表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の娘  作者: 李杜
2/6

1話

お暇な時にでもどうぞ。【2012/08/15:追記】行き当たりばったりで作ったため、色々考えた結果主人公の名前をリシェに改名することになりました。すみません。

― ひどく眩しい。真昼間から居眠りしてしまったのだろうか。これから会社説明会だったのに ―


 坂崎璃子(さかざきりこ)はそんなことをぼんやりと思いながら、目に痛いほどの眩しさの中で目を覚ました。22歳になる璃子はこの就活氷河期の中、必死に就活をしていて今も会社説明会の為に移動中だった。オタクであり、≪THE普通≫といった見た目通り特に秀でた所もなく、ゲームをしたり漫画や小説ばかり読んで過ごしていた璃子は、文字通り死にもの狂いで就活をやらないといけなかったのだが…



― その無理が祟って倒れちゃったのかな…。 あっ!うわぁ、道端で倒れてスーツ汚れてたらどうしよ!クリーニング代はお父さんからせしめとtt…貰うとして、スーツあんまり持ってねえのに! -



璃子は意外と口が悪かった。



 と、眩い光の中一人でブツブツとこれからの就活の軽い変更内容を呟いていた|(一人でネットばかりしていると独り言が増えるのです…)璃子はあることに気が付いた。



― てか、あれ?さっきから眩しくて真っ白なままで一向に景色が見えないっていうか、体の自由利かなくね?あれ?あれ? -



 幾ら起きようとしても、中々思い通りに動いてくれない自分の体に、璃子がイライラし始めたころ、何処からともなくまだ若い男女と年老いた女性の声と姿がぼんやりと浮かんできた。


『おめでとうございます!可愛いお嬢様です!母子共に健康体でよろしゅうございました!』


『やった!やったぞ!待望の女の子だ!ありがとうクリミア!君は本当に最高の妻だ!』


『私こそありがとうイデル。最高の夫と息子と娘を産めることが出来て、私アレステイア一幸せよ。』



 興奮が抑えられない。といった様子の三人の話の内容から、ここが『異世界』の出産直後の様だと気が付いた。それはおめでとうございますーと喜ばしいことだと思うのだが、問題が一つだけあった。

…その声の主らしきモロ見た目ラテン系な美丈夫と、女神の様だと言っても過言ではない儚げな美女が、涙を浮かべて 『璃子』 を見つめながら話している、ということだ。



― …いやいや、ありえないし?夢!そう夢だよ!たとえ夢でもこんなこと滅多にないからね!よく見ておこう!勇者になって王子と結ばれたり、姫に生まれて勇者と恋仲になったりしてね!てか両親超美人!てかなんで父親黒髪スペイン系の見た目なんだよ!そこは金髪碧眼だろ! ―



そのまるで『転生モノ』のお話のような光景を見て、軽くパニックになりながらも夢だと決定した璃子が、支離滅裂な理不尽かつ偏見まみれの怒りを父|(仮)にぶつけていると、産婆らしきおばあさんが涙を浮かべながら両親|(仮)に話しかけた。



『本当に待望のお嬢様の誕生おめでとうございます! 【勇者様】 !』





               ―  ・・・・・・。  ―






           ―   お前(ちちおや)が勇者なのかよ!  ―






それが坂崎璃子…、『リシェ・ウォーカー』の、異世界『アレステイア』での初めての記憶だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ