第60話~前夜~「雪の降るまちを」
ぼくの、終わる世界は、
白かった。
誰にも、求められず。
また、愛される事もなかったと思う。
Teacher Austlaliceの終わり。
ここへ辿り着く。
……いや……、
目的地なんかない。
始まり、そして、
ただここが、
「ああ、終わり……なん……だ……」
そう身体が伝えるから。
………………
…………
……
ここへ来るまでに、ふたつ、
神様、
……なのかな?
の、
ぼくへのご褒美があった。
ひとつは、タキシードとドレスで、
円舞を踊るお人形たち……、
……なぜだか……、あったかかった……。
もうひとつは、
凍る砂の降る夜に、
窓辺からぼくを見る、
天使を、見たんです。
ぼくは孤児。
厄介者。
みんなから疎まれる者。
ぼくはなにかしら、
害をなした憶えはないのだけれど……、
孤児とはそういう者らしい。
そんな八歳という時を刻む頃には、
冷えてしまった。
心が。
それでもいいんだ。
こんなに冷えてしまっては、
もう世界を灯す事はかなわないだろうから。
施設で、ありったけの努力をして掻き集めた。
苦しまずに逝く方法を。
一番納得がいった凍死を選んだ。
本当は、睡眠薬なんかがあればもっといいんだろうけれど。
病院なんかとんでもないぼくには、
低体温症を乗り越えるよりほかない。
………………
…………
……
なんだったかなぁ……、
ぼくの命は……、
ぼくの物語は……。
神様は、こんなのお読みになって、
楽しいのかしら?
寝転んでから身動ぎすると、
突然、
「……い、……いって……てて……」
ぼく……は穴に落ちた……み……た……い。
………………
…………
……
ぼくの人生は踏んだり蹴ったりだ。
でも……温かい……な、この穴……。
お母さんに抱かれるってこんなのかな?
お父さんにおんぶされたらこんなのかな?
……あれ?
……涙、……だ……。
そう、
本当は、
……死にたくなんか、……ないっ!
………………
…………
……
そんなぼくに、神様からの贈り物が……、
窓辺の天使を。
……だから、
……その時に、
誓ったんです。
ぼくを、天使へ、捧げると。
ぼくをあたえててんしはよろこんでくれるだろうか
作詞 内村直也 作曲・編曲 中田喜直