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XO!i  作者: 恋刀 皆
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第70話~早水 捧華の場合~「Hide and Seek」

 一時間目半ば、かくれんぼ開始。


もう一度御褒美を確認しようと黒板に目をや



==============================



「帰宅する鬼っ子はここに名前とさよならの挨拶を書いてけれ」


一位 皇 承です。褒美は辞退できるそうですよ? みなさん、さようなら



==============================



ると、っ!? ……な、……にが、

……起きて……い……るの?

どの疑問を優先で解決すべきなのか、全くわかりません……。

教室内には、白い学生服の方の姿が消失していました。

そう、消失で御座居ます。


皇 承……。


「さすが皇様じゃ。わちの能力ちからでも捉えきれん。精進精進」


 うらみつらみもかなぐりすて、


「祷、皇……さまともお知り合い、なの?」


…………、なに? その珍しい生き物を見た様な顔。


「本当に言っておるなら。捧華ではなく、御両親の捧華への躾に心が曇るち」


祷に悪気はなさそうです。


「知ってて当然。そういう事、なんだよね?」


「そうじゃ。そしておそらく捧華は特にな」


「っ? ……どういう事?」


大人しく祷は席を立ち、


「捧華自身の事じゃ。自身で調べよ」


そう言った祷は、


「わちももう探しに行く。ではな捧華」


………………

…………

……


 一時間目が終わる頃には、


=============================


二位 常世 祷じゃ。女子会行きたいちー。皆、お先に失礼♡


三位 歌坂 杏莉子。これにて。


=============================


ふたりの友だちに置き去りにされてしまいました。

残るは、七ト聖氏、恵喜烏帽子氏、一途尾氏、あたし。

皆様に声を掛けさせて頂こう。


 七ト聖氏から、

「見つけたらラーメンが食べられないじゃないですか!? ラーメンは日本の国民食。麻、食べてみたいんです! 逢真さまに召し上がっていただく為に!!」

そうですか。余裕ですか。そうですか。


 恵喜烏帽子氏へ、

「適当な曲を探してる。邪魔はするな」

巨躯で、曲?


 最後は一途尾氏、

「居場所は多分わかってるけれど小細工がメンドイー」

仰って教室をあとにされました。


やばい……。空気的にあたしが最下位になる予感。

それでも「恋バナ」ってなんかドキドキしちゃいます。

六位か……、ってあら?



六人? あたしたちって……、七人、ですよ……ね?



………………

…………

……



 鐘が鳴り、放課、終わり二時間目。

二十分程して一途尾氏が戻り、


================================


四位 一途尾 ぬこだ♪

バイト前に横になれるーさんにんあでぃおすー♪


================================


 二時間目終了間際、恵喜烏帽子氏、


================================


五位 恵喜烏帽子 御門。授業は楽しめた。有難う御座居ました。


================================


去る恵喜烏帽子氏に声をお掛けします、


「恵喜烏帽子氏、お疲れ様でした。告白の練習頑張って下さいっ!」

「する訳ねぇだろぅがっ!」


そっ……そうですか……?


そして実質の最下位は確定致しました。

糸口が、おぼろげですので、

フルドライヴに尋ねます。



 ですが、



……フルドライヴは捧華にセーフモードをすすめる……


……セーフモード?……なぜ?……


……捧華が気付いておらぬからだ……


……なに……を?……


……フルドライヴの恒常使用を停止した事を……


……っ……

……そういわれれば……あたし……

……フルドライヴを何回か喚びだして……た?……

……フルドライヴなぜそんな勝手な事を!?……


……ほう?……捧華は勝手ではないのか?……


……どういう……こと?……


……フルドライヴに心はあると想うか?……


……フルドライヴはあたし自身でしょ?……


……ではフルドライヴも捧華を動かしてもよかろう?……


……そ……んな……


……捧華はどんどん加速し周りをみる事が…………できなくなっていると判断した……


……聴かせて?……


……うむ人生は複雑な迷路だが……

……目的を設定すれば一本道にもできる……


……?……


……目的を決めて新たなドライヴを創れ……分業だ……


……分……業……


……フルドライヴは基本でよく言わば万能だ…………枝は多いが深くはない……


……つまり特化したドライヴを創れって事?……


……善い……フルドライヴは現在問題が起きている為ほとんど休む……


……フルドライヴにもあたしにも?……


……そう……走り疲れたから少し華を愛でるくらいの心で休もう……


……わかったよ……フルドライヴ……うん……歩こう……

……ごめん……いつも有難う……


……有難う捧華……ではな……




「“フルドライヴ““休息診断セーフモード”」




……筋肉の痛みはさらに強くなる為のよろこびでもある…………待っておれ捧華……


……うん♪……待ってる……


………………

…………

……


 フルドライヴを終えると、

身体が重くなった気がいたしました。


さて、どうしよう?

今かろうじて発現させられるのは、

第四の壁だけか……。


 ますます打つ手がなくなり、

気が付くと放課の時刻に入っていました。

ラーメンかも……。


 ……そう、か。


あたしは弱く、愚かで足りない。

恥を掻いて、強くなっていこう。


「七ト聖氏? あのあたし」


「予定通りの運命。『疾走回路フルドライヴ』、『シュレーディンガーの猫』、『無限の囮』『点と線』、そして、『超弦理論』。五枚の札を贈りましょう」


「ま、待って下さい。なにを……仰って?」


祷以上の静謐さで、七ト聖氏御起立、


「あとは図書室にてコールなさい」


有無を言わせず教室を出て行かれました。


………………

…………

……


 お父さんの好きな言葉「我以外皆我が師」。

今は、教えを請うた師のお言葉に従おう。

図書室を探すので御座居ます。



 うろうろする間に、

三時間目から四時間目になってしまいます。



 四時間目を二十分程回り、図書室へ到着。

これだけの御本があるともの凄い壮観。

図書室には御本達の素敵な匂い♪

『シュレーディンガーの猫』は、

お父さんから教えてもらっている。

最初の糸口はそこしかないでしょう。

量子力学である事は、

菜楽荘の日々で辿り着いていますので、

探す事には、時間はあまり掛けませんでしたが、

理解に時間を要しました。


………………

…………

……


 五時間目、六時間目、十五分を回る。

出した御本に礼をし、

仕舞い、

また仕合いが始まります。



『シュレーディンガーの猫』に、

『超弦理論』はついて参りました。



フルドライヴは万能ワイルドカード

『猫』と『超ひも』はおワンペアい。

あとは……、

『囮』と『点と線』の札が、


雌雄を決する。



拉麺まけ」か「かちバナ」か。



 お父さんの別れの贈り物。

「白と黒の融和する場所テーブル

たとえばそれは、

0と1が重なって在る場所とも仮定できるはず。



魂から心へ、試みる。



………………

…………

……



 あたしの心の地平線の向こうから、

低く淡い土煙が一線に、

また大量にやって来ます。



限りなく、荒野を駆ける仔猫たち。

あたしは弱い。

今はただ、勝負より、



挑む勇気を創らなきゃ!



 幼さを鳴く、




言の葉、




「走って! 重ね合わせの仔猫シュレーディンガードライヴッたちっ!」




………………

…………

……


……よろしくニャン♪……


……宜しく!……シュレーディンガー。早速で悪いけれど……

……お願い!……走って?……


……範囲はどうするニャン?……


……普通学園校舎全体でお願い……


……狭い狭い……あっちゅー間ニャン……

……六時限が終わる……捧華もいそげ……


……うん!……


 あたしは駆け出し、


さらにっ!



「“二律背反の囮っ”!」



を撒く。



撒き終えると、

『囮』と『点と線』が繋がったので御座居ます。



 学園内のあらゆる場所に、

無数の仔猫たちが散らばって、

雁野先生に当たって光る。


「先生は、移動してる……。でもっ!」


先生が移動したって仔猫たちは限りない。

雁野先生に当たる度、

光の『点』は増えてゆく。


 先生は屋上へと向かってる、


そうっ!



光の『点』を繋げば、目的地までの『線』になるっ!



駆け上がり、屋上の扉を、開けた、



…………ら?



………………

…………

……



「……なに? この大きな半球の建物は?」



ドキドキしながら『線』の先、


半球に入る。



真っ暗でし……、た……、



が……、




小さな光が天井にたくさん、優しく灯る。




………………

…………

……




「わあ♪ お星様です♪ ……が……屋内なのに?」




「ああ、プラネタリウムだよ」


お面と外套、


そして……、


教室にいた時よりも、


確実にお身体が縮まっていらっしゃる、


……雁野先生の小さなお姿。


………………

…………

……


「よかったぁ♪」


 ニッカリこん☆


その声音とともに六時間目終了の、

チャイムが遠くで鳴り響きました。


「ギリギリだったなー。早水、合格合格」


 失礼になりません様に、


「雁野先生……、なぜそれ程に小さく?」


「……まーおいおいだがな? オイラは、『超弦』という罪科もちなんさ」


これ以上は多分、

踏み込ませないご意志を感じさせる声音。

あたしは黙る。


「……早水は優しいな。有難う、仲良くできそうだな?」


「はいっ、雁野先生。よろしくお願いいたします!」


それでは……、


「恋バナ聴かせて下さいっ♪」




何故か、

え? ……な間、




「……てめー子ちゃんやるなー。よし、」




………………

…………

……




 つくりものの天と星。

それでも……、

とっても優しいのです。

きっと、

それはつくった人々の、

命の輝きだから。

座席に座り、星を眺めながら、



「……まずな? オイラの惚れている女性の名前はな……?」



 あたしの先生は、

お父さんがお母さんに話しかけているような、


大切な人への想いを、




あたしへと、語って下さいました。




 お父さん? お母さん?

あたしには、まだ難しいけれど、

愛し合っていますか?


あたし、頑張れそうだよ?








この、普通学園フルハウスで。



 おそれずにゆめはでっかく

るいはともをよぶ

フルハウス

Song/Lyrics/Music Imogen Heap

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