西宮薫は否定する。
今から僕が話す事は、これから起こる物語には全く関係ない。いや、全くというほど完全に関係ないとはいえないが、関係ないといえば関係ない。
話す前の前振り、エピローグというやつだ。
さて、説明するとしようか。
君は、読者様は、思ったことはないだろうか。
無限に広がる草原を、仲間と共に駆け出し、目の前に君臨する自分の背よりも何倍も大きな怪物に立ち向かい剣を突き刺す。
そして自分の町の酒場で飲みながら今日の武勇伝を語り合う日々…
君は、読者様は思ったことはないだろうか。
魔術を巧みに扱い、偉そうにふんぞり返っている敵を赤子の手をひねるかのように簡単に片付け、ふぅっと余裕の笑みを浮かべる自らの姿を…
想像したことあるだろう。誰もが皆、少年少女老若男女…
アニメ、ラノベ、マンガ。
いわばこの三大二次元世界へと片道切符を握りしめ、リアルクソゲー世界からグッバイしたいと。
そこまで言わなくても行ってみたいなぁぐらいならあるだろう。
大丈夫だ。君だけではない。
ぶっちゃけ電車の中で音楽聴いてる男子は大体脳内では三大二次元世界の主人公と化している。
しかし僕は、西宮薫は断言できる。声を大にして、高らかにして、そして皮肉をたっぷり込めて断言できる。
そんな世界は糞食らえ、だ。
よくよく考えてほしい。例えば君が異世界へ、アニメの世界へ飛び込んだとしよう。そこで君のポジションが、立場がサブキャラクターだったら、モブだったらどうする?
主人公に見向きもされず、物語に全く関わりのない、存在自体が空気みたいなキャラだったら君は納得するかい?
下手すれば無理やり武器を持たされ戦場へ駆り出されるかもしれない。
そんなリスクを犯してまで行きたいのか教えて欲しいくらいだ。
そんな僕の、西宮薫の普通の話を淡々と進めて行く物語である。
といっても、今回の回は先ほど言ったように、エピローグでしかないので、短く切り上げるとする。
できれば興味を持って頂くことができ、この僕の拙い文を見てくれるとありがたい。
そんな小心者で、どこにでもありふれている高校二年生の、西宮薫の日常、毎日の日常が非日常になる前の日常の話である。