第50話~前夜~「God only knows~」
「01110」
………………
…………
……
到着。
……どこか……、……多分。
空が青い、とか……、
嘘……みたいな、……惑星……。
「ねぇ……、……、……」
……………。
……当然、……のように、……っ…………居なくて……さ。
あー、ハンカチはこの時のためにー、……っ……要るのかー。
まー、……っ……わりと、……っ……どうでもよすぎた。
そうしたら、
いつかの先生ちゃんの言葉を、思い出す。
(……もしも、人間の肉体というものが……鳥籠の様なものだったら?)
「……っ……、……そう……です……ね……っ……」
ひとしきりの雫。
………………
…………
……
それから、
待ってくれていたかの様に、
よくつなぐ、音声。
「ようこそ、地球へ。円歴1979年01月19日。時刻午前08時17分。あなた様の、お名前を教えて下さい」
翻訳は良好、跳躍精度もまずまず、
やるな地球様。
で、
にこっ♪
「…の、…の名前は、日本語、漢字で『自由』です」
一拍を置いて、
「希望は教職、生徒でも可。設定金額は、五円から九千万円の間で、よろしくお願いいたします。あ、永遠払いOKです」
………………
…………
……
「ちぇんちぇー、よろちくー♪」
「こんにちは。よろしくお願いいたします。改めまして、『…』の名前は……」
「くるしゅーない」
「あ、で、では、貴方のお名前を伺っても?」
「な、名前はまだない」
「……ぷっ……、でっ、では……猫っちさんで?」
「おーいえーふ××きんぐれいと♪」
………………
…………
……
「……で、めでたしめでたし」
「はい、ちぇんちぇー♪」
「どうぞ、猫っちさん」
「で?」
「うおぅやるなー。まぁ……ですからね……?」
「…………」
「青い鳥さんを、ひとしきり、狭い鳥籠で、愛したつもりになれたとしたら、……、感謝して、放して差し上げろ、……そういう事です」
「……はなしてもいてくれたらー?」
「……、そうですね……、それが、風景におさまっていてくれたら、それで、……いいんじゃないでしょうか?」
「樽を尻なさい?」
「そうそう、どっち? どっち隠してんの? 頭? お尻?」
………………
…………
……
「では、おさらいです」
「はい、ちぇんちぇー」
せーのっ
「最初の問題が最後の問題、最後の問題が最初の問題」
「ひとつ解けたら。全て解ける」
「無限でひとつの、可能性」
………………
…………
……
……♪……♬……♫…………♬…………♪……
聴きなれない、日本語の、
美しい歌曲。
そして、【J-D-V】。
「第Σ惑星・地球は如何でしたでしょうか?」
「マジで空青くてビビりました。
でも、夜もあって、よかったです」
「それはなにより♪」
数歩前へ、
【跳躍場】へと向かう。
……心、静めて、…………、
ふと……。
「……いかがいたしましたか?」
『…』は掌を、宙へとかざし。
「ヴィジュアライズ」
灰かぶりの空には、
青い鳥が映ってて、
横に、支配者きどりの奴隷くん。
真ん中に、
故郷のカフェ全制覇の、
ちっちゃくて、でっかくめでたいケーキ様。
そして……、
旗が、立っています。
『…』に似合いの、お子様な。
背伸びして、
「君の為に」、って。
………………
…………
……
いつの間にか指先が、
首筋をなぞっていた。
やおら落ち着き、
ヴィジュアライズを止め、
地球に向けて……、
「空が青いって、清々しいですね。飛んでる鳥さん、全て青い鳥で良くないですか?」
「ですね」
優しい機械、
「発つ前に、あなた様と、
こちらの美しい歌曲のお名前を教えて頂いても?」
「システムの管理上、識別番号はお答えできません。こちらの歌曲は、「……………………」です」
「有難う御座居ます」
目を瞑り、
跳ぶ……、準備。
すると、
青い空が浮かんで、
いつの間にか、
謳う。
あなた様のお名前は、美空。
………………
…………
……
「跳躍設定、次は、第3惑星・地球、西暦2016年。可能な航法を提示願う」
いくつか挙がり、
気に入り、
喚び出し、
「“仔猫旅行”で」
跳んだ。
ぼくはきみと1つ
歌 Oratorio The World God Only Knows
作詞 西田恵美
作曲 M.C.E. 前口渉 木村香真良 柳田しゆ mixakissa すみだしんや
編曲 前口渉