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人間というもの  作者: 国見あや
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事件の始まり①

 父親に降りかかった悲劇を思い起こしながら千夏はあれから3か月半経ったのだと意識しながら父親のJ氏の東京の虎の門にある弁護士事務所に送る文書をパソコンで作成していた。ようやく被害届を出した警察署も動きだしてくれた。警察とはこのようなもの。現行犯や世間一般を揺さぶる事件になったりマスメディアで取り上げられるまでは殺人にいたらない事件や被害者が名誉を著しく損失することがない限り動かない。


 また、管轄の警察署は時期を少し数日遡ってある公立の学校長がフィリピンで児童を買春していたという事件で、しかもその人数が、人数という形でくくっては決していけない罪ではあるが半端ない常軌を逸する数でマスコミでも取り上げられ、その騒動で夜中も地域課というところでは電話がひっきりなしだったことを千夏も実際に警察署にいて見て知っている。


 J氏への兄弟により傷害事件は殺人未遂事件である、とJ氏の顧問弁護士は認識している。文書を作成したり、その証言を書きしるしたのは事件当日、母親からの電話を受けた筆者でもあるJ氏の末っ子4女にあたる私、千夏である。


 38度の熱で自宅で寝ているところでiphon5が耳元で鳴りだした。

 

 いつものように電話に出ると母親が最初に


「実はお父様がZさんから暴行を受けて血だらけで帰宅したの。」


 と最初からたいへんショッキングな会話が始まった。


 母親はともかく実家を離れた家族の子供でも一番家にいる確率が高く、また、定かではないが頼りになるであろう私に真っ先に電話したのであろう。実家に比較的近い距離に住んでいて身動きがとれやすいのが私だったからかもしれない。


 以下まぎらわしいので、私=千夏 と記す。


 ここで主要人物に関わってくる語り手として千夏はいちばんのJ氏の解説者であり、J氏を深く愛している子供のひとりである。


 子は自分の親を、すなわち両親を求めて、その家庭で育ちたいと希望する意志があって母親の胎に宿る。


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