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人間というもの  作者: 国見あや
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人間というもの⑤

 J氏はガラッと自分の経営する店を勢いよく開けた。



 P氏宅に行ってからずいぶん長く経っているなと思っていた妻の静香であったが、またいつものようにP氏宅から出される大量のゴミを車の後ろに積んだり、庭の掃き掃除を頼まれているくらいだと特別不安になることもなく店番をしてJ氏の帰宅を待っていた。それに先ほど、P氏から電話が店にあった。


「J兄さん、今帰りました。」


 静香は他家に入った嫁なので丁重に


「いつも本当にありがとうございます。こちらも色々とお祈りしております。」


といつもと変わらない挨拶の電話でのやりとりとなっていた。


 この「お祈りしています」はこの家系について言えばクリスチャンで1900年生まれのJ氏や妹A女、弟P氏、Z氏らの母親のフモが初めてカトリック信者として1913年に洗礼を受けた後からは普通に自然と出る会話であったことを補足したい。またJ氏の妻の静香もその子供5人も洗礼を受けている。z氏にも妻と子供が2人いてやはり洗礼を受けていた。



 J氏は店のドアを勢いよく開けてしばらくして静香が顔を出すと


 「Zにやられた!とんでもない奴だ!!」


と頬を手でひとさすりした。J氏の目が鋭くなって、また悔しい気持ちもあり、両目は充血していた。血圧も身体によくないとはいえ相当上がっていたようでもある。


 J氏は顔に目や頬に擦り傷や左の頭にかすり傷と殴られたおおきな赤いたんこぶ、両耳はかじられたように赤く腫れ、少し血のあとがあった。両手両腕は赤紫色のまだ殴られた直後を伺わせる大きなどす黒いおおあざがあって膨らんでいた。


 静香はJ氏を見てぎょっとした。なんてひどく惨いことをZさんは病人にするのだろうか!Zへの信頼感なんて特別嫁の立場として感じたことはなかったが不信感が最近募る一方だったがこれが決め手となった。Zは神様から愛されない。悪人だ!


 P氏は何故いつも通りにいつも通りの内容で静香に電話をよこしたのか?不思議に思う静香だったがJ氏の説明も加え、あとから整理して考えるとP氏には認知症と明らかに見受けられる傾向に長らくあったのだが認知症との診断を受けていない、という経緯があった。また今回のJ氏への傷害の暴力に優しくて日頃から温厚な

P氏もZ氏に命令され加担したというのだから、静香は言葉を失って物事の状況が分からなくなってしまった。


 静香の次にとった行動は嫁に行った別の家に住む自分の娘にどうしたらよいかと電話することであった。どうか繋がってほしい!


 そばでJ氏が繰り返す


「警察署へ行こう。」「警察署へ行こう。」「とにかく警察署へ。」

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