第38話~前夜~「Kill All Hippies」
俺は現在交番にその身をおいている。
原因は財布を拾ったからだ。
当然中身など見たりはしない。
すぐさまの交番だ。
俺は警察官を夢見た幼少があるから、
交番に向かうのも警察官と会話するのも、嫌いじゃない。
時は、
笑えるネーミングセンスの、
普通学園入学式前日。
サボり上等の俺ですら、
入学式がちっと楽しみだ。
出席はしようと思う。
どうか笑わせてくれよ?
悠々として、
警察官との会話も並列して行う俺。
正義と悪。
望めるのなら俺は善をなしたい。
しかし、
悪に身を置けば、
善のしらけた真実にも直面する。
だがこれだけは譲らねぇ。
正義は開き直れねぇ。
それを行った直後に、
正義は意味を失くすからだ。
だから正義は、
警察官を続けていらっしゃる方々は、
俺は一目置く。
成れの果てが、武力鎮圧だとしてもな。
俺に警察官が尋ねてくる。
肝心かなめ、俺にとっては。
問題は拾得物の謝礼だ。
あなたの正義を見せてくれ。
俺は拒否。
そして後れて質問を送る。
「あなたは謝礼を受け取るべきだと思いますか?」
わずかに狼狽えを見せる警察官。
それには俺の容姿の与える威圧感も多分にあるだろう。
体躯は190後半。
首には尖った無線ヘッドフォン。
極めつけは俺のアルビノの肌と総白髪だ。
メラニンがどうとかよくわかんねぇがな?
さすが修羅場は経験済みの大人だ。
すぐに立ち直り、
応えてくれた。
「本官も受け取りは拒否するだろうな」
そう、
「なぜですか?」いいねぇ沸き立つよあんた。
どうか俺の道を照らしてくれ。
正義が光る。
「この町の住民の笑顔が、本官には一番の拾得物だと心ありたいからだ。笑顔と安心を与えるのが、我々警察官の職務だ。それを想像できる事が、本官にとっての謝礼だ」
あんたの魂心、震えるぜ。
この町でひとり正義を貫こうとする大人が居る。
寮生活もまんざらじゃねぇかもな。
だが心を洗ってもらってわりぃな。
俺は昏がりにその身を置いてんだ。
次は本官だとばかり俺の身の上を尋ね始めるが、
俺は全く気にしねぇ。
尖るヘッドフォンを耳にキメて。
言の葉を捧ぐ。
有難う名も知らぬ正義の味方様。
……アガるぜ……“Discothèque”……
……“疾駆する虎”……
……咆えろ……“瞬輝”……
俺は文字通り瞬き間に交番を後にする。
………………
…………
……
あんたみたいな正義の味方がいんならよ?
俺の害虫駆除も浮かばれる。
俺は絶滅者。
あんたの天上の光を降ろしてくれ。
名も告げぬお行儀悪ですんません。
俺は西方、
「…………… ……と申します」
あなたはお金を持つ者か?
それとも、
掌に魂を持つ者か?
今日のこの町の正義の味方様に心よりの、
ああ そんけいはちからだ
Song Primal Scream Lyrics/Music Primal Scream/M.Nelson