの事、嫌いになっちゃうよ?
ですから、
よく聞こえなかったんです。
「逢真さま? 今日はお醤油味のラーメンを食しましたよ?」
「どうだったかい?」
「逢真さまに召し上がって頂きたい程のお味でした♪」
「信じよう。有難う運命よ」
逢真さま? 逆効果ですよ?
突き放されても引き寄せられても、麻は…………、
……ダメ、ですけど……。
恋愛には、運命も無力、なんです……ね……。
「逢真さま? 手を繋いでもいいですか?」
「よいとも」
あーぁって……思う。あーぁって……想う。
「森は如何でしたか?」
「運命ですらよめぬか。われもより一層、小さきものである事、分を弁えたぞ」
「……そう……ですか……」
ですが、
暗くて昏い夜道でも、
絆ぐ手のぬくもりがあれば……、
ゆっくりと……、
きりひらいて、ゆけるはずです…………、
……この、
………………
…………
……
「逢真さま? 麻、とっても面白いラジオ番組を見つけたんです♪」
「聴かせてくれるかい?」
「はいっ♪ その番組の名は…………、」
………………
…………
……
……希望への旅路を。
いつか いつか いつか
いっしょうべんきょうです
ゆめはいしでかなえよ
歌 織田純一郎 作詞 さがらよしあき 作曲 小川哲夫