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日記・トードリリー01

 ボクの名はトードリリー。

 

 それを敢えてここに記すのは、この名がボクにとって大切な人に付けられたものだからだ。


 この日記はボクが生きた証かもしれないし、或いは死んだ証かもしれない。


 少なくとも今この一文を、ボク以外の誰かが読んでいるのなら、それはきっと後者なのだろう。


 もしそうだとすれば、どうかその人にはお願いしたい。

 叶うのであれば彼に、ボクにとって大切だった彼に、この日記を届けて欲しい。


 彼の名はルフ。

 いやそれはボクが彼に付けた名か。

 

 本名は確か――、フレデリック。

 ――フレデリック・ロックフェザー。

 



 彼は自身の名の意味を、束縛せず、そしてまた愛すことと言った。事実そういう(ひと)だった。


 貴方がボクの同志なら、きっとこの情に怒るだろう。でもボクは務めを果たす。 果たしたのだから聞くべきだ。もう天国(ジャンナ)へ昇った人間の、ささやかな遺志ぐらいは。


 或いは()の国の人ならば。頭を下げてでもお願いしたい。いいや――、お願いします。酷い迷惑をかけた事実は、あなた方がボクの家族を奪った過去で埋め合わせて、帳消しにして下さい。


 彼に、ただのテロリストだと思われたまま死ぬのは辛い。それだけは絶対に嫌だ。想っていた事を、心から愛していた事を伝えて欲しい。鳴けないボクの、この喉の代わりに。


 どうかお願いします。

 それだけがボクの、この地上に遺す最後の願いです。


 どうか。

 それだけを、せめて。

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