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XO!i  作者: 恋刀 皆
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第18話「A Life Less Ordinary」

 今日もあたしはお父さんにせっつく。


お母さんのイラつき止まりの敵意を感じながら。



「お父さん御本……、新作はまだでしょうか?」



お父さんはぴっかりこん☆


「捧華、ナイスタイミング。実は今捧華の通う学校探しでね? 面白い御返事が返ってきたから、これ読んでみてくれないかな?」



と、


お父さんはあたしに冊子を差し出します。


すぐに目に留まる文字。



【私立普通学園~入学にあたってのしおり~】



「……お、お父さんお母さん。あたしの為に……有難う」


お母さんの敵意は萎えて、

お父さんも話しやすくなった様に感じます。


「うん。こちらこそ有難う。やりがいのある仕事をくれて。ページは少ないから、できたらここで読んでみてくれないかな? 読み終われば、なんでかはわかるはずだからさ」


お父さんの言葉を受けてわくわく感♪



「うん♪」



………………

…………

……



頁を、


なるだけ丁寧に、



さら



………………

…………

……



===================


【絵本「普通の人と天馬と星」】


 昔でも未来でもどっちでもいい現代。


三角形の惑星がありました。


 惑星には、

人々が勝手に偉大だと称える、

王様がいました。

いつしかの冠す名は「怪物王」。


 彼の願いはただひとつ……、


幼き頃に命を救ってくれた。

とある医者への恩返し。



 王が独りなら、奴隷は何人?



善い事も悪い事も、責任は王様。



………………

…………

……



 奴隷街に舞い降りる、

とあるお医者さん。

奴隷をひとり、救いました。

奴隷は尋ねます。


「お医者様、なんでですか? ぼくの命に価値などありません」


「君は、なぜそう思うんだい?」


「ぼくには名前もないんです」


「……それは?」


首輪それ」に刻まれた数字は「14106」。


「これは囚人番号です。名前ではありません」


「そうかな……いい名前だと、……想うよ」


「?」


 命を救われた奴隷は、

お腹がペコペコで、

奴隷専用の、一品しかない。

カレーライスを食べました。

そして、気付くのです。


「お腹がペコペコなら、

ご飯はとっても美味しいんだ」


ひとつでもすえひろがっても。

それを感じられなければ、

美味しくないんです。


 いつか……、

「14106」は、

「27」という囚人番号だと思っている奴隷に出逢い。


満天の星空の中、告げるのです。


「あのお星様に、

君の名前を差し上げてもいいかな?」


「……お星様が……可哀想だよ」


「そうかなぁ……、

それは……誰が一番可哀想なのかなぁ……」



「14106」は、泣いてしまいました。



………………

…………

……



困ったら、三角形を、くるくる回してごらん?



いつか気付く事が

やってくるかもしれません。


△もなく×もない、

みぃんなまんまるの満点なんだって。


「怪物王」と天を翔る馬は、


今日も呟きます。



「命を救って下さった。貴方の為に」

「僕を、本当の医者にしてくれた。君の為に」



ふたりは出逢えて、

倖せだったに違いありません。




皆様? 普通ってなんでしょう?




弱さは弱さでしかないのでしょうか?

本当の強さとはなんでしょうか?

普通は本当に普通でしょうか?



ぼくは想います。

本当に普通の人こそ、






本当に、優しい人なのだと。






もじ こひなた いらすと じょにー


げんさく みんな


===================



………………

…………

……



 あたしは読み終えて……畳みます。


そして、あたしは決して告げました。



「お父さんお母さん。あたしこの学園に行く。絶対……行くから」



 お母さんは、

凛とあたしに訊ねてきます。


「……そう、行けば? でもね捧華? 何故?」


ひとつ。


「あたしの大好きなお父さんの仕事を、

認めて下さった学園だから」


ふたつ。


「読んでて、とってもわくわくした」


だから……、


みっつ。


「あたしの魂が呼んでる」


 うん……、

言い終えて、

お母さんから視線を外し、

お父さんを見ると、

何処か……、

お父さんは複雑な面持ちをしてます。

それでも、あたしへ繊細に、



「有難う捧華。それなら、行きなさい」



そう言ってくれました。



落ち込む部分はあっても、

あたしは退きません。



「うん絶対行く。『絶対』にだよ? お父さん。うちお金ないよね? ……ごめんね」



お父さんとお母さんは、

「任せなさい」と笑う。


「捧華? お金の事は心配するな。僕は永遠払いで御仕事を引き受けてる。だから、私立普通学園も永遠払いでいいってさ」


あたし……、

また悲喜交々が顔にでちゃうわ。

ポーカーフェイスを覚えたい……です。


永遠払いについての疑問が浮かびますが、


あたしの発声する兆しを、

お母さんが摘み取ります。



「ふたりとも? もうご飯にしよう?」



………………

…………

……



 永遠払いの謎は、



どうやらあたしへの、








宿題の様で御座居ました。



ふつうじゃない!

ふつうじゃない?

ふつうじゃない。

Song Ash Lyrics/Music Tim Wheeler

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