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テンプレを壊して僕はモブ子に恋をする。  作者: 戸塚 秦
エンド・オブ・ザ・グラディエーター
15/37

西宮薫は今に至る。



………。

僕は彩さんとは短い間だったが色々な思い出があった。

下校だけではなく、2人で休日遊びに行ったり、昼休み僕は達馬達に、彩さんは友達に黙って2人でご飯を食べたり。


春休みに2人で遊園地に行こうとまで約束をしていた。




「ハ…ハハハ…」


この時に限っては、木蓮寺希も黙っていた。

今こそなんとか言って欲しいのに。


彼女との思い出が消えていいのかだとか、


記憶が消えたあとでも、まだ赤い糸が残ってるならまた付き合えるだとか。



綺麗事でも、クサイ台詞でもいいからなんとか言って欲しかった。


「気持ちはわかるがの……。超能力というのはの、何かを得る時には…」


「同時に何かを失っている…でしたよね…。父から聞きました…」


僕はフリンの言葉を遮り続けた。


「分かっていても実際に言われるとキツイですね……。ハァ…なんで僕なんだろう…」


「ん?どういう意味じゃ?」


遮られたことを気にしていないフリンは続けた僕の言葉に疑問を持った。

僕は心に浮かんだ事をとめどなく口から溢れ出した。


「いや…なんで僕だけ…こんな目に遭わなきゃいけないんですか…!!!昨日まで、数時間前まで僕は!!!普通の、人間だったッ!!!僕は達馬とバカやって、智美と喧嘩して、父さんとドライブして、和美とも喧嘩ばっかだけど、母さんが止めに入って、それを父さんが楽しそうに眺めて…そして彩さんと仲良くなって…毎日が楽しかった…」




バーに沈黙が続く。




「僕は僕は…。こんな主人公みたいな展開は望んでいなかった!!!!!いらないよ!主人公なんか…僕は普通でいい!!主人公じゃなくていい!!だから…だから…」




「…黙れ」


ここで木蓮寺希が口を開いた。


「…貴女が僕の人生の主人公になってくださいよ…そんな化け物じみた力があればこんな理不尽な状況打破なんて簡単なんでしょう!?僕は…僕は…」



僕は言い終わる前に地面に倒れていた。

というか、木蓮寺希にぶん殴られていた。


「さっきから黙って聞いてりゃよォ!?本当うるせぇなテメェはよ!!!なんだ、全てお前にいい都合なんてこの世にはねぇんだよ残念ながらよ!!!!分かるか!?私だってなぁ、こんな力を持ってしてもこの世には勝てねぇんだよ、全敗だよこのヤロー!!!……あともう1つな、気にくわねぇのがよ」


倒れている僕の上に馬乗ってきた。

さっきの出来事がフラッシュバックした。



恐怖。


「テメェの人生でテメェが主人公じゃなかったら誰かメインなんだよ!!!そんなん…生きているテメェが可哀想だと思わねぇのか!?自分が一番哀しい奴だって、気づかねぇのか!?」



少しの沈黙の後木蓮寺希は僕の上から降りた後、フリンに告げた。


「おい、フリン。私は今決めたぞ」



……?何をだ?


「コイツを弟子にする。そして選択肢2を選べ」




……え?

え?え?え?




ハァァァァァァァァァ!?!?




「ちょっ…!!何を言って」


「ハァ??まだなんか口答えする気か?殺されてェのか?」



僕の意見はガン無視だ。

何か言おうもんなら

殺す

の一点張りだ。


「ウジウジするから気まんねぇんだろ。だったら私が決めてやんよ」


僕は驚きと憤りと恐怖と呆れが混ざった表情をしていたと思う。



「…………おい、小僧」


「あ、はい…」


カウンターから男に声をかけられビクッとなりながら返事を返した。


「………こんな性格で口ベタだからよ、分かりづらいかもしれねぇが、これが希なりの優しさなんだ。ありがたく受け取っておけ」




………。

その時の僕は理解できなかったが、時間が経つにつれ僕は師匠の優しさが理解できるようになった。



「ハァ…強引じゃがいいじゃろう。お前さんの中の記憶と『知覚』を消すぞよ…。準備はいいかの?」


「準備なんかいらねぇよ。チャチャっとやっちゃえ」




その木蓮寺希の台詞とともに僕は意識を失った。







そして起きた僕は彩さんとの交際に関する記憶が消え、友人に戻っていった。



そして異能力『知覚』を失った僕は、新たに『狂戦士』を手に入れたというわけだ。



ほら、『知覚』に比べたら『狂戦士』なんて普通だろ?

こうして僕は普通を手に入れたのだ。




この話はその日から日が経って、時期をあけて師匠が話してくれた。


僕はやっぱり彩さんとは結ばれている運命なのだと思った。

ちなみに、記憶は彩さんも無くしている。



だから正真正銘、友人関係である。



しかし、僕は何回記憶をなくしても何回引き裂かれようとも





僕は彩さんに恋をする。


っと、長くなってしまったがこれが僕の昔話である。

どうだった?長すぎて、シリアス過ぎてつまらなかっただろうか。


それとも途中から急展開過ぎてビックリしただろうか。

戦闘がアッサリし過ぎてつまらなかっただろうか。



まぁ実際の戦闘なんてそんなもんだろう。

実力が拮抗しない限り、すぐにカタがつく。


この前の教室の時もすぐにカタがついたろう?

ほら、実力差というのは思っているよりも残酷なのだ。





アニメのように白熱したり、突然強くなったりしないのだ。




ってなわけでー…今は教室か。


そうだそうだ、彩さんに無視されてベランダから飛び降りようとしたところだっけ。



まぁ細かいとこはいいだろう。


「……薫!薫!!ぼーっとしてないで帰るよ!薫!」


その声で現実世界へ引き戻された。

いやまぁ、現実世界といってもテンプレ世界なのだが。


あれ?そういえばさっきは朝のLHRじゃなかったか?


「あれ?今朝じゃ…」


「何言ってるんだ薫は…。ずっと寝てただろう!?新しく赴任してきた香菜子先生もプリプリ怒ってたよ!?…可愛かったけども」


「お前得かよ」


「正直薫はもっと彼女を怒らせてほしい」


「…正直過ぎると引かれることもあるから気をつけろよ」



蓮はー…先に行っちゃったかな…?

…途中まで達馬と帰るか…


「かっっおるーーーん!!おはよ!!!起きた?起きた?今日こそあのカフェに行くよー!!」


「グファ!!!!!!」



このアマ毎回毎回タックルしながら抱きついてきやがる…

そろそろ死ぬ……


「と、智美…いや、今日も予定があるんだ…」


智美が一気にテンションダウンしたところを見るとなんか罪悪感を感じる。

しかし、達馬は何かを察すると、


「智美、薫は今両親ともに海外に出てって妹さんにご飯をつくんなきゃいけないんだ。そのためにも薫は早く帰らないといけないんだ、そうだろ?」



こいつを友人にもってよかった。。



「そ、そそうだよ!!あー和美……和美ちゃんがお腹を空かして待ってるなんてお兄ちゃん考えただけでもう…胸が苦しいなぁー早く帰らないと!!」


「そうだよね…あ!そうだ!和美ちゃんにまた遊びに行くね!って言っといてー!!」


「お、おう!!はいよ!!じゃーな!!」



……それって結局僕の家に来るってことだろ。



両親がいない家に…彼氏の家に…彼女が……??




…………。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや

ないないないないないないないないないない!!!!!


あれだし!!!僕の初めては彩さんに捧げるって決めてるし!!!!ましてや家族みたいなあいつにって!!


……まぁでも客観的に見たらあいつ可愛い方なんだよな…。すんげぇ男子に告られるし。

スタイルもいいし…。この前カップ数自分で言ってたな…Gだっけ…?




いやいやいやいやいやいや!!!!!

揺らぐな西宮薫!!!


Gがなんだ!!!


ガン○ムか!?レコン○スタか何かかな!??



とにかく……。


僕は色々な雑念を振り払うと共にあのBARへ向かった。



え?過去ではBARではなくバーだったって?

それはあのバーの名前をまだ知らなかったからね。



バーの名前はBARらしい。

師匠がつけた。



師匠らしい。



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