表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

これでおしまい。


王子とその妃の結婚式が、晴れた日の夕方、盛大に行われていました。


お城のテラスから手を振る二人の真ん中には、ガラスの靴が置かれています。


『君をもう一度見つけることができたのは、この靴のおかげだ』


『この靴を、いいえ………貴方と出会ったあの日の私をくれたのは、魔法使いさんなんです』


『魔法使い?』


『はい。とても優しくて……最後まで優しくて……十二時までの魔法が解けても、この片方の靴は消えなかった…』


『では、その魔法使いさんにも、お礼を言わなくてはいけないね』


『ですが、あれからいくら探しても…………』


妃は悲しそうに眉をひそめました。


その肩を王子が優しく抱きよせます。


『では、笑顔で手を振ろう』


『………え?』


『そんなに優しい魔法使いさんなら、きっとどこかで見てくれているよ』


『……そうです、よね。………はいっ』


妃は顔を上げ、笑顔で王宮の広間に集まる人々を見渡しました。


その隣で王子も、嬉しそうに人々に手を振ります。


『ありがとう、魔法使いさん。彼女を僕に引き合わせてくれて…』


『ありがとう……!』


その日一番の笑顔で、二人は手を振りました。




『ところで、なぜ夕方に結婚式をしたかったんだい?』


『ふふっ、王子様。知っていますか………?』


妃はガラスの靴を両手で持ち上げました。


『この靴はこうやって………夕焼けに透かして見ると、一番綺麗なんです』


『ああ……本当だね』


『きっと、夕焼け空が大好きなんです……』


『そうかも、しれないね………なんて美しい…」


夕焼けを映したガラスの靴の光は、二人を祝福するように暖かくキラキラと輝きます。


そのガラスの靴で結ばれた王子とその妃は、いつまでもいつまでも仲良く健やかに暮らしました。














『……めでたし、めでたし…なんて、私には似合わないんだけどねぇ』


箒に腰かけた一人の魔女が、その光景を遠くで眺めていました。


『ま、私の好きな夕焼けも綺麗なことだし…何もしないであげるよ』


そう言いながら、ゆるりと飛び去った魔女に気付いた人は誰もいませんでした。







――――――――――めでたし、めでたし。








『シンデレラの魔法使いが男で、もしシンデレラに恋をしたら?』


そんな気持ちから書きあげた作品です。

初めは王子が最悪な性格で、魔法使いのとのハッピーエンドで考えていましたが、まとまらず…。

少し悲しいお話になりました。


王子の代わりにぐいぐい出てきたのは、魔女さんです。

初めはこんなツンデレ(?)な人ではありませんでした…。

なのに、書いているうちにこんなキャラと登場率に…。

……魔女さん、大好きです。



ちなみに、このシンデレラは魔法使いの顔も髪の色も知りません。

魔女の使い魔ですから、主以外には姿を見せてはいけないという決まりがあったり……。

主以外のために魔力を使ってはいけないという掟があったり……。


なんて、細かい設定は色々考えてみたのですが……。

まとまらなかったので後書きで少し書いてみました。

蛇足ですみません…。


文章が拙く、伝わりにくいのでもう少しだけ補足。

ガラスの靴の片方を魔法が解けても、戻らないようにしたのは魔女さんです。そのついでに、ガラスの色を少しオレンジにしちゃいました。

シンデレラが魔法使いの髪の色を知らなくても、彼女の心にその色が残るように。

と、魔女さんが思ったのかは定かではありませんが…(笑)



少しでも楽しんでいただけれは、幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ