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勇者の娘  作者: 李杜
4/6

3話

今回いろいろな設定を一気に説明し過ぎたかもしれない、説明回です。すみません~!【追記】主人公の出身国の国名間違えてました(^q^) ×→「エイル国」○→「アウステス国」 エイル国は他の国の名前でしたあああ!

 この世界アレステイアにある大陸「エリエス」その大陸にある諸国は、もう一つの大陸「エダス」にある、戦闘狂いとまで言われるほどに戦いを好む魔王によって治められている魔族の国「フィリス」に長く侵攻されていました。そんな中、エリエスの大国「アウステス」は異世界から『勇者』を召喚することに成功しました。そして、召喚された青年は数人の頼れる仲間たちと魔王を倒す旅の中、各地の怪物と呼ばれる者たちを次々と使い魔にしていったり、人間の貴族といざこざを起こしたりする中、魔族の中では比較的温和な性格のである魔族の青年と出会い、その彼が王弟であったことが発覚するなどのイベントをこなしていきながら魔王を倒し、その魔族の青年が次の魔王となることで人間と魔族間の和平条約が結ばれたのです。

そして、勇者は旅の仲間だった魔法使いで貴族の女性と恋に落ち、元の世界には戻らず、その家督を継いで領主となりましたとさ。めでたしめでたし。


 ・・・という勇者譚に登場する勇者夫婦というのが私の両親になります。

(ここまで長々と話しましたが全て我が家唯一のメイドさんエリー(28歳独身)の受け売りです。私は領地から出たことが無い箱入り娘なのです。理由は兄たちをみて察してください。)

とまぁ、初めて聞いた時は『物語のED後かよ!じゃあ私の転生した意味って一体!?』とツッコミを入れてしまいましたが、自分が勇者として旅に出て戦わなくて済んだということに対する感謝をするべきなのでしょうが・・・・ 



 「…で、何故昨夜は帰ってくるのが遅かったのですか?あぁ、言い訳は一切いらないので、簡潔に一言。居た場所をおっしゃってくださいな?」

 「・・・・、酒場です。」



 うつむき震えながら脂汗を垂らしている、ゆったりと纏めた長い黒髪の前世の世界でいうところのラテン系の顔立ちの美丈夫と、それを笑顔ですさまじく威圧している銀糸と見紛う綺麗な銀髪と、透けるような透明な肌に薄水色のドレスがよく似合う、年齢不詳な美女とを見つめて。


 ― ・・・これが『勇者』とか!いくら他の人に超かっこいい英雄譚聞かされた所で、この普段の母様の尻に敷かれまくりの父様見てるから尊敬できないよ!勇者っぽいのは見た目のイケメンさだけで、中身はただの人のよ過ぎるおっちゃんだよ! ―


 そう、今まさに目の前で夫婦喧嘩を繰り広げている男女が『勇者』イデルとその妻でクリミアなのである。イデルはよく酒場で知り合ったおじさんたちと飲み歩いては呑めや歌えやのお祭り騒ぎを起こし、他の貴族との交友を引き受けているクリミアはその噂を聞いた不仲な貴族からネチネチと嫌味を言われるストレスを夫を攻めることで晴らしているのである。

 イデルは貴族相手の腹芸には向かないのでどうしても貴族の対処はクリミアの担当になってしまうし、飲み歩きは領民には親しみやすい領主様と好かれ、良い政策に繋がってもいるので、この連鎖は止めることができず、今回もウォーカー家ではいつもの光景が繰り広げられているのである。


 そしてそのイデルが先程から、チラチラと助けを求める様な目で見てくるので、リシェはまだマシな兄たちの元へ逃げることにした。ウォーカー家はカカァ天下なのです。クリミアを怒らせる様なことは、両親の元仲間である現国王ですら嫌がる命知らずな行為です。勇者以外ではどうなることか・・・!


 「・・・母様、私お兄様たちと外に出かけてきますね。」

 「あらいいわね。イデルのお財布そこにあるから、それ使って三人で遊んでらっしゃい。」

 「はい。それじゃあ、行ってきます。母様、父様。」

 ― 父様が『裏切り者!』と言いたげな目で見てきますが、自業自得です。お小遣い(父財布)でおみやげ、買ってきますね・・・ ―


 部屋を出て一切振り返ることなく私は兄たちのいる部屋まで小走りに向かいました。後ろで父様の悲鳴なんて聞こえないですよ!ええ、まったく聞こえない!(泣)

私が部屋に着き、遊びに行くことを伝えると二人は喜びながらも、笑顔が引き攣っています。幼少の頃の恐怖がきっと蘇っているのでしょう。三人でそそくさと家を出ていきました。



 そして町へと向かう途中私は自分の影に向かって話しかけます。

  

 「そういえば今更だけど、スコル。私の為に生まれたとは言え、貴方の主人はお父様のはずでしょう?その・・・母様から助けなくていいんです?」

 《ムリ。クリミアコワイ。ボク、シゴト、リシェ、マモル。》


 スコルというのは、父の使い魔のうちの一体である大きな黒狼であるフェンリル(命名:リシェ)が私の護衛の為に生んだ銀狼です。影に潜むことができるので、生まれた時からずっと一緒です。前世でも動物(特に犬)が大好きだった私は、父の使い魔の話を聞いてすぐに仲良くなろうと必死になりました。そのあまりの必死さに父が誕生日にスコルをくれたのです。その日ばかりは父を心から尊敬しましたとも!(別に普段も尊敬していない訳ではないですが)そして、努力の甲斐あってか使い魔全員と仲良くなり、エサ代のかからない(エサは主に父の魔力)強くて守ってくれるペットが出来たような感じになりました。



 「それにしても、黒狼から銀狼が生まれるこの世界の仕組みはよく解らないなぁ。」



 そう、この世界では髪と瞳の色は魔力属性の違いで決まるので、色が家族でバラバラ。というのもよくある話です。現にウォーカー家はイデルが「黒髪に黒目」、クリミアが「銀髪に紅目」、エンリケが「金髪に青目」、ネーデが「赤毛交じりの青髪に金の瞳」私が「薄い水色の髪に黒目」をしています。黒髪黒目は勇者だけの色のようなので私は一般人ですが転生者だからでしょう。私の黒目は始めみんなに不思議がられましたが、父親が勇者なおかげで「勇者の娘だからかな~?」で済みました。



勇者の娘とはなんて色々な転生者の違いといった所をうやむやにしてくる良い立場でしょうか!


ちなみにエンリケとリシェ=母親似 ネーデ=父親似 といった見た目のイメージです。イメージイラストなど描きたかったのですが、私、ラテン系とか無理でした(^q^)

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