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XO!i  作者: 恋刀 皆
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第35話~前夜~「君死にたまふことなかれ」

 明日、


あたしは菜楽荘を出て、



旅立つ。



 お父さんとの実戦で、

感情を揺らす事は、

時に死に繋がる事を覚えました。



死は、

まなこがあれば、

そこここにありふれている。



橋の上から川を覗くと、

引き込まれそうになる感覚とか。

自分の意志を折られた時。

まぶたをぱちくりさせる事だって、

一種の死とさえ今は言える。



 だから大丈夫。

同じ分だけ。

生もまたありふれているんだ。



 あたしは結局は死なない。

神仏はいつでもあたしを、

完璧完全にたずさえて下さっている。

それに精神の死は、

死ねば死ぬほど、

より強靭な精神力を獲得できるチャンスにもなる。


 記憶を忘却の彼方に渡す時が来ても、




「あたしは、永遠を歩くんです」




そうお父さんに伝えたら、

自然に髪を愛し撫で、

こう言ってくれたんです。



「捧華はもう立派な、『OLinerラヴライナー』だ」って……。



 きっとその言葉の意味は宿題なんだって想い、

それ以上は尋ねません。


 ですが、

お父さんは自身の魔法“第四の壁”について、

多少の事を話してくれた。


あたしは、「何故今そんな事を?」と思いましたが、


お父さん曰く、

「捧華が座頭としてやっていく中で、知っておいてもらった方が、僕も創りやすいからね」

という事……、なにそれ?


結局“第四の壁”の基本だけでしたが、

要は、視方みかたポイントの幅を広げられるというのが、

“第四の壁”の利点のひとつと覚えました。

例えば、あたしが文字である可能性の上で、

「あたしを読んでいただき、有難う御座居ます」と、

一見メタな発言をしても、そういう世界は確実に在る事を信じられれば、

あたしは文字の枠から、少しだけ外れられる訳で御座居ます。



 さぁ、



明日は早い。



もう寝ないと……。



お父さんお母さんお兄ちゃんお姉ちゃん。

凛音ちゃん、ごめんなさい。

行かせてくれて有難う。

支酉神社の皆様。

菜楽荘の皆様。

菜楽町。


いつも 有難う御座居ます


あたし もっともっと成長するね




おやすみなさい……。




………………

…………

……




 彼は言う、




「おはよう捧華君」



優しく穏やかな口調で、



「君のお陰で、やっと悪い夢から解放された」



彼はハンサムなのに、

鼻から血を流していて……、



どこか絵空事……、



……夢……なの?



ホントなの?




周りを覚えると、

たくさんの桜の花びらが、




桜花絢爛。




白、薄紅、濃紅に、


包まれる様に舞い踊られて、



……気が付くと、



彼と手を繋いでいます。


それから……、



水たまりの上を裸足で、

じゃぶじゃぶやってるあたし達。



 彼はさらにこう告げます。


「小生も、悪しきとおぼしきものと戦うよ。何度倒れたとしても。どれだけの涙を流したとしても。小生は、君が居てくれれば立ち上がれる」


夢現ゆめうつつの中、

まさかに直感が閃く、




この方があたしの仕えるべき……、




きみだ。




 その出逢いが、

あたしを途端に臆病にさせる。





「あたし……、はなれにたくないっ!」





 ……ですから、


君にも望み……、

……どんなに滑稽こっけいに見えても、

すがりさえするっ……、





「どうか、『…』くんも、死なないでっ!!」





………………

…………

……





なぜなら、





そう……、





きっと……、








あたしは……君を……、



そうこれがきっとあいするということ

詩 与謝野晶子 歌 島田祐子 作曲 服部良一

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