西宮薫は動く。
さて…。
昔話も終わったところだしそろそろこっちの問題と向き合うか…
本格的に動かないとマズイな。彩さんのモブ子化が進んできている。
……師匠達の力を借りるか…。
BARについた僕はノックをし、合言葉(今回は覚えていたからボケずにすんだ)を言ってから入っていった。
「こんちわーっす…師匠もう来てま……ッッ!?」
「あ、西宮薫君!久しぶり!って言っても、あれは数日前かな?」
そこには師匠と水蓮寺要がいた。
…。
……なぜあいつがいるんだよ…。
「お、弟子と知り合いだったのか!なら話が早いな!おい、お前今日からコイツが指示くれるから、よく話聞いとけよ」
いやいや!!
嫌だよ!!回りくどい話し方するし、バカにしてくるし!!
「なんでコイツの言うこと聞かなきゃいけないんですか!!この前会った時なんてコイツに…」
「あぁー知ってるよ。大丈夫、半殺しにしといたから」
あー…。
やっぱ師匠手出すのはやーい…。
「本当本当。ちょっとお灸をすえたよって言ったのに鬼の形相して…本気で死ぬところだったよ、うん。そんなに弟子が可愛いのかねぇ」
「殺すぞ」
「うん、ごめん」
あんな強い水蓮寺でも怖がるほどの存在って…
師匠すげぇ。
「ってなわけだ。色々コイツがサポートしてくれるらしいから…っていっても今のお前にそんな心配はいらねぇと思うけど一応な。グラウディングやらオーバーロードやらの動きが気になるしな」
そうだ、とりあえず沼西を助けなきゃだ。
その為にはー…ええっと、とりあえずもう1人の超越者を探して、多分グラウディングも叩かないといけないんだよな…道のりが長そう。
「……不本意ですけど、お願いします。要さん」
「ハッハー!嬉しいなぁ若い子から頼られるって」
地球の極限の地。
人が生命を維持することができない、極寒の地。
南極。
そこにオーバーロードの長、エンド・ザ・ワールド・グラディエーターはアジトを作っていた。
「フゥ…やはり偽者やら劣等種の気配がない地は気持ちがいいの…」
「グラディエーター様、こんなに堂々と作り上げて、劣等種共のメディア取り上げられてもよろしいのでしょうか」
「フフフッ…それも興ではないか」
「寛大なお方なのですね」
「そう褒めるなサーマルキュレー。…それより、もう1人の超越者は見つけたか?」
グラディエーターこと沼西は異能力を持たない人間のことを劣等種と呼び、忌み嫌っていた。そしてまた、超能力者も嫌い、能力者の間では禁句とされている「偽者」とも呼んでいた。
グラディエーターは自分と西宮薫の他の、もう1人の超越者を探していた。
「…いいえ。歳は若いと聞きますが、それだけでは情報が少なすぎて…」
「それで、各魔法学校を襲っているのか。手間はかかるが1番いい方法かもしれない 。でも相手は超越者、どうにかして力を隠しているんだろうな」
「…それもまた捜索の妨げとなる1つですな」
グラディエーターは少し微笑み言った。
「私にいい案が思いついたぞ…」
「!是非、私めにお聞かせください」
グラディエーターは闇に堕ち濁った瞳を歪ませ
た。
「拠点に、グラディエーターとその傘下であるグラウディングメンバーを呼べ。集会を開く」
「ハッ!!」
返事をしたサーマルキュレーは瞬間移動をしたかのようにその場を去った。
「…行動が早くて助かるのぉ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
僕はBARを後にし、とりあえず帰宅することにした。
はぁ〜…散々だなぁ…。
あいつの下で動くの、なんか嫌だなぁ…。
初対面でボコボコにするやつがいるか?普通。
…まぁ先に手を出したのは僕だけども…。
「アニメの世界じゃ…こんなの普通なのかな…」
と、考えていたら家に着いた。
なんか本当考えごとしてたらすぐ家着くんだな…。現実世界じゃありえないのに。
「ただいま〜…」
「あ、おかえり!お兄ちゃん!今日は和美特製肉じゃがだよっ」
「お、おー…う。ありがと〜」
前まで不機嫌だった妹がこうもテンションが違うと…調子狂うな…。
言わずとも、肉じゃがは美味かった。