第76話~星野 清夜花の場合~「花鳥風月」
そこに、
太陽がさして……、
空があり……、
雲があり…………、
風がふき………………、
鳥たちは謳い羽ばたく………………、
………………
…………
……
あたくしは無く。
あえてなら、
あたくしは、
空の間。
………………
…………
……
「早水 捧華」
――っ!
……空に……、
……あたくしを焦がす…………、
……嫉妬という名の……炎が咲かる…………。
………………
…………
……
私立普通学園1-E、
最初の授業、
内容は、「かくれんぼ」
担任川瀬 美代子先生は、
こう告げた。
「わしが鬼でおまえたちは子。どんな能力を行使してもよい。わしから逃げてみせよ。一位と最下位の者は……」
………………
…………
……
「まさか奥の手を使う事になるとはのぅ、かか♪」
あたくしが教室に還ると、
辺りには夜の帳がおりています。
久し振りに、透明でしたのに……。
「教室から全く動かず、ただ空になっておっただけとは、見事じゃ、星野」
「いえ特に……あたくしには日常的な事ですから」
「星野や? おまえは人間じゃぞ? そして、今は青い春じゃ」
「……先生が、なにを仰りたいのか判じかねます」
「どうか聴いておくれ? おまえはわしと違って、美しい佇まいの花じゃ。花を摘み取る人間の心根は罪深いものかもしれぬ。それでもこうはゆぅてくれとると想う。『あなたはとても美しい』と」
「……あたくしには、必要のないものです」
「そうじゃな。わしもそうじゃった。だからもしもを重ね合わせてしまう。わしの様になってからでは、花束を贈ってくれるうつけを探すのは難しいぞ」
「あたくしが学園に求めているのは、砂糖菓子ではありません」
「そうか……では問おう、星野 清夜花よ。かくれんぼは、おまえが一位じゃ。わしが与えられるものであれば、わしが与えてやろう。ゆぅてみよ」
「あたくしは……、星野 清夜花は、
あたくしの、空を……焦がす……この炎を…………、」
………………
…………
……
その夜……、
夢を……みました…………。
清い
夜に
花が一輪。
鳥達は、歓びを謳ってくれています。
風は愛しい子の様に、あたくしを撫でて下さり、
月光りが、流れる天から降り注ぎ、護って下さっている。
なんでしょう……この感情は……?
おそれずに……ふれるなら……この想いは、
そう………、
おどろくほどすんだきれいなよる
あたくしはきみのためのいちりんのはな
ほしのながれるてんじょう
歌・作詞・作曲 吉田山田