西宮薫は再起する。
僕、西宮薫は地面に伏せていた。
目の前には血の海が広がっている。
これは…僕の…血か…。
「そんなもんかァ?西宮薫ってのはよぉ!!」
僕の前に立っている男が言う。
はは…みっともない。
何が世界を壊すだ、何が彩さんを救うだ。
こんなところでこんなモブみたいな奴に負けてるようじゃあ、世界どころか周りのみんなも救えない…。
男が僕の髪の毛を掴み、持ち上げる。
僕は意識が朦朧としているので、ハッキリと男の顔が見えなかったが、笑っていることだけは分かった。
男が殴ろうと拳を上げている。
能力を使って僕の首を殴りちぎって、首だけ持って帰るつもりだろう。
あの女性みたいに。
髪の毛を掴んで。
ぐるぐる回しながら。
上機嫌に、鼻歌まで歌って帰るだろう。
僕は無力だ。
『特別なんて必要ない』…か。ははっ。
カッコつけたところで好きな人1人、守れやしない。
そんな普通。
僕は………。
僕はいらない。
「なにッッッッ!?!?」
男が距離をとる。
「テメェ…なんで今まで魔法を使わなかった…。てっきり弱ェ魔法しか使えねぇと思っていたが…見当違いだったようだな…」
僕はまた、魔法が使えるようになっていた。
「これなら…お前をぶっ潰すことができる」
「ハッ!!そのボロボロな体でなにができる!」
「……『白虎』ッッッッ!!!!」
発動して5秒もしないうちに勝負は決まっていた。
男は…元男だったモノはグシャグシャな肉塊となって転がっている。
「……先生と戦った時はこう…瞬殺はできなかったのに…やっぱ先生は強いんだな」
僕は転がっている肉塊になんの恐怖も抱かなかった。
ムーさんと達馬は避難し遅れた生徒達を誘導していた。
「………早く…走れッ!!!」
「ムーさん…怖いですよ…。みんなビビって、貴方から逃げてくように走ってってるじゃないですか」
「………好都合だ」
ムーさんは胸ポケットのクシャクシャになったソフトタイプのタバコを一本取り出し、魔法で火をつけ吸った。
「ムーさん…タバコ吸うんですね」
「………希の前では吸わないがな。あいつはタバコの臭いを毛嫌う」
吸いながら、話しながらも2人は誘導を続けた。
ジリリリリリリリリリリリリリリリリリッッッッ!!
「………ッッ!?!?なんだ…ッ!?敵か!?」
天井についていたスプリンクラーが一斉に水を廊下に撒いた。
「………」
「………」
「………魔法学校でも火災報知器はあるんだな」
「僕も初めて知りました」
水でタバコの火種は消えた。
ドコーーーーンッッッ!!
爆音が校舎内に響き渡る。
その音で生徒は悲鳴をあげたりその場でしゃがみこんだりする者もいたが、ムーさんが舌打ちをすると、そそくさと避難を始める。
「お、薫が派手にやりやってますね」
「………?なぜ今の音だけで薫だとわかる」
「いやーフリンさんだったらあんな派手な攻撃はしないでしょう。もっと…妖艶でなんか…わかります?」
「………たしかにあいつは派手な感じではないよな。助けに行くか?」
「いえ、薫は大丈夫ですよ。ここら辺でやられるようなタマじゃありません」
「超越者なので」




