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XO!i  作者: 恋刀 皆
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第28話「世界の果てまで」

 御本を……、


読み……終えました。


 あたしはお父さんが大好きだから、

ひいきしちゃってるのかなぁ……?


 あたし、



お父さんの御本が大好きっ。



いつもいっつも、


そう想ってしまう。


お父さんは喫煙するからお口が煙草臭いとか。

お部屋ではなぜかトランクス一枚とか。

お出掛けの服装がひとり浮いてるとか。


どうでも良くなっちゃうくらい、


大好きになっちゃうんです。


 あたしは決意。

今日お父さんとお母さんが帰ってきたら、

お父さんに御本の書き方の秘訣を、

教えてもらおうっと。


 そう思った矢先に、




ピン♪ ポン♪ パン♪




いつもの合図。


ほくほくの笑顔でお出迎えするんだ。


いざ玄関へ、



ふたりの大好きな作家さんを。



………………

…………

……



 ただいまでたった今。



大好きな作家父は、

これまた大好きな作家母へ、


叱られてる。


 どうやら父は警察の方に、

職務質問しょくむしつもんというものを受けていたらしい。

原因の最もは、お父さんの服装。


母はお洒落さんだけれど、

悪目立ちするなんておバカはしない。

今日はお父さんシャーマンドレスと呼ばれるものを、

羽織りたかった気分だったそうで……、


「全くっ! 私がいなかったらどうなってたか!」


そして、続いてお決まりの台詞。


「本当に心也君は私が居て上げないとダメなんだからっ!」



笑いがこみあげる。



 それにしても……、

あたし達のお役目って、陰陽師ですよね?

呪術者シャーマンはいいのかな?


 あたしがそう尋ねると、

お父さんはさらりと事も無げに言う。


「僕は想うんだ捧華? 全ては連なりの鎖です。大切なのは……、白人、黒人、黄色人種……。そうじて人は人ですよね? 敬う気持ちを忘れてしまわなければ、陰陽師もシャーマンも、きっと何処かで繋がっていて、神仏は、でっかい御心で、愛してくれるはずです」



結局。



 早水家の夕げの時間まで、

母とあたしはお料理に取り掛かる。

あたし捧華はお母さんと仕合い、

いつか勝つ。

お父さんはもくもくとお部屋で執筆です。



 仕舞い時がやって来ても、

それは次の仕合いの始まりに過ぎない。

我が家のお夕飯の時刻になる。




「いただきます」




………………

…………

……




「ごちそうさまでした」




 しゃーわせ♪ おっと……、

幸せ。

ただいまあたしはご機嫌。


なぜなら、


今日はあたしの大好きな、

温野菜や生野菜をこれでもかと、

御馳走してもらえたから。


「お母さん有り難う♡ あたしの好きなものばっかり♪ 今日なにかあたしご褒美もらえるような事したかな? すっごく美味しかった♡」




すぐに食卓が、



ぴり



と来ます。




 あたしが怪訝に感じていると、

お父さんは神妙な声音で告げる。



「腹が減っては戦ができませんから」



「戦……ですか? あたしが? 何と?」


「うん。捧華が学園に行く前に、どうしても覚えてもらいたい事があります。その為に捧華の命の糧として、精一杯倖子君が振舞ってくれたんです。たくさんの生命を」

「野暮」

すぐさまとぶお母さんの突っ込み。

そして両親は視線会話アイコンタクトを、

数瞬行いました。


「捧華? 以前、これからは捧華が座頭だと言ったけれど、今夜は僕に……それを委ねて欲しい」


「は……はい……それは大丈夫ですが、……これから、どこかへ行くのでしょうか?」


お父さんははっきりと頷いてから、


「うん。僕は頼りない父親だけれど、おまえはよく僕を許してくれてる。本当に、有難う。それでもこんなでも、おまえの父親、やらせてもらいたいんだ」


 そう言い終えて、

お父さんは、

善き間で、

左腕を前に伸ばし、

左手をぴっと揃えて。

左側に払いました。



 すると……、



静寂が生み出されていました。




とつ




と、

お父さんは、

会話を終着させる一言を、

食卓へ落とす。




「じゃあ行こうか? せかいの果てまで」




………………

…………

……




 読むべき時に、

読む御本が降りてくる。




これぞ縁。


 あなた様方が覗くなら、


また果てしのない物語の、


一演者でしかない。


 私、


ダーシー・エンドブックも、


あなた様の深淵を覗く。




和して流れて流されず。




 仲良くお付き合いの程、





よろしくお願いいたしますわ♡





 本日の、

この頁はおねむの時間。





私は夢に消えるといたしましょう。








夢の中で、夢をみる為に。



 ぜんあくのひがん

なまけるとあとがつらいよ

つよいひかりはつよいやみをうむ

歌・作詞・作曲 高田梢枝

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