表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
XO!i  作者: 恋刀 皆
38/164

第36話~前夜~「雲のように風のように」

 あたくしのありたいカタチ。


それは雲のように。


 あたくしのはこびのカタチ。


それは風のように。


 けれどもあたくし、清夜花は、


その在り様を保つ事が、

わずか困難な有り体。


彼女ささげと出会ったあの日から。


………………

…………

……



 あたくしは鳥達の舞うそらとなり。



心をいつもからとし。


小鳥達に慕われ。

我が師であり友、

法華を迎える事さえできるまでになった。


 あの日彼女が現れるまでは、


鳥達はあたくしというくうを切り、

心地よくさえずり翔んでくれていた。

青と白と透き通る場所そのものになれていたはずだった。


過去形。


 現在あたくしのそらには、

火がくすぶっていた。




嫉妬。




彼女を照らす光のおおとり

あたくしは押し込めてしまおうとしても、

嫉妬の醜い臭いは消せない。

端的に。




「何故あの程度のが」




………………

…………

……




『四神』に護られている?




 法華は鳴き。

教えては下さる。

法華はあたくしの友とも呼べるが、

鳳はすべからくそのカタチ。

ことわりを持ってこの星に遍在していると。

法華自身にもそのお力は循環しているのだと。




我が師法華にはあいすみません。




 ……それでもなお、


あたくしには器の違いを見せつけられた想いが……、


あたくしの空を知る事もできぬ、

鳥達の音色に劣る者が、




軽々とあたくしを、

翔びこえていった事としか考えられず。




嫉妬の火がちりちり……ちりちり……、




想ってしまう……、


憎悪。




「……許さない」




 この想いは、

時間で風化させるか。

もう一度彼女と相対するかしかない。


同じ学園に入る以上、

結局は相対しか選択肢はない。


 そんないきどおりを募らせる、


あたくしを、



さらなる闖入者ちんにゅうしゃが掻き乱す。



入寮しちょうど一週間目。

あたくしは、

男子に告白されたのだ。



公衆の面前で。



………………

…………

……



「それがし、そなたの佇まいに惚れましたっ! それがしを、どうか姫君の下に。誓いに、この“かなえ”は姫君の為にっ!」



 闖入者はそう言って、

……なるほど霊力の宿る。

かなり短めの木剣を、

あたくしへと差し出していた。



 ですが男の子?

先ずは名を名乗るのが、

照る道理でしょう?



失礼仕しつれいつかまつそうろう。それがしの名は、『…… ……』で御座居ますっ!」



………………

…………

……



 あたくしの空への闖入者達。

どちらも憶えやすい特徴的な音色。



あたくしに恥を掻かせてくれて、

心を吐きそうな程揺らしてくれて。




どうも有難う。




 こんな気持ち、

生まれて初めて味わってるわ。


そうよね?


空は曇るし雨も降る日だってある。



あたくしの願いはただひとつ。



 あの、

雲のように風のように。

穏やかな空を取り戻す事。




 それが、

あたくし、




星野ほしの 清夜花さやかの、




入学式前夜の、








誓いでした。



あたくしはあなたをにくんでいるわ

歌 佐野量子 作詞 真名杏樹 作曲 釘崎哲朗 編曲 山川恵津子

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ