第59話~前夜~「Bookends Theme」
自分は研究者だった。
うん?
……違うか、今も、研究者だ。
かの君の。
かの君に出逢ってから自分の全ての情熱は、
かの君に移ってしまった。
艱難辛苦にあった頃は、
かの君は、
もしや呪いの女神なのでは?
そう疑いもしたけれど、笑い話に変わっていく。
この善き日のかの君との逢瀬にあたる。
かの君は、
お洒落にことさらうるさい女性だから。
いつも大変なんだよ?
簡素な部屋を出て、
化粧室へ。
やはり強く護り、攻めたいものだ。
「“予定調和”? 被服構成する。よろしく頼む」
一瞬が永遠に分岐し、また帰結する。
「……ふぅ……」
かの君の笑顔をみる為の被服におよそ七秒もかかる。
自分も頑張ってるが、やはりかの君が凄いんだね。
それではいざ行かん。
【宿縁図書館「輪廻転生」】へ。
かの君を待たせると、
倖せな時間が減ってしまう。
外へ出ると……、
……あ?……、……秋が降りている。
……そうか、もう……、
『冬構えの秋』か…………。
「かの君」とのズレが生じている、
……だろうな……。
悲しみが生じる……、
が、
胸で止める。
すれ違いは、
恋人達への試練だ。
かの君は、
自分を魅了してやまない万華鏡だ。
そして、ふと縁。
行くより恋が望ましいが…………。
思い立ったが吉日。
動こう。
かの君に出逢う為のルート検索。
思うそばから、
「V-less」での縁起。
拡大固定。
概ねの因果「空蝉」「風・1100」「理・0111」
役割「ガラスの靴」?
……ん……? シンデレラ……さん?
かなり跳ばなきゃ……およそ体感三時間と55分6秒。
……次々と縁起にかかり、調整。
源には、一冊の本、
「✕〇!i」の物語。
愛してもらえるから在る。
自分がいるから、かの君がいるんじゃない。
かの君がいるから、自分がいるんだ。
だからこそ、
自分も、精一杯を愛さなきゃね。
いつでも微笑んで、
「御縁起動」
そうして生きたいから。
じぶんはきみへよやくずみ
Song Simon And Garfunkel