第80話~流天 虎頼の場合~「游」
「流天よ。見つけたぞ」
その声で、
それがしのかくれんぼは終わった。
………………
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……
「今日は神守森は居らぬ。よって最下位はおまえじゃ。告げた通り、一位は与え。最下位は、奪わせてもらう」
潔白に、
「先生の仰せに従います」
「善哉。では、おまえの鼎は、eとE合同で森へゆく時までわしが預からせてもらう」
「なっ!? ……そっ、それは困ります。それがしには御役目が!」
先生は穏やかにそれがしを制す。
「大丈夫じゃ。おまえ、天休、神咲はそれまでの間、森に入らなくてよい。わしと雁野先生が補うからのぅ」
天休達にとっては、大変有難い申し出だろうが……、
「それがしは強くなりたいのです! 大切なものたちを護る為にっ!」
「その通りじゃ。そして、その為じゃよ。おまえは気負いが過ぎる。命懸けなら皆こわい。じゃからこそ命を賭すなら、相応に、楽しむ事も覚えてゆけとゆぅ事じゃ。おまえたちはこれから学園で、遊び、学ぶのじゃ」
「……承伏できませぬ……」
「……ならば、詮方ないのぅ……」
………………
…………
……
初日の授業後、格技場にて、
鼎を賭けて、川瀬先生と対峙する。
そして………、
礼に始めて、仕合い、
いささかで、
師の右裏の拳が、それがしの右眉間に、
こっ
と、
撫でる様に触れ、
仕舞い、礼にて終わり。
振り抜かれていたら、
それがしは、確実に死していたのを覚え、
文句がつけようもなく、
鼎は、
それがしの元から、
去っていった。
………………
…………
……
「何故鼎を、それがしから奪われるのでしょうか?」
「悪いな。もう決めておった事じゃ。ひとつめはおまえだけが得物を持っているからじゃ。ふたつめは、変哲もない打突だけならばともかく。祓うのであれば、もう少しお喚びするものへの知識と敬いの心を、蓄えてからにしておきなさい」
「それがしは、まだ……、……やはり、足りませんでしょうか?」
「端的に、中国のお方に力添えを願うのであれば、それは中国語で行われるべきじゃろぅ?」
「……あ、……左様、で御座居ます……。……合点……いたしました」
「その点はeの歌坂の能力の行使はみていて面白かったぞ。気が合えば、話してみよ」
あとはのぅ、
と、
川瀬先生は続けて、
「“鼎”とは、器物であるぞ」
……?……
尋ねる事を許されず、
川瀬先生は、立ち去ってゆかれた。
………………
…………
……
しばらくの暇を出され、
それがしは決めた。
腐らずに、前を向き、
あちこちを訪ねて、
歩いてみようと。
先ずは…………、
そんしてとくとれ
かくれるりゅうにしゃがむとら
たびにでよう
作曲 上妻宏光