西宮薫は後を追う。
放課後。
それはスクールライフにおいて最高のイベントといっても過言ではないだろう。
帰りのホームルームが終わった瞬間僕は今から活動をするのであろう部活勢を哀れな目を向けながら帰路を辿る。
いや、誤解を招きそうなので訂正しておくと、部活しているから悪いとかしていないから良いとかの問題ではなく。
そんな、早く部活行きたいとか、家に帰るより部活やりたい!って人はごくわずかな例だと思う。
基本「今日オフ!?ktkr」「部活ダルくね?トレーニングん時サボろうぜ?」などがチラホラ聞こえてくるであろう。
ごくわずかな例に当てはまる人達はすごく上手くて、大学とかから推薦がきちゃうレベルに達しているのだろう。
運動部しかり、文化部しかり。
ちなみに、蓮とふざけて異能力を使って50メートル走を測ったことがあるのだが、軽いジョギング感覚で1.4秒を出したことを思い出す。
推薦とかのレベルじゃねぇ。
さて。
何が言いたいのかというと、ただ、まぁ帰りたいのである。
智美は先に友達と帰ったらしい(人にはとやかく言うくせに自分は勝手に1人で帰るのな)し、そのまま帰れる状態にいるのだ。
僕しかり、達馬しかり。
それなのに、新担任の香菜子先生は帰りのホームルーム後、僕達から目を離そうとしない。
「…………」
「………」
僕達は引きつった笑顔、先生は影の入った笑顔を向けあっている。
「…達馬……」
気づかれない程度の大きさの声で達馬に話しかけた。
達馬は先生の方を向いていて、僕の方を向いていない。が、聞いているようだ。
「……なんだい…薫」
「………あとは任せた!!!!!!」
僕は『狂戦士』の能力を使い速攻逃げた。
「ちょっ!!!ズルい…!!僕も……」
「あなたは逃さないわよ……」
逃げようとした達馬の肩を掴む香菜子先生。
半泣きの笑顔でゆっくりと振り向く達馬。
笑顔の香菜子先生。
「……課題でもやってもらおうかしら」
「……薫絶対許さない…」
逃げた僕は校門にいた蓮の元へ行った。
「ごめん…新任の先生に捕まってた…」
「お前がモタモタしてる間にターゲットは行ってしまったぞ。どー責任をとってくれる」
「悪いって」
「謝ってグラウディングが減るなら俺達はいらないよな」
なんだこいつ。
「とりあえず、近くまで行くぞ」
「おう」
蓮を背中におぶり、『狂戦士』で強化したスピードで後を追いかけた。
「いたぞ…」
蓮が指を指す方向に僕達の制服を着た生徒がイヤホンをしながら歩いているのが見えた。
「呑気な奴だな…これからさらわれる事も知らずに…」
「いや、それを知ることができるの蓮ぐらいだから」
「おっ…褒めてくれるのか、嬉しいね」
「お前な?俺がそのネタ知らなかったら、素直になった蓮になってキモいだけだぜ?」
おっ…褒めてくれるのか、嬉しいね。とはコイツが好きなアニメのセリフである。
よくネットとかで、使われるネタセリフみたいなものだ。
「そんなことはどーでいい…あの廃ビルあるだろ?そこから人影が出てくると視えた。そこでお前が…こう…なんとかしろ」
切り替え早い上に他人任せかよ…。
「わかったわかったよ…」
ここで僕はあることを思いつく。
「「なぁ…」」
蓮と声が重なった。
多分考えていることは同じだ。
「薫…わかってるな?」
「この世界なら…いけるかもしれないな」
「任せたぞ」
と話しているうちに、生徒を狙う人影が廃ビルから現れた。
「今だ!薫!!!」
「くらえ!!!アニメとかでよく見る首のとこトンってやったら気絶するやつ!!!!」
ドンッッッッ
少し強すぎた。
一般人なら首チョンパだな…。
「いたーーーーーーーーーい!!!!!」
首の後ろをおさえてしゃがみこむ。
涙目でこちらを向く。
それは見覚えのある顔だった。
「香菜子…先生……?」




