第79話~三尾 正公の場合~「C Jam Blues」
わしは帰宅し、
ものを思う。
生徒達を…………、
………………
…………
……
一位「星野 清夜花」
想像を上回る子じゃった……。
一位は純粋に褒美じゃ、
誰が何を欲しがるかまでは、
わしも制御できぬ。
褒美を、
抑え込むか解き放つかは、今後の彼女次第じゃ……な。
二位「誠悟 諭」
誠悟よ?
“場”は、行いたい事を行える様に、
その場を整える能力じゃぞ?
“好きこそものの上手なれ”、
夢中、そう夢を持て、確固たる意志の。
努力をし続ける事が才能じゃぞ。
三位と四位「天休 命」と「神咲 秋桜」
心身を鍛えて、
新しい“技”を、一緒に創ってゆこぅな?
圧倒的、切り札ではなく、普通に仲間と戦える様に。
おまえ達のしておる「たたかい」を、
わしは「戦い」とも「闘い」ともわからぬ身。
御嬢が一日遊べるのであれば、
わしもまた、
森で一日、命を懸けよう。
五位…………、
………………
…………
……
「三尾よ? おまえがこのクラスで今のところは最も普通じゃ。神守森を、……悪いが、除かせてもらえばな」
川瀬先生の表情は、
お面で隠されていてわからないが、
声音から察するに、
「……褒められてるん……ですよね……わいさ?」
「当然じゃ。ここは普通学園なのじゃからな。言葉が伝わらねば、言い直そう。おまえが最も優しさに秀でておる。普通学園の普通は、ひとつそういう意味でもある」
「わいさが優秀……? ……ど……どこがですか……?」
「そうじゃ……な。すまんが逆に訊く。三尾の想う強さとはなんじゃ?」
「…………、昏くても明るく生きていく事です」
「そう。善い顔をしておる。だからおまえは強い」
「いえ……、強くはないと想っていますが……」
「大丈夫じゃ。無限に自由があり、自身を天才じゃと言いたいなら言い張り続けよ。自身を馬鹿じゃと知っていてもなお笑い続けよ。じゃが、ずっとは流石に疲れるじゃろう? 故に普通に座り、休みなさい」
……?……
…………、
…………あっ!…………そう……か……?
………………
…………
……
「わいさも、普通……なんだ」
「善し。辿り着いたよぅじゃな。全宇宙の格子へ」
……わいさは解き放たれた……気がして……、思わず、
「善哉。三尾はこのクラスで唯一、心から、笑顔で生きる事の、大切さを想ぅておる。これから頼んだぞ、三尾や?」
揺れて、
振れた。
かれはスウィングする
かれはスウィングする
やきゅうとジャズのなかで
Music Duke Ellington