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テンプレを壊して僕はモブ子に恋をする。  作者: 戸塚 秦
Grauding Overroad Destroyer
24/37

西宮薫達は始める



攻撃は通らなかった、というか誰かに止められた。


今の状態…白虎の拳を止められるなんて…。

ありえないと思っても不思議ではない。


触れれば大ダメージ、攻撃となれば致命傷…いや、即死レベルである。



それを……手のひらで止められた?



「いやー…頑張って特訓したんだね。短期間でこんなに強くなっているとは、到底思わないよね。こいつの『大袈裟な道化師』を超えてくるなんて、僕も予想外だよ。でもー…強くなればなるほど、僕は困るんだけどね」




止めたのは、先生ではなく、違う男だった。

『大袈裟な道化師』…こいつはコピーと言ったか。

なんでコピーという単語から大袈裟な道化師って分かったかは、それは主人公補正と考えてもらって構わない。主人公補正というか、小説とか漫画である当て字みたいなものだ。




こいつの登場で先生に感じていた嫌な感じの正体が分かった。


こいつに似ていたからか…。


「水蓮寺…要……」


「アハハ!僕を覚えていたんだね!いや、君の専属になったんだ、覚えてて当たり前かな?…と、」


くるっと振り返り先生の方を見た。

先生は綺麗な気をつけ状態で立っていた。


「ねー?カナちゃん…それを使ったら薫君を殺しちゃうかも知れないし、殺されるかも知れないから使うなって言ったよねー?覚えてるよね?」


ビクッッ!となって先生は下を向く。

相当に怖がっているようだ。


こっちを向いていないからわからないが、今要は笑いながらもめちゃくちゃ怖い顔をしているのでは…と思った。



「はい…先輩ぃ…でも、死にかけましたよぉー…」


「まぁ薫君の成長は予想外だったからね、今回は許してあげるよ」


要は説教を終え、僕の方を向いた。

いつもの憎たらしい笑顔だ。


「なんで、カナちゃんがここにいたかを説明してあげる。僕もグラウディング勧誘を見張っていたからさ。そして、メンバーをこの廃ビルで見つけたから、カナちゃんにボコしてもらって、洗いざらい聞いたさ。それでね、その狙われてた生徒ちゃんからなんか情報を聞き出せないかなーって思ったんだ。…今回の生徒ちゃんは、なんか他の連れ去られた生徒ちゃんと違う感じだったからね」


ほーう…まぁ辻褄があうな…。

え?でもなんで僕をここに連れて行かせないようにしたんだ?


「じゃあ、なんで僕を先生は教室に居残りという形で、連れて来させないようにしたんですか…?」



そう、先生がここにいる時に思ったんだ。

居残りをさせるということは、僕をここに来させたくない理由があるはずだ、と。


無理やり理由をつけて居残りにさせたもんな、達馬と一緒に。


「それはー…」


「それはね、君に言っても信じないと思うから、今は言わないでおくよ」


先生の言葉を遮り、要は答えた。


「信じないじゃなくて、信用してないからの間違いじゃないですか?」


僕はこの男がどーしても味方に思えない。

バランスがどーたらこーたらいってるけど、蓮寺家の1人だ。この世界では共闘するはずなんだが…

どーしても思えない。



「ハハハ!!とことん僕は嫌われてるなぁ。信用はしているよ。信じてはいないけどね」



コイツ日本語不自由なのかよ…。

何言ってるかわかんないよ…。


「っと、こーしちゃあいられない。僕は仕事があるんだよ。…あーそうだそうだ、カナちゃんもBARに連れてって。そこで色々聞いちゃってね」


そう言うと、要はどっかへ行ってしまった。

というか台詞を言った瞬間消えた。



…。


「…先生も来んのかよ」



正直、もう家に返して欲しい。

ムーさんにも聞きたいことあってBARには寄る予定だったが……うん、なんかもう疲れた。


てか白虎による自分への負担ダメージがデカい。

全身めっちゃスゴい筋肉痛みたいになってる。



歩くと痛い。



「えー、行かせてよー薫君のひみつきち、見せてよー」


「幼稚園児に言うような言い方すんな!!ひみつきちって言うな!!」



しかもひらがなでな。

すんごいちゃっちく見えるだろ。






なんやかんやして、

僕達はBARへ向かった。



「うぃーす…変な客人がいますよーっと…」




合言葉を言って…というか、もう『あ、薫です』と言うだけで扉を出現してくれるようになった。


中には、ムーさんとフリンさんしかいなかった。


「………最近、知らんやつらがここを出入りするな」


「だいたい蓮寺家じゃがな…その小娘も蓮寺家かの?」



お、鋭いなフリンさん。


「もー!!!小娘じゃない!!だいたい、歳あんまり変わんないでしょ!!」



歳のことは、あんまりフリンさんには振らない方が…


「ほーう…儂もまだまだピチピチというわけかの」


「………実際の年齢聞いたら驚くけどな」


「殺されたいんか、若造」


「………遠慮しとく」



あのムーさんが引くとは……

フリンさんの実力って一体…

いや、凄いのは分かってんだけども。


「そーいえば、師匠どこ行ったんですか?」


「あーあれじゃ、会議とか言っとったのぉ」


「そう!!それ!」



先生は急に手を叩いて声を上げた。

びっくりする。


「それを説明しろって、先輩に言われてたの!!」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




蓮寺家の会議。



蓮寺家の最高権力者達が集まった。



「遅いぞ、要。どこで油を売っていた」


「ごめんね、由伸くん。ちょっと後輩を叱ってたんだよ。会議にはギリギリ間に合ったんだから、許してよ!!…というか、今回は集会ではなく、会議なんだね」


「そうだ、今回は注意やら監視やらの話ではない。異能力組織総出で行う、グラウディング、オーバーロードを殲滅することを議題とする。希の話によれば、3ヶ月後にグラディエーター軍が世界へ一斉攻撃を仕掛けるらしいな。その攻撃の前に、こちら側が先に先制攻撃をしグラディエーター軍の戦力を削ぐ。…来たるべき日のために」



全員の表情は真剣そのものだった。いつものように、のほほんとした空気は一切感じられない。


「コンタクトは…日本の機関や世界の大きい機関は私達でできるが…大半を希に頼ってしまうかもしれん。すまないな」


「なーにかしこまっちゃって。似合わねぇ。…借りってことにしといてやるよ」


由伸は頭を少し下げ希にお願いした。

希の返答に少しイラっとしたが、要の『あ、これ照れ隠しだから。間に受けなくて良いよ』という言葉で収まった。


要は殴られたが…。



「よし、来たるべき日…Xdayに向けて始動するぞ…グラウディング、オーバーロード殲滅作戦…【GOD】を、今日を持って開始するッッ!!」


由伸がその言葉を言った瞬間、要を除いた全員が魔法を使って瞬間移動し、自分達のアジトへ帰っていった。

各々やる事はもう把握している。

足並みを揃えるわけではなく、個人で、各蓮寺家で与えられた使命を全うするのだ。




要だけはその場に残っていた。


「はぁ……どうだい?嬉しいかい?…君のシナリオ通りだよ。……ソレを持っている君には僕個人の力じゃ到底及ばないからね、僕だけが反抗しようとしてもどうしようもないんだけど。…本人が自分で気付いてくれれば一番良い展開なんだけどね。まぁ無理もないよ。僕は責めないさ。何処かで聞いているんだろ?…僕達は今言った通りに動くよ。さて、君は何をしてくるのかな?」


そう見えない誰かに言うと、要も瞬間移動し、何処かへ消えた。


その数十秒後、今まで蓮寺家の会議が行われていた部屋に1人見知らぬ影が椅子に腰を下ろしていた。




「あぁ…聞いていたよ。水蓮寺要。僕が何をしてくるって?……ハハッ。何もしないさ。ゆーっくりと沼にハマっていく西宮薫を眺めているだけさ…」



そう言うと、見知らぬ影は体から膨大な魔法エネルギーを放出した。

足を組み、頬杖をついたまま。


このエネルギーは、全世界の異能力使いが察知した。




「ッッッッッッッッ!?!?」


「………!?」


それは西宮薫とて、例外ではない。


「…ムーさん、フリンさん、先生…。今のって…」


「………あぁ。グラディエーターよりも凄まじい、膨大な力…」


「…よくわからんけど、相当ヤバい奴がいるもんじゃの…」


「…チビりそう……」







さぁ!!!西宮薫!!!!

この世界で足掻いてみろ!!!!





エネルギーに込められたメッセージ。

薫だけが、このメッセージに気付いていた。


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