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テンプレを壊して僕はモブ子に恋をする。  作者: 戸塚 秦
Grauding Overroad Destroyer
36/37

火蓮寺照秀。


話が長くなるのが嫌いな性分なので、手短に話す。



私の息子は、火蓮寺に相応しい、異能力に長ける能力者だった。

親の私も鼻が高かった。


多恵も愛情をめい一杯注ぎ、息子、照秀はすくすくと育っていった。



高校2年になる時には、大の大人にも勝てるほどの力をつけていった。しかし驕ることもなく、周りからも信頼されるような人望の厚い男となっていた。


「照秀。今日学校はどうだった。大丈夫か?異能力は使っていないよな?」


「心配し過ぎだよ父さん。周りは異能力

ばっかだし隠す必要なんて、あんまりないよ」


「そーゆーことではなくてだな…お前の力だと…」


「由伸様…照秀も分かっていますよ。そんなに毎日毎日心配しなくても…」


「母さんの言う通りだよ!!それよりお腹空いた!!今日のご飯何ー?」



家に帰ってくるなり食事用のテーブルに座り、まだかまだかと夕飯を待ちわびる。


私も呆れて、でも笑いながらテーブルにつく。

多恵が美味い料理を運んできて、全員で食事をとる。



火蓮寺の最高権力者言えど、家では普通の父だ。


普通の、幸せな家庭だった。




「照秀の誕生日、何をあげようか」


「そんなに考え込まなくても貴方がくれたものならなんでも喜びますよ。だって貴方を尊敬しているもの」



夜、照秀が寝ている頃私は多恵ともうすぐ来る照秀の誕生日プレゼントを考えていた。

照英の誕生日と多恵との結婚記念日は被っていたが、自分達の結婚記念日のことは二の次だ。


それほど、息子を愛していた。


決して多恵のことを愛していない訳ではない。


ただ、自分が望んでいた男の子が産まれ、望んでいたキャッチボールをした、望んでいた、望んでいた…。


毎日が楽しかった。


その幸せな日常も、一日で壊れるのである。







「多恵。喜んでくれるだろうか」


「またそんな心配をして…大丈夫ですよ。照英は喜んでくれますよ」


「……そうか」




誕生日当日。

私達は照秀の学校の帰りを待っていた。



「今日は遅いですね…」


「委員会の仕事でも長引いているのだろう。あいつはお節介だから、他の仕事も手伝っているんじゃないか?誰かに似て」


「誰かって誰ですか由伸様」





その和やかな雰囲気を壊す一本の電話が入った。


「なんだ?学校からか?」


ガチャ


「火蓮寺だ」


「由伸様!!!!大変です!!!!」


「……なんだ。まず名乗ってから要件を…」


「それよりも照秀様の学校が!!!!!」



私は要件を聞く前に、名前を聞く前に電話を切り魔力を全開にし、自身が出せる最高の速度で照英の学校へ向かった。


「由伸様!!!!!…どうされたのでしょう…」



取り残された多恵は不思議そうに由伸を見送った。


受話器が本体へ収まらずたらんと垂れていた。






「…どうなってるんだ…ッ!」



照秀の学校は表向きには普通の高校とされているが、異能力使いの学生が集まっている日本に数校しかない学校だ。


通常授業と共に異能力を正しく、秘匿的に使用するためのノウハウを教えている。


やはり一般の世界での異能力はタブー。交わってはいけないのがルールである。

その異能力世界での常識を養う場所でもあるのだ。

なので先生達も全員異能力者、しかも腕の立つものばかりだ。

そんな学校に……。




「これが…あの学校…だった…?」




見る影もなくなっていた。



瓦礫の山と化していたのだ。




結界を張られていて一般人には目視できないようになっているが、これは先生達が施したものだろう。


これを行った人物は、そこまで頭が回らないように見える。




「照秀は…照秀は…ッ!」



瓦礫をどかしながら我が子を探す。


だが我が子どころか他の生徒や教師の姿も見当たらない。



「この惨事で…死者がいない…?」



「火蓮寺…由伸様……!」


瓦礫をどかす私の背中から呼ぶ声がした。


「!!…内藤先生!!」


内藤先生は照秀の担任である。生徒からの信頼も厚く実力もある、私が信用していた人物だ。


「何があったんだ!!貴方がそんな怪我をするなど…」


内藤先生は左腕がなく、左脚があらぬ方向へ曲がっており、あらゆる部位から血が大量に流れていた。


「私は……いいんです……。電話を聞いて駆けつけてくれたのですね…。貴方がいれば安心だ…」


そう言うと内藤先生はいつもの朗らかな笑顔でその場へ倒れ込んだ。


「内藤先生ッッ!!!!!…………クソッ!!」


駆け寄っていったがその時にはもう死んでいた。


この学校に一体何が起きたんだ。

私はこの疑問よりも怒りが頭の中で優っていた。





私の魔力に黒い影が過ぎった。

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