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人間というもの  作者: 国見あや
14/16

不起訴ー千夏倒れる

検察局に書類が送致され、届く。


千夏は横浜にある検察局と連絡をとった。ネットでの細かい説明は年老いた父J氏には読みづらいと伝えると冊子になったパンフレットが後日郵送された。


2月半ば過ぎ、千夏には企画しているイベントがあった。ボーリング大会と尊敬する上司の転任の送別会だった。


イベントは楽しく終わった。その二日後、父J氏が検察局に呼ばれた。父J氏が検察局に呼ばれた翌日

は千夏にもある予定があった。自宅でのミニ上映会。とても興味深いブラジル在住の監督のドキュメンタリー作品だった。


ところが検察局で検察官に刑事裁判になること、弟のZ氏が裁かれることを強く望んでいた複雑な父J氏は検察官から長く説得、という状態になった。


Z氏は不起訴となった。


J氏の頭は稲妻が走ったかのような衝撃をくらい激痛がした。その後黒雲の立ち込めた地獄の世界を見るかのようにめまいでフラフラになった。



千夏は・・・


午後1時を過ぎた。千夏はそろそろ検察局からJ氏と静香が自宅に帰宅してもいい頃だと思っていた。なかなか電話が携帯に鳴らないので段々と気持ちも焦って、自分から電話を実家にかけてみた。いつもすぐに電話に応えるJ氏が出ない。何コール目か繰り返した後、母の静香が電話に出た。暗く重い声質だった。


静香は「ZさんとPさん、不起訴になったのよ。」



千夏は・・・


倒れた。翌日のミニ上映会はキャンセル。


千夏は病院に運ばれた。


千夏が病院に運ばれることは親としてJ氏が最も恐れていることである。


千夏は精神的にコントロールができない程のストレスを受けると精神的な病を発症してしまうのだ。J氏にとって常に自分の傍らで話を聞いてくれて、すぐに飛び回って自分の代わりに献身的に動いてくれる千夏にはいつも心強く有難く感じていた。J氏は腎臓の病気が悪化する前は歳も若かったので何でも自分で解決しようとひとりで行動に出るタイプだったが次第に身体の衰えとともに千夏の助けが必要になっていた。


そんな大切な末娘の千夏が病院に運ばれて行ってしまった…


J氏にとって多重の苦しみが襲ってきた。襲いながらも心を潰すように隙間なく締め付けるこの分からない物の正体は一体何なんだ?


自身の苦しみ?兄弟への怒り?千夏を可哀想な思いにさせてしまった自分のやるせなさ?




ー誰もが兄弟と争っていたら和解しなさいー



神の声を遠くに聞きながら。





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