第77話~誠悟 諭の場合~「D'You Know What I Mean?」
吾は首位をとれる自信が、
吾は見つからぬと自信が、
……あったのだが、
思い知る事になる。
上には上がいる事を。
星野 清夜花と川瀬 美代子。
………………
…………
……
「先生はどの様にして、吾の“さとり”にさとらせず吾に近付けたのでしょうか? どうか……教えて下さい」
「おまえのは疑心暗鬼の覚、わしのは明鏡止水の悟ほんのそれだけじゃ」
「明鏡止水に至れば、“声”は消せるのでしょうか? ……ど、どうか吾に……」
先生はわずか思惟から、
「わしには誠悟がどれほどの声を聴き、悩み苦しんでおるのかはわからぬ。誠悟よ。道はまだ険しいじゃろぅが、“場”を創り出せる様になれ」
「“場”……ですか……?」
「おまえは夜眠っている時まで声が聴こえるか?」
……それは……玉藻前様も、仰っていた……。
「いえ……」
「ならばひとつ安心じゃ。つまりはそういう事なのじゃが。場を創るには、高度な集中が必要じゃ。学園の生活に追われていては、かなり厳しいな」
「……そう……ですか」
「場を創るには、煩悩やしがらみから離れる力を養う事がよい。おまえの本当にやりたい事をみつけ、それを行え。そしてそれは少なければ少ない程に善い」
「……吾に……自分勝手になれと……?」
「あるがままに生きる覚悟を持てとゆぅておる」
「覚悟を……持つ」
「社会というしがらみから離れてゆけば、人は淘汰とちかしくなってゆく。じゃがさとりで苦しんでおるなら、ひとつの答えではある」
「……確かに、人から距離を置けば声は聴こえませんが……、吾は……社会に貢献できる人間になりたいのです」
「それがおまえの、本当に、夢中になれる事ならば場はどこにいても創り出せる様になってゆく」
空気で、会話の終わる時を覚る。
先生はお多福の内から、
慈しみの声音を、
吾に下さる。
「大切なのは遊びと学びを分ける事ではなく……」
吾は師に想う、
「如何にして、遊びながら学ぶか、とゆぅ事じゃ」
貴女はとても御美しい。
しってるよ
なんにもしれないこと
いみわかる?
Song Oasis Lyrics/Music Noel Gallagher