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テンプレを壊して僕はモブ子に恋をする。  作者: 戸塚 秦
Grauding Overroad Destroyer
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西宮薫は苦戦する。


蓮からのサポートなし、フリンさんやムーさん、先生や達馬のサポートなし。


完全にこの目の前の男と1対1だ。


気のせいか、この前先生と戦った時より僕の力が弱くなっているというか、いや、僕の『狂戦士』に力の変化はなく…というかこれは変わりようがないよな。

元々僕の異能力だし。


そう考えると変化しているのは僕がこのテンプレ世界で手に入れた魔法という異能力、こっちがなんらかの理由で弱まっている。


今はほぼ魔法を出せない状態と言ってもいい。


ということは…『白虎』は使えないし…どうしたものか。



言った通り異能力の中で『狂戦士』は強い方ではない。

普通だ。

普通でよかった…。


だが戦闘において普通以上の性能ほど良いものはない。


自分の普通を恨むことはないが、あれこれ策を考えて戦わなければならないのは少し面倒だなと感じた。



「こねぇなら俺から行くぜェ!!!」


男は圧縮を利用した急接近を仕掛けて僕の顔めがけて拳を突き出した。


だがその拳は空を切った。


「甘い…ッ!!」


僕は強化された足の力を使い宙に避けた。

相手がセリフを発しながら攻撃を仕掛けてくるときは大体まっすぐ突っ込んでくる。

そんなテンプレ攻撃は上に逃げるのが良い。

急接近で近づかれる前のセリフの段階で『狂戦士』を発動し跳躍していた。


でなければ避けきれなかった。


「なにぃ!?」


相手の頭上から強化された脚で繰り出されるかかと落とし。


通常の人間なら真っ二つに割れるほどの威力なのだが、男は両腕を交差させ脚を受け止めた。

男の両足の地面がひび割れ陥没する。


…威力は衰えていない。なぜ受け止められた…?


「この力は、接近するためや攻撃だけじゃねぇ…。守りにも使えんだよッ!!」


僕はかかとに力を加え続けるがビクともしない。

男の右脚が上がり、ゆっくりと足の裏を僕の腹の方に向けると、勢いよく僕の胸の辺りを蹴り、圧縮を使い僕の体を後方へと吹き飛ばした。

攻撃がくると分かっていたので全身強化を使いダメージを最小限まで抑えた。

が。


「防御もできるなんて…。自分を熟知しているやつほど、手強い相手はいないよなぁ…」


『……この世界でのお前ほど、自分の能力を理解してないやつはいねぇよ』


今の衝撃で無線機が壊れたかと思ったら意外と大丈夫だった。


たしかに、こっちの世界での僕の能力は分からないことだらけだ。

一番分からないのが、


第2の僕の超能力。


逹馬が言うには使うと不平等になるから嫌…って言ってたんだっけ?


よく分からないけど例外の超能力級に強い能力だとは推察できるな…。

つくづく主人公無双設定だな、『俺薫』。



さっきまで僕達が立っていたところに、男は1人でゆらゆらとこちらに向かってきた。


しかし先ほどと様子が違う。



腕を…怪我してるのか…?



しかし、僕の渾身のかかと落としは止められたし、ダメージを負う要因がない…。



さかむけでも取れたのか……ッ!?


『お前の心読めるわけじゃないが、今思ってることは多分違うと思うぞ』



流石は長年の付き合いであった。

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